軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

義母の出陣 ⑥

「・・・テレサ、ルナリア。こっち、任せて良い?」

「良いけど、フィオレは何するの?」

「・・・拠点建設の方が気になってね」

「「ふーん・・・」」

テレサもルナリアも、拠点にはあんまり興味が無い感じかな?

大人たちの難しい話し合いを眺めているよりもワナを仕掛けて回る方が楽しいだろうことは想像に難くないね。

ルナリアたちが2人だけで楽しむのを躊躇っている様子だから、気に病まないように少し煽っておくかな。

護衛要員を引き連れていれば万が一の危険は無いだろうし。

「・・・どっちが沢山獲れるか勝負してみたら?」

「「―――!」」

ピシャーン! と雷が落ちたような衝撃を受けたらしい2人が顔を見合わせる。

「行きますわよ!」

「負けないからね!」

チョロい。

テレサが騎士様たちを、ルナリアがピーシーズを引き連れて駆けていく。

ピーシーズの面々も、日本だと小学校に通っているような年齢なんだから、今はまだ遊びたい年頃なのが当たり前だし、遊びながら楽しんで仕事を覚えていくのは悪いことでは無いはずだ。

自分で捕ったお肉は美味しいしね。

お婆様やお爺様にバレたら護衛対象の一人で有る私を放置したことを咎められるかもしれないけど、それもまた一つの勉強―――。

「・・・おや?」

私の傍にピーシーズの一部が3人残っているね。

来年には正騎士に上がる予定の最年長組3人だ。

アリアナさんの他は、何気に大雑把なメリーナさんとコツコツ型のネイアさんだったかな。

アリアナさんのタイプを表現するなら、アンリカさんが顔合わせ前に言っていた通り、脳筋。

メリーナさんは大きなおっぱいが性格を表しているようなほんわかと包容力がある人で、ネイアさんは、比較的、口数が少ない人なので、私は何となくシンパシーを感じている。

3人とも性格がぜんぜん違うけど、馬が合うのか、よく一緒に居る姿を見掛けるね。

アリアナさんは妥協を嫌う脳筋が服を着て歩いているような人だけど、気が付くといつの間にか私たちの傍に居て、真っ直ぐでサッパリした人なので付き合いやすい。

「・・・アリアナさんたちは行かないの?」

「私はフィオレ様がされることの方に興味が有りますから」

「私もです」

「罠は覚えた他の子たちから後で教えて貰えば良いですし~」

「・・・なるほど。じゃあ行こう」

向上心が有るのは良いことだ。

手分けして覚える効率まで考えられているのが尚ヨシ。

この3人。普段から3人で相談し合ってピーシーズを纏めているから、将来的にもエゼリアさんとアンリカさんみたいな関係になっていくのだろうね。

ルナリアを補佐していく私としても、互いに打てば響く意思疎通が取れた人たちが傍に居るのは心強いよ。

お婆様たちの傍へ私が近付くと、お婆様はテレサたちの方へチラッと目線を走らせただけで、大体の状況を把握したようだった。

採掘技師と兵士さん数人とセリーナ様が難しい顔で円陣を組んでいる。

「“魔の森”で、これだけの広さを伐採するとなると、相当な労力になりますよ」

「どのぐらいの人手が必要になるのかしら?」

「普通の森に生えていれば樹齢数百年に相当するような大きさの巨木です。1本の木を伐るだけでも2~3人掛かりでしょうから、運搬と製材作業を考えると開拓だけで200・・・いや、300人は見込んだ方が良いかと」

「増強中隊規模ね・・・。もう少し抑えたいわね。防衛準備だけでなく狩猟や食肉加工にも人手が取られるから、あまり多くの動員はしたくないのですよ」

「うーん・・・。しかし、建設を急ぐのでしょう?」

セリーナ様の要求に兵士さんたちが顔を見合わせる。

「早ければ早いほど良いわ。時間を掛けるほど邪魔が入る恐れが高くなります」

「そいつは困りましたね・・・」

何か、煮詰まってる感じ? 人の輪に私が近付いたことで視線が私に集まる。

「・・・どうしたんですか?」

「岩塩鉱床は採掘を進める価値が有りそうだけど、採掘を始める前に周囲を開拓する必要があるのよ。でも、“魔の森”の木は大きい上に硬いから、拠点の建設を始める前の段階でも、かなりの時間が掛かりそうなのよ」

「土の術式で木を倒すときに、術式を行使する術師が危険ですからね」

あれ? 木って、切り倒すものじゃ無いの?

何が問題なのかよく分かんないな。

「・・・土魔法で? どうやって木を倒すんでしょうか?」

「根元の地面に魔力を通して地盤を緩めるのよ」

そう来たか。

木こりの仕事が土魔法とは、異世界とのカルチャーギャップだなあ。

木は枝葉が茂っている範囲と同じぐらいの範囲に根を張っているものだ。

地中に木の根が張っている上で地盤を緩める魔法を使うとどうなるか。

人為的な地震や崩落だ。

地震で地面が地耐力を失って倒壊するビルのように、自立できなくなった木はバランスを崩して倒れ、崖の崩落現場で倒れていた大木のように、土から抜けた根っこが剥き出しになる。

「・・・大きな木だと倒れるときに跳ね上がった木の根っこでケガをすると」

「そういうこと。結構、危ないのですよ」

「・・・ 伐(き) っちゃダメなの? 伐るのはそんなに危なくないですよ?」

「うーん・・・」

みんなして元の困り顔に戻ってしまった。

何が問題なんだろう?

根っこが跳ね上がるのが問題なら、普通に伐れば良いじゃん。

ベテランっぽい少し年配の兵士さんが首を振る。