軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王城・地下探検! ②

「・・・そうかも?」

うーん・・・。

同意はしたものの、何か引っ掛かるんだよな。

しかし、引っ掛からない無い人も居る。

「頭良いわね!」

それで良いのか? ルナリアよ。

ルナリアが納得できたのなら、良いのか。

そして、別の意味で納得しないお姫様も一人いたようだ。

「そうでしょうか? 史料を見るのに行き来するのも大変なんですけれども」

「・・・そうだろうねぇ」

それだけ大事な家宝を仕舞ってあるのだろうけど、資料や史料を調べるのには何度も通う必要が有るだろうし、紛失したり盗まれたりする可能性を思えば、軽々しく宝物庫から持ち出すわけにも行かないのだろう。

「一応、もしも、王城が焼け落ちても宝物庫が安全なように、との理由の方が大きいとは聞きましたけれどもね」

「・・・燃え残ってさえいれば、時間を掛ければ無事に掘り起こせる、ってことかな? 理には適ってそうに聞こえるね。大変そうだけど」

代わりの無い家宝なら、瓦礫を退けて掘り出すぐらいの労力は安いもの、か。

地球でも重要な軍事施設や保管庫は、大抵、地下施設だった気がする。

自然災害や世界大戦が起こっても植物の絶滅を避けるために作られた「世界種子貯蔵庫」なるものが北極圏のどこかに有ったはず。

数百万種もの種子を世界中から集めて、栽培方法の記録と併せて保管する、巨大な冷蔵庫みたいなものだと何かの記事で読んだ記憶がある。

生きる世界が違っても、考えることは同じなのかも。

お母様は首を傾げる。

「この階段が王城の、どの位置に有るのか、私でも知らんぐらいだから、掘り起こせるものかどうか、怪しいものだがな」

「・・・そうなの?」

王様に代わって手を汚す特務魔法術師の職務に就いていたお母様は、王家の事情に詳しいはずなのに、そのお母様でも知らされていないことが有るとは。

「私も、よく分かっていませんわよ」

「・・・ええ?」

跡継ぎ候補のテレサも知らされていないなんて、どうなってんの?

「例えばな。アマリリア様の部屋に窓が有っただろう」

「・・・うん。大きな窓だよね?」

「あの窓の外は中庭で、外から王城を見ても、部屋の位置は分からないようになっている」

「・・・そう言えば、王城の上層階って、外から見ると窓が少なかったね」

窓の外がどうなっているのかも確認しなかったな。

「王城中央の監視塔の上から下を覘くとな、同じような中庭が6階層に何カ所か有って、どの中庭がアマリリア様の中庭かも見分けが付かん。どの部屋に中庭が有るのかも分からん。以前、アマリリア様自身もご自分の部屋がどこに有るのか分からんと言っていた」

「・・・徹底しすぎじゃない?」

娘だけじゃなく奥さんにも家の構造を秘密にしてるの?

「案内役の女中も、ほんの数人を除いて各階層で担当が違うぐらいだからな。王城上層階の配置は王国の最高機密だぞ。全体を細部まで知っているのは歴代の国王陛下ぐらいだ」

「・・・ふああ」

もう、本当に、病的なぐらいの秘密維持。

私が呆れている間にも足を止めずに階段を降り続けて居ると、螺旋階段の先に広い床が見えてきた。

「あっ! 終点よ!」

「ようやく着いたか」

終わりが見えて喜色を露わにしたルナリアに、同意するようにお母様が息を吐く。

延々と続く階段に、気を紛らわせるためにもお喋りしていたけど、漸く、それも終了だ。

「ここが宝物庫ですわ!」

階段の最下段を踏んだテレサが前方を手のひらで示す。

階段を下りきった正面。

つるつるに磨き上げられた石材の床の最奥に、城門の門扉と同じようなドラゴンのレリーフが四隅に彫り込まれた、大きなプレートにしか見えない「扉」のようなものが有る。

周囲の石壁よりも10センチメートルほど、一段凹んだ、飾り壁のような「扉」は縦4メートル、横3メートルほども大きさが有る。

目の前の「扉」も気にはなるけど、それよりも先に、スッと近付いてテレサの耳元に口を寄せ、ボソリと呟く。

「・・・帰り道」

「もう!」

「・・・あ、痛」

パッと顔を振り向けたテレサに、平手で背中をペシリと叩かれた。

DV反対派の私はルナリアの傍へと退避する。

逃げてきた私をルナリアが暖かなジト目で迎えてくれた。

振り返って見ると、また長い階段を上らされることを思い出さされたテレサもジト目を飛ばしていた。

「何やってるの?」

「・・・厳しい現実を思い出させてあげようとしたら、怒られただけ」

おっと。ふざけ過ぎたか。

お母様からもジト目が飛んできた。

「何をしているんだ、お前は」

「・・・にひっ」

笑って誤魔化すのは日本人の定型パターンの一つ。

仕方ないな、って感じで腰に手を当てて息を吐いたテレサが、くるりと身を翻す。

「扉を開けますね」

「おう。頼む」

お母様の声を背中にしたテレサは、「扉」へと向かうのかと思えば、「扉」に向かって右側奥の壁へと向かう。

「扉」の錠を開く仕掛けが、あの壁に設置されているのかも。

テレサが向き合った石壁には、例のドラゴンっぽい小さなシルエットが彫り込まれているようだ。

扉の錠は、扉から離れた場所に設置されてるのか。

警備会社の警報装置操作ユニットが扉とは離れた場所に設置されたりする事例を、経験上知っている現代日本人にとっては普通のことでも、そんな知識が無ければ、離れた場所に装置があるとは考えないんじゃないかな。

誰だって目の前に扉が有れば、その扉を調べるだろうし、泥棒にセキュリティを突破されるまでの時間稼ぎにもなりそうだよね。

あれ? 宝物庫の扉の開け方で時間稼ぎする必要が有るの?

まあ、目的は良いや。今は扉の開け方だ。

あの壁で解錠したとして、解錠した後の想像が及ばない。

「・・・でも、この扉、ドアノブも無いよ?」

「本当ね。どうやって開けるのかしら?」

扉を引くための取っ手が見当たらないってことは押し開くのだろうか?

押し扉だとしても、閉めるときに取っ手は必要になるんじゃないの?

横へスライドするタイプの引き戸だとしても取っ手は必要だよね?

ルナリアと私の疑問に答えたのはテレサだ。