軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生態系の覇者 ㉞

「・・・大丈夫! 複製するときに土を掌握するのと同じだから!」

「つ、土を掌握!? それだけで良いの!?」

自信が無さそうに訊くルナリアに深く頷いて返す!

なにも全身を動かせと言っているわけじゃない!

魔石使用法に慣れてコピペ魔法も使いこなすルナリアなら、“獰猛くん”の腕を掌握するぐらいはお手の物で出来るはず!

だって魔石の魔力を掌握するのもコピペで土を掌握するのも本質は同じだからだ!

「・・・掌握した“獰猛くん”の腕はルナリアの腕と同じ!! ルナリアなら出来る!! 絶対に出来る!!」

「わたしなら・・・。分かったわ!!」

決意の籠もった目でルナリアが頷き返してくれたことで、私はガルダの迎撃に出られる!

そう安心したとき、視界の端を赤い色の大きなものが過ぎった!

「うわっ!!」

「コイツ! どこから!?」

「「えっ!?」」

新人さんたちの悲鳴に目を向ければ、不意を突かれたのだろう数人が、鷲掴みにしようと両脚の鉤爪を開いたガルダに襲い掛かられている!

押し倒されるように倒れ込みながらガルダに槍を向けていて、その数人が囲んで守ろうとしているのはノーアだ!

「て、敵襲―――ッ!!」

「オエ―――ッ!!」

本当に、いつの間に!?

ナンナちゃんが警告を発してからまだ1分間も経ってないよ!?

低空で侵入してきたのか、それとも真っ直ぐ接近せずに迂回してきたのか!

どのみち発見されるのを避けるために小細工をしたとしか思えない!

壁を作っていた新人さんがひっくり返ったことで、姿が顕わになったノーアを鷲掴みにしようとガルダの脚が迫る!

サッと地面に伏せたことで頭上を鋭い鉤爪が通り過ぎる!

「にゃあああああああっ!!」

「あっ!! ノーア様!?」

よほど怖かったのだろう涙目のノーアが半ば四つ足になりながら脱兎のように駆け出して、通り過ぎたはずの脚が再びノーアの背中を追う!

体の小さなノーアと巨大なガルダでは大鷲と個にこのような体格差だ!

羽ばたきで姿勢を制御して滞空するガルダの脚には、すでに一人の新人さんが槍を握った腕を鷲掴みにされていて、残った脚がノーアを追っている!

再び地面に伏せてやり過ごそうとしたノーアの背中を鉤爪が掠め、運の悪いことに爪の先がノーアの服を引っ掛けた!

「オエエ―――ッ!!」

「ねえさまああああああっ!!」

「「「ノーア!?」」」

私たちの声にお母様の声も重なっていた!

勝ち誇ったように一鳴きしたガルダが大きく翼を羽ばたかせて、砂煙の中にノーアの体が浮き上がる!

羽ばたきの風で吹き飛ばされたわけじゃない!

服の背中を鉤爪に引っ掛けられたまま上空へ連れ去られた!!

心理的な衝撃に出遅れていた私の中で感情が爆発する!!

「・・・行かせるかあああああああああッ!!」

視界が真っ赤に染まるような怒りに応えて魔力の手が一斉に発射され、高度を上げつつあるガルダを叩き落とそうと迫る!

捉えた! と思った瞬間、慌てたように翼を捻って変則軌道を取ったガルダを掠めた魔力の手が空振りする!

このっ! やはり魔獣は魔力の動きを感知するのか!!

変則軌道で失速しかけたガルダは重荷となると考えたのか、掴んでいた新人さんを放した!

十数メートルの高さで空中に放り出された新人さんは放物線を描いて落下する!

いくら身体強化術式を使えるからといって、無防備にあの高さから無事で済むかは分からない!

彼が幸運だったのは、偶然にも落下地点に仲間たちが居たことだ!

「うわああああああああっ!!」

「受け止めろ!!」

「「「「「うおおおおおおっ!!」」」」」

さすがに悲鳴を上げて落ちてくる仲間を救うべく、地上で仲間たちが肉のクッションになろうと待ち構える!

あっちは任せておいて平気だろう!

私の目は体勢を立て直して再び羽ばたき始めたガルダの姿を捉えている!

思考力がどこかへ素っ飛ぶ怒りに全身が総毛立つ!!

逃がして堪るか!! 私の家族は奪わせない!!

「・・・くっそ!! ―――ルナリア!、後は任せる!!」

「任せておきなさい!! ノーアを頼んだわよ!!」

「・・・絶対に連れ戻す!!」

怒鳴り合うようにルナリアと意志を交わし、魔力の「足」で駆け出す!!

全開フルパワーで「足」を動かす!!

追ってくる私の姿を認めたのだろうガルダが羽ばたきを激しくして逃げる速度を増す!!

いくらかの速度差で追いつけると期待していたのに、却って距離が開く!!

「・・・ダメだ!! このままじゃ追いつけない!!」

鉤爪の先に引っ掛けられているだけのノーアは、いつ服が破れて空中へ放り出されるかも分からない!

高度はすでに数十メートル!

こんな高さから転落したら、無事で済む方がおかしい!!

「・・・もっと速く!!」

六つ足から四つ足へ!

速度を優先して獣のように駆ける私の「足」はすでにフル回転中だ!

大地との抵抗を素に地を這う私と空気の他に邪魔するもののない鳥類!

どちらが速いかなんて考えるまでもない!