軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第244話:ハンバーガーと、パーティー計画

「……おはよう〜、朝陽くん……」

時刻は午前十一時。

俺が一人で動画を見てくつろいでいると、寝癖をピョンと跳ねさせたパジャマ姿の凛が、目をこすりながら部屋に入ってきた。

「おはよう。よく寝たな」

「うん、すっごくよく寝た。……あ、もうお昼だね。お腹すいちゃった」

ソファに座る俺の隣にすんと腰を下ろし、凛が俺の肩に頭をコテンと預けてくる。

完全にオフモードの甘えん坊スタイルだ。

「そうだな。お昼、何食べるか。冷蔵庫に合い挽き肉とパンがあるから、ハンバーガーでも作ろうかと思ってるんだけど」

「ハンバーガー!? 食べる! 絶対食べる!」

その言葉を聞いた瞬間、凛はパッと顔を上げ、先ほどまでの眠そうな表情から一転して目を輝かせた。

「よし、じゃあ手伝ってくれ」

「はーい!」

二人でキッチンに立ち、さっそく調理を開始する。

合い挽き肉に塩コショウとナツメグを少しだけ振って、肉々しい食感が残るように手早く捏ねてパティの形を整える。

フライパンでこんがりと焼き上げると、肉のいい匂いが部屋いっぱいに広がった。

「うわぁ、すっごくいい匂い! 私は野菜の準備するね!」

「ああ。レタスちぎって、トマトを輪切りにしておいてくれ。バンズも軽く焼くか」

並行してフライドポテトも用意する。

バンズにマヨネーズとマスタードを塗り、シャキシャキのレタス、分厚いトマト、熱々のパティ、そしてとろけるスライスチーズを重ねて、崩れないように上からピンを刺せば完成だ。

氷をたっぷり入れたグラスにコーラを注ぎ、テーブルに並べる。

「うわぁ……! これ、完全に本格的なハンバーガー屋さんだよ!」

凛が目をキラキラさせながら手を合わせる。

「いただきますっ!」

凛が両手で大きなハンバーガーを持ち上げ、思い切りかぶりついた。

「ん〜〜っ! 美味しい!! パティから肉汁がじゅわって出てくるし、野菜もシャキシャキで最高!」

「どれ……うん、美味いな。やっぱり出来立てが一番だな」

フライドポテトをつまみ、冷たいコーラを流し込む。

手作りだからこその温かみがある、最高のジャンクフード・ランチだった。

「はぁ〜、お腹いっぱい。大満足……」

「ごちそうさまでした。口元にケチャップついてるぞ」

「えっ、ほんと?」

ティッシュを渡すと、凛は少し照れくさそうに口元を拭いた。

食後、食器を片付けた俺たちは、再びソファに並んで腰を下ろした。

「あ、そうだ。昨日の写真、おばあちゃんとお父さんたちに送ってあげるね!」

凛がスマホを取り出し、遊園地で撮った写真を次々と選び始めた。

凛は、おばあ様とご両親それぞれに個別にメッセージを送信している。

「『朝陽くんと遊園地に行ってきました。すっごく楽しかったよ!』……っと。送信!」

「俺も、叔母さんたちに送っておくか」

俺もスマホを取り出し、いつも気にかけてくれている叔母さん夫婦に『昨日は校外学習で遊園地に行ってきました。楽しんできました』と、俺と凛が一緒に写っている写真を添えて近況報告を送った。

すぐに凛のスマホが鳴り、「おばあちゃんからだ! 『いい笑顔ですね、仲良しで何よりです』だって!」と嬉しそうに画面を見せてくる。

「よかったな。……さて、午後はどうする?」

「うーん……今日はもう、ひたすらだらだらしたい気分」

「だな。じゃあ、録画してた映画でも観るか」

俺たちはソファに深く座り直し、クッションを抱えながら映画を再生した。

映画を観て笑ったり、途中で少しうたた寝をしたり。

遊び疲れた体を癒やすための、ひたすらに平和な時間がゆっくりと流れていった。

映画を見終わり、窓の外が少しずつオレンジ色に染まり始めた頃。

温かいお茶を淹れてテーブルに戻ると、俺はふと思いついたことを口にした。

「そういえばさ」

「ん?」

「来週の金曜の夜か土曜日に、大輝たちをうちに呼ばないか?」

マグカップを両手で持っていた凛が、きょとんとした顔をする。

「大輝くんと、陽菜ちゃんと、紗季ちゃん?」

「ああ。俺たち、付き合ってるのを秘密にしてる時からあいつらにはずっと助けられてきただろ。昨日の遊園地だって、俺たちが二人で回りやすいように色々気を遣ってくれたし」

「……うん。本当に、みんなには感謝してもしきれないね」

俺が言うと、凛も深く頷いた。

「だからさ、そのお礼も兼ねて、うちでしっかりもてなしたいなと思って。少し大きめのホットプレートがあるから、それでみんなで焼肉やろうぜ」

「焼肉! 大賛成! 絶対みんな喜ぶよ!」

凛が嬉しそうにパッと表情を明るくする。

「おもてなしって言うなら、朝陽くんの料理の腕の見せ所だね!」

「まあ、肉自体はスーパーの特売品になるかもしれないけど、自家製の『揉みダレ』にしっかり漬け込めばそれなりの味になるからな。箸休めのナムルとか、シメの冷麺も作るか」

「うわぁ、想像しただけでお腹すいてきちゃった! 朝陽くんの特製焼肉、私もすっごく楽しみ!」

俺がメニューの構想を話し始めると、凛はワクワクした様子で身を乗り出してきた。

「さっそくみんなに連絡してみるね!」

凛がスマホを手に取り、俺、凛、大輝、佐藤さん、寺田さんの五人で作っているグループLINEを開いた。

『来週の週末、いつもありがとうの感謝を込めて、朝陽くんのお家で焼肉パーティーをします! みんな、参加できるかな?』

メッセージを送信した、ほぼ直後だった。

『ピコン!』と、間髪入れずに大輝からの返信が届いた。

『行くに決まってる!! 朝陽の肉!!』

「言い方!」

「あははっ、大輝くん早すぎ!」

さらに数秒後、陽菜と寺田さんからも立て続けにスタンプとメッセージが届く。

『絶対行く! 楽しみー!』

『お腹すかせて行きます! 金曜でも土曜でも大丈夫だよ!』

みんなのテンションの高い返信を見て、俺も自然と笑みがこぼれた。

「みんな即答だったな」

「うんっ! みんなで集まるの付き合ってからは初だね!」

「来週に向けて、メニューとか買い出しの計画立てないとな」

みんなをもてなすためなら、手間も惜しくはない。

楽しみな予定が決まり、俺たちは穏やかで幸せな休日の夕暮れを、心待ちにする気持ちとともに過ごしたのだった。