軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生態系の覇者 ㉝

「・・・みんな! 蜻蛉の急所は頭や胸じゃないよ!」

「「「「「ええっ!?」」」」」

私の指摘に、みんなが驚いて攻撃の手を止める!

大抵の生物は脳や心臓が有るであろう頭部や胸部が急所になる!

でも、昆虫には例外が有る!

蜘蛛の心臓が腹の背中側に有ったように、私たちが思う常識とは懸け離れた身体構造を持つ種が多く居る!

「・・・尻尾の先! 蜻蛉の心臓は尻尾の先に有るんだよ!」

「「「「「ええええええええええっ!?」」」」」

みんなが目を剥いて蜻蛉を二度見する!

分かる分かる!

普通、そんなところに心臓が有るなんて思わないよね!

驚いただろうけど、そこは軍人と軍人の卵たちだ!

筋肉と本能で行動する脳筋たちは思考をポイッと投げ棄てて即座に立ち直る!

「焼け焼け焼け焼け―――ッ!!」

「尻尾だ尻尾! 尻尾の先を狙え!!」

「死ねえええええええええっ!!」

最初から仕切り直したらしい。

“2号”の体表を這い、飛び越えた炎が雨あられと降り注ぐ!

さっきと違うのは狙う先が頭や胸ではなく、動き回る尻尾の先だということだ!

動き回るということはピンポイントで命中させるのが難しくなるということで、それがさらに怒りの炎に油を注ぐ結果になってボルテージを上げさせる!

「じっとしろ! この野郎!」

「ヨシ! 当たった!」

「ゴーレムの方に当てろ! 下から炙れ!」

熟練スナイパーだって命中させるのが難しそうなぐらいにマトが跳ね回るのだから、バーナーの火で直接狙うよりは炭火焼きみたいに下から面で炙った方が早く確実にこんがりと焼けるに決まってるよね!

頭に血が上っていてもちょっとは知恵が回るらしい!

ルナリアも一緒になって“2号”に狙いを変えている!

このままトドメを刺せれば一息吐けるかと考えたときだった。

早期警戒を続けてくれていたらしいイディアさんが警告を発する!

「敵襲―――ッ!! ラクネの群れ接近!!」

「「「「「ええっ!?」」」」」

新人さんたちの間から驚きの声が上がるけど、私は驚かないよ!

驚かないったら驚かない!

こんなの予想の範囲内で、フラグなんて立っていなかった!

動じなかったのはお母様たちやジアンさんも同じで、“2号”を焼き続けているお母様ではなくジアンさんから指示が飛ぶ!

「部隊を分ける! エターナ麾下はそのままドラゴンフライの討伐に当たれ! 残りはラクネの迎撃に当たる! 付いて来い!」

「「「「「はっ!!」」」」」

何やらハンドサインでイディアさんから情報を得たジアンさんが先頭に立って駆け出し、男の子たちと一部の女の子たちも後に続く!

エウリさんたちに守られたアスクレーくんもジアンさん組だ!

包囲陣の半数以上がゴッソリと抜けたけど、こっちにはお母様たちも残っているし、“2号”が離さない限り蜻蛉の親玉が自由になることはない!

ラクネか蜻蛉かどちらか早い方が片付けば、再び戦力を纏めて敵を一掃できる!

今度こそ終わりが見えてきたと息を吐きかけた、そのとき、今度はナンナちゃんが声を張り上げた!

「敵襲―――ッ!! ガルダ複数、接近!!」

「「「「「ええ―――ッ!?」」」」」

さすがに今度は私も一緒に驚いた!

まさか、このタイミングで!?

教わったガルダの習性に、「見定めた獲物を延々と狙い続ける」というものが有った!

だから、またきっと来るんだろうとは思ってたよ!

思っては居たけど、他の魔獣との戦闘中を狙ってくるの!?

単に襲って来るだけなら他にもタイミングは有ったはず!

思えば、ガルダは1度目もラクネとの戦闘中に襲って来た!

お爺様たちから聞いた昔話でも、ガルダはラクネとの戦闘中に襲って来たと言ってなかったっけ!?

もしかして、火事場泥棒的に襲って来るのもガルダの習性!?

“紅蓮”を使ったからガルダを呼び寄せたのではなく、ガルダは他の魔獣との戦闘中だから襲って来たんじゃ!?

いや、待て待て! 今は推論を立てている場合じゃない!

現状、ナンチャッテ航空戦闘は私にしか出来ない!

でも、蜻蛉にトドメを刺せていない状況で“2号”の制御を手放すわけにはいかない!

どうする!? どっちを優先すれば!?

いや、違う! そうじゃない! どっちも優先すれば良い!!

「・・・ルナリア!! 制御を代わって!!」

「ふぇっ!?」

いきなり話を振られたルナリアが素っ頓狂な声を上げる!

でも、私の意図は通じて居るみたいだから、ルナリアに蜻蛉の始末を任せられるなら私はガルダに対応できる!

「・・・ドラゴンフライを逃がさないように、“獰猛くん”の腕を維持するだけで良い!」

「ど、“獰猛くん”を!? わたし、やったことないわよ!?」

しくじった!

こんなことになるなら余裕が有るときにルナリアにも経験させておくべきだった!

進んだ時計の針は戻せないし、後悔なんてものはそんなものだと分かってる!

かと言って、ルナリアに出来ないと私は思わない!

ルナリアならきっと出来る!