軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精霊魔法というもの ㊽

「ヨシ。レティアへ帰ったら観察の計画を立てるとしよう」

「わたしも行くわ! テツさんとケイナも行くでしょ?」

もう難しい話は無さそうだと見て取ったらしいルナリアが、シュバッと手を挙げて自己主張する。

「はい。私も興味が有りますし」

「おう。分かった」

急に話を振られたケイナちゃんがルナリアのお誘いに応じて、レイクスさんとケイナちゃんの判断を確かめた上でテツさんも了承した。

はー。予想外の情報が山盛りだったなぁ。

上手く収まってくれれば、テツさんにとってもエルフ族にとってもウォーレス領にとっても王国にとっても大きな利益を得られる。

不利益を被るのは神教会関係者とカリーク公王国ぐらいだろう。

その界隈だって王国に対する野心を棄てれば不利益を被らずに済む。

不利益を避ける判断が出来るほど、お利口さんな連中じゃないとは思うけどね。

さて。長く話し込んじゃったから、そろそろ帰り支度をしないとな。

いい時間だし、お母様も同じことを考えたみたいだね。

「ミセラ。エゼリアたちにレティアへ帰る準備をさせておけ。私たちも直ぐに外へ出る」

「承知いたしました」

お母様の指示を受けたミセラさんが、アイコンタクトしたレヴィアさんと2人で音も無く食堂から退室して行った。

私たちの傍にはマーシュさんが残っていて、サーシャさんたちはティーセットを片付け始めている。

あっ。そうだ。

「・・・マーシュさん。そういえば、ノーアは?」

「まだディディエたちが遊び相手をしているようですね」

ほう。今日はお昼も一緒に摂れなかったし、長く放って置いちゃったから心配したけど、ディディエさんたちが面倒を見てくれていたのか。

「・・・そうなんだ?」

「ディディエたちも良い訓練になるでしょう」

ははぁん? 遊びってアレかな?

もう4歳になったし、最近のノーアは体力も付いてきたからね。

お利口さんにお留守番していたノーアも、私の手が届かないところをカバーしてくれていたディディエさんたちも、褒めてあげないと。

「訓練? 遊びって何やってるの?」

「“隠れんぼ”です」

やっぱりか。ノーアは隠れんぼが好きだからなぁ。

じっと隠れているのも苦にならないみたいだし、狭い場所や暗い場所も好きだし、身軽だから高い場所も平気だしで、ノーアに間諜の技術を学ばせようとしているお祖父様たちも推奨してるんだよ。

「・・・ふーん。それってノーアの隠形術の訓練も兼ねてだよね? ただでさえノーアは見付けにくいからなぁ」

「まあ、そうですね」

ディディエさんたち、見付けられなくて大変だろうなぁ、なんて考えていることが分かったのか、マーシュさんが苦笑する。

私だってアクティブソナーを封印すれば、見付けるのに苦労するぐらいだからね。

「ノーアは気配を消すのが上手いものね!」

「豹人族は狩りが上手い優れた戦士だというからな」

ルナリアとお母様もノーアの隠れんぼ上手を追認する。

ん? 何か気になることでも有ったのか、エルフ族の面々が目を丸くしているね。

テツさんも不思議そうにレイクスさんたちの顔を見回してしている。

どうしたんだろう?

何か有ったのかと私もテツさんと一緒に見回していると、ケイナちゃんが代表して口を開いた。

「豹人族ですか? その・・・、ノーア様という方は?」

「私の娘でフィオレの妹だ」

お母様の返事に、よほど驚いたのか、ケイナちゃんが目を真ん丸にする。

「豹人族がフレイア様の娘さんなのですか?」

「まあ、西部地域で色々と有ってな」

「そうなのですね」

お母様の「色々」という言葉にエルフ族の面々が表情を曇らせる。

亜人種族が西方で「色々」いえば、連想するのはアレだろう。

たぶん、神教会の亜人種族排斥を思いだしたんじゃないかと思うけど、それだけじゃ無さそう?

「・・・どうしたの?」

「いいえ。豹人族とはエルフ族も昔は交流が有ったと聞いていましたので」

交流? 「昔は」という伝聞形式の言葉に、まだエルフ族の国が存在した頃のことなのだろうと気付く。

エルフ族の国が有った場所とノーアの故郷は―――。

「・・・そっか。元々の故郷が近かったんだよね?」

「はい。彼らの集落は国境近くに有ったそうですよ」

ケイナちゃんが頷く。

豹人族の情報をほとんど持たない私たちにしてみれば、それって貴重な情報だよ。

いつの日かノーアを連れて故郷を探しに行くときには、エルフ族から情報を訊き出してから行くことにしよう。

豹人族やエルフ族の生き残りを見付けられたら、全員、ウォーレス領へ連れて帰るよ。

情報源を見付けたことで新たな野望を抱いていると、お母様が席を立つ。

「フィオレ。そろそろ行くぞ。ケイナ殿にノーアを紹介して差し上げろ」

「・・・分かったー」

ヨシ。帰るか。

お母様に返事をして私たちも席を立つ。

今日は色々と有ったから、レティアに帰ったら家族会議だな。

テツさんたちも居るから晩ご飯は賑やかなことになりそう。