軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精霊魔法というもの ㊻

干からびた頭蓋骨に薄皮が張ったようなミイラ顔なのに、幼い子供と話しているように感情が分かりやすい。

だがしかし、私は妥協しないよ。

魔力の手を14本に増やして、シュシュシュシュシュッと“シャドー魔力の手”を激しくする。

「・・・嫌なら壊すよ?」

『『ヤメテエエエエッ!!』』

どうやら、せっかく手に入れた“体”を壊されるのは嫌みたいだね。

フッと魔力の手を消して、幼児と接するように優しい声色を装うことに心掛ける。

「・・・ちゃんとしてくれたら魔石を用意してあげるし、そうだね~。他にもたくさんの“体”を用意してあげるよ~」

『ホントウ・・・?』

2つの鏡面の中でレイスが懐疑的な感じに私を見る。

干からびたミイラ顔なのに何で感情が分かるんだろうね?

「・・・ホント、ホント。人間、ウソつかない」

『エエ~?』

信用ないな! 人間!

幽霊と交信中の私から視線を外したお母様が、レイクスさんに顔を振り向ける。

「この魔法道具の量産は可能なのか?」

「素材さえ手に入れば可能では有るね」

おっ。可能なんだ。

お母様、ありがとう!

ショージョーってファーレンガルド領よりも北側の森が棲息域だったはずだけど、テツさんとケイナちゃんの2人で群れを殲滅した実績が有るんだから獲ることは出来るよね?

ちょっと遠くまで遠征する必要は有るけど、機会が有るなら私も獲りに行きたい。

ワナとの相性が悪いなら、魔力の手で対応できるか試しておきたいし。

何にせよ素材の入手は可能だってことでしょ。

レイクスさんが“呪物”の量産を請け負ってくれるなら、ここで私がレイスと取引しても約束を違えずに済むよね。

「・・・良かったね~。“体”は用意できるって」

『ワカッター』

鏡面を覗き込んで朗報を伝えてあげれば、レイスが素直に答える。

作戦本部へ打電!

我、交渉に成功せり!

グッとサムズアップしてみせれば、お母様が目を細めて笑う。

さーて、ちゃんと出来るか試しておくかな。

「・・・じゃあ、練習してみよっか」

『ジャア、レンシュウシテミヨッカ!』

目の前の鏡面に話し掛ければ、ルナリアの目の前に有る“呪物”が復唱する。

「わっ! ビックリした!」

『ワッ! ビックリシタ!』

ルナリアが上げた驚きの声は、私の目の前に有る“呪物”が復唱した。

ヨシヨシ。これでトランシーバー程度の性能は確保できたと言えよう。

魔石の燃費だとか、どの程度の通信可能距離が有るのかだとか、まだまだ検証しないと分かんないことだらけだけどね。

通信可能距離なんかの性能が足りなくても、褒めたり脅したりご褒美をあげたりの労使交渉次第で頑張ってくれそうな気がする。

確認のため、鏡面に向かってペチペチと拍手してみる。

「・・・上手、上手~! これからは、今みたいにしてね?」

『ヤクソク~。カラダカラダ~』

ほらね。鏡面の中で幽霊が機嫌良さそうにクルクルと回っている。

なかなか可愛いげの有るミイラ顔じゃん。

約束を破るとオカルト的に拙そうだけど、約束を守れば良いだけだ。

当然のことながら、私は約束を守るつもりでいる。

ふと、テーブルの向こう側へと目をやれば、テツさんたちが頭を寄せ合っていた。

「スゲえな。幽霊を言いくるめちまったぞ」

「フィオレは凄いですね。レイスと普通に会話する人なんて初めて見ました」

「僕も初めて見たよ。郷の大人たちでも無理じゃないかな」

それ、本当に褒めてる?

静かな食堂内でテーブルを挟んだだけの距離なんだから、ヒソヒソと小声で話していても聞こえてるからね?

お母様が再びレイクスさんに目を向ける。

「ところで、素材というのは何の魔獣でも構わんのか?」

「何でも、ってわけじゃないよ。それなりの魔素量を持つ魔獣じゃないと魔法道具の素材としては向かないんだけどね。ある程度は魔石や宝玉を砕いて混ぜ込む分量で調整できると思う」

真面目な顔でレイクスさんがサラサラと見解を述べる。

宝玉って言うのは魔力の通りが良い鉱石だったよね。

結構良い値段だと聞いた気がするけど、砕いちゃうんだねぇ。

ウォーレス領は魔石の産地だから意識せずに使っていたけど、輸出単価はそこそこ高額なんだよ。

その魔石と宝玉の両方を素材として使うのだから、必然的に原価が高くなる。

道理で魔法道具の輸入単価も高額になるはずだよ。

レイクスさんの返事に、お母様がさらにツッコむ。