軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

盟約 ㊱

「・・・んん?」

アクティブソナーの反応に意識を向ける。

あれ? 何かが引っ掛かったはずなのに、人間の反応が有るわけでも、魔獣の反応が有るわけでもない。

周りを見回しても、サラサラと透明な水が流れる小川の景色が有るだけだ。

「どうかされましたか?」

「・・・いや、別に―――。いやいや。何かヘン?」

どう「ヘン」なのかを説明しろと言われても説明しづらい感じなんだけれど、違和感がどうしても拭えない。

そこに何かが有るはずなのに掴めない感覚?

「変・・・? 敵ですか?」

「・・・まだ分かんないから、もうちょっと探ってみるよ」

私の様子に異変を察知してからも、見るからに周りを警戒したりせず平静を保って見せる辺り、ミセラさんたちは流石だよね。

求められる役目が違うのだから当然と言えば当然なんだけど、ピーシーズだったら剣の柄に手を掛けて警戒を露わにしていただろう。

アクティブソナーと索敵レーダーの2本しか使っていなかったけど、残りの12本もブワッと出す。

どっちだ? 何が有る?

あっちこっちに魔力の手を伸ばして「異物」を探してみるけど、何も引っ掛からない。

何もないのに「何か有る」という違和感だけが私の中で膨れ上がってくる。

確信はないのに確信が有る。

初めてなのに初めてじゃない気がする。

「・・・うーん」

これは何だろう?

アクティブソナーも索敵レーダーも魔力の手に過ぎなくて、私は自分の魔力との差違を感知しているだけだ。

それでも、魔力の“質”に差違が有る限り感知はできる。

できるはずなのに、できない?

そんなことが有り得る?

私が感じた違和感って何だろう?

もしかして、魔法的な隠蔽・・・?

考えても答えが出ないな。

これが本物のレーダーだったら、どう対応する?

地球のレーダー技術だと、直進する性質が有る電波を照射して反射してきた電波を受信することで飛行物体の存在を探知するんだよね?

軍事分野最先端だったステルス技術というものなんてば、照射された電波が反射する角度を明後日の方向へ変えるから、照射元へ跳ね返るはずの電波を受信できなくて探知できなくするって理屈だったはず。

だから、別々の複数方向から電波を照射すればステルス戦闘機も探知できるんだとか。

私の場合は反射現象を利用しているのではなく、いわば“触診”しているようなもので、レーダー技術とは根本の原理が違う。

これは、ちょっと無理だな。

真似できそうにない。

だったらどうする?

試しに焼いてみて炙り出す?

それをやっちゃうと無差別環境破壊になっちゃうよね。

他に何か抜本的に違う方法はないかな・・・。

普段なら気付かないほど微かな動きだけど、魔力に意識を集中していたせいか、胸の中で魔力がモゾッと動いたのを感じ取った。

精霊か・・・。

「・・・ちょっとお願いして良い?」

動員対象は全員。

心の中で「違和感の元を探してきて」とお願いすれば、「いいよー」って気持ちが返ってきて、精霊たちが私の中から飛び出して行った。

素直で良い子たちだね。

精霊たちがフヨフヨ~っと飛んで行って、しばらく。

精霊から「あった~」という気持ちが伝わってきた。

「・・・おっ! 有った!?」

思わず大声を上げてしまった瞬間、小川の対岸側を少し入った木々の合間に複数の反応が出現し、視覚的にも景色の一部が揺らいだと思った瞬間、10人近い人影が忽然と現れた。

「何者!?」

さすがのミセラさんたちも、警戒心を顕わに誰何する。

何? 今の?

撮影時間が違う動画を雑に繋いだような、コマ落ちした映像を見ているような現れ方だった。

それは良い。

いや。良くないんだけど、後回しだ。

現れた人たち自身も慌てているみたいだけど、それも後回しで良い。

逃がして堪るか!

うちの子たちが纏わり付いているようで、混乱させてくれているんだから!

いざとなったら魔力の手で掴まえる!

「・・・ちょっと待って! 逃げなくて良いから!」

バタバタと立ち去ろうとする人たちの背中に大声を掛けると、反応が二手に分かれた。

立ち止まった人が1人と、立ち去らせようと足を止めた人に促す人たちだ。

ええい! もどかしい! 答えなんて待っていられるか!

「あっ! フィオレ様!?」

「追うわよ!」

ゴメンね!

追い掛けてくるミセラさんたちの声を置き去りに、“足”で体を浮かせて一足先に突撃する!

「・・・私はフィオレ・ピーシス! ケイナちゃんとレイクスさんの友だちだよ!」

「フィオレ殿? 貴女が」

私の耳に届いたのは、しわがれた―――、年輪を感じさせる老人の声だった。

周りの人たちの催促に迷いを見せていた老人から迷いが消えている。

周りの人たちも驚いた表情で足を止めた。

ほらね。

全員の頭には、見覚えの有るターバンがグルグルに巻かれている。