軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生態系の覇者 ㉒

「・・・ルナリア! 敵襲、地下からだよ!」

「ええっ!? 地面の下から!?」

私の警告に驚いているルナリアを背中に庇って前へ出る。

今はノーアが一緒に居るからルナリアにはノーアを守って貰った方が良い。

クッソ。しくじった。

私たちは建設組だから戦闘部隊と一緒に居るよりも安全だと考えてノーアを手元に引き取ったけど、まさか、こっちに攻めてくるとは。

悪い予感を直視したくはなかったけど、無視していたわけじゃないし警戒はしていた。

ただ、予想を上回られて後手に回ったことだけは確かだ。

起こってしまったものは無かったことには出来ないし、ルナリアとノーアだけは何としても守り通さないと。

「・・・ルナリアはノーアを守って!」

「フィオレは!?」

「・・・ここで阻止する!!」

地下から出て来ようとしている魔獣がどんなタイプかは分からないけど、数が多い。

ほぼ一直線に地上を目指してきているのは、地表に走った亀裂を目指しているんだろうか?

亀裂―――、地面の弱い部分を選んで掘り進んでる?

アクティブソナーで着実に近付いてくる魔獣の位置を把握しつつ考察に思考リソースを割いていると、ルナリアがさらに私のリソースに負荷を掛けてくる。

「わたしも戦うわ!」

「・・・ルナリアはお姉ちゃんでしょ!」

共に在ろうとしてくれる気持ちは嬉しいけど、まだ幼いノーアを巻き添えには出来ない。

「フィオレだってお姉ちゃんでしょうが!」

「・・・お姉ちゃんだから妹を守るんだよ!」

言い返してきたルナリアに重ねて言い返せば、両腕の中にノーアを抱いているルナリアが言葉に詰まる。

今はみんなが戦闘に備えている状況で、私たちのどちらかがノーアを守らなきゃいけない。

ルナリアと私のどちらが戦闘に向いているのかといえば私に決まってる。

ここで飲み込むべきを飲み込んでみせるのがルナリアだ。

「無事に帰ってこなかったら承知しないからね!」

「・・・分かってる!」

もちろん無事に戻るよ。

私自身を含めて誰1人として犠牲者を出すつもりは無いからね。

無事にお家へ帰るまでが遠足なんだから、絶対にみんなを無事にレティアへ連れて帰る。

「・・・エレーナさん! ルナリアたちをお母様のところへ!」

「部隊と交代します!」

「・・・お願い!」

エレーナさんたちに課せられた使命はお母様を守ることだからね。

長年連れ添ってきたお母様の指揮下で動くのが、エレーナさんたちのポテンシャルを最大限に発揮できる。

ルナリアとエレーナさんたち抜けた穴は即座にピーシーズが埋める。

「フィオレ様の身は私たちが!」

「・・・みんな、前に出すぎないで!」

まだ何が出てくるか分からないからね。

前へ出ていこうとするピーシーズを引き留めて良い手がないものかと考える。

魔獣が地上へ出て来られなくする方法は無いかな。

ガチガチに土を固めるとか。

地面の亀裂を埋めるように周辺に土を生み出しつつギュッと固めてみた。

固めてみたんだけど―――。

「・・・あれ? 固まらない?」

固めたつもりの土が私の意志を受け付けない?

土の生成も負荷が大きかったように感じた。

これってどういうこと?

この状況に近いものに覚えがないのかといえば、有る。

質を似せる過程を経ていないけど、誰かの魔力に干渉しようとしたときに弾かれるのと似た感じがする。

ここの土は誰かの制御下―――、いや。干渉下に有るということだろうか?

でも、ついさっきまで行っていた木々の撤去作業で、エレーナさんたちは地面に干渉して土を柔らかくしてくれていた。

それが今は私の制御を受け付けない?

さっきと今で違いは何か有る?

違い? 違いか。

さっきと今で、無かったものと有るものが有る。地面に走った亀裂だ。

亀裂に意識を向けてみる。

「・・・コレか。見えなくなってる」

この状況を生み出しているものに私は覚えが有る。

地下の空洞だ。

地表の亀裂が地下の空洞の影響を受け始めている?

私の思考が亀裂に向けられている間にも、魔獣は亀裂周辺の土を突き崩しながら地上を目指してきている。

それはつまり、私が干渉できないものに魔獣は干渉できているということにならないか?

違いは何? あの空洞を作りだしたのが魔獣ってこと?

地下の空洞はハッキリと感じ取れないのに魔獣はハッキリと感じ取れている。

いや、違う。別々のものだと感じる。

何だろう? 似たようなものって無かったっけ?

一つの領域に対してアクセス出来る者とアクセス出来ない者がいる状況。

これってアレだ。

サーバーやシステムへの接続権限―――、アクセスキーみたいな感じかも。