軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

186話 意外な結末

タウさんはゴルダと何かを話していた。

ここら辺一帯のアンデッドは概ね討伐し終えたが、いくらかポツポツと残っている。

それらは今ここにいる街の冒険者達と王都から来た冒険者が倒すそうだ。

俺らはゴルダと共にクワモ高原を南へ移動する。

南側の高原にはまだまだ山脈から降りてきているアンデッドがいるそうだ。

それらを倒しながら移動して、死霊の森の西側のクワモ高原で戦っている冒険者達と合流するそうだ。

馬車の中の皆にブレスドアーマーとブレスドウエポンをかける。他に何かかけれそうなのあるかな?

ステータス画面の魔法欄を開いて確認する。

シールドはカンさんのアースがかかってるから……、あ、STRエンチャントがあった、それと、エルフの精霊魔法ウインドウォークがある。STRをかけたあとに一応聞いてみた。

「ウインドウォークあるけど、いる人?」

「お、くれ」

「ください」

「俺もかけて」

「僕も」

「俺はBPがあるからいい」

「私もいらなーい」

ナイトのふたり以外にウインドウォークをかけた。もちろんゴルダにも。あと馬にヘイスト魔法かけた。

けっこうMPが減ったので、移動中の馬車の中でMP回復させるために、マナクリスタルを手に持ち、詠唱した。

「メディテーション」

「WIZのMP回復魔法ですね。何か目の前で見ると凄く綺麗ですね」

ゆうご君が俺を見て感心していたのがちょっと恥ずかしかった。

「出てますね。ゴルダさんあの辺りで一旦止めてもらえますか? カオるんは馬車でメディテを続けて。カンさんとゴルダさんは護衛で残ってください」

俺は目で頷いた。

ゲームでなんだが、メディテ中に動いたり話したりするとせっかくかけた魔法が解除してしまうんだ。

それが記憶に鮮明に残ってたので、メディテ中は無言でジッとしていた。

とは言っても馬車の反動で多少動いているんだが、メディテは解除されたりしなかった。

今度時間がある時にキチンと検証しなくては。

馬車から降りた一行は高原へと走り去った。

俺はジッとしていたので様子がわからない。(見れない)

その後クワモ高原のアンデッドを倒しながら、馬車で進み、死霊の森の西に位置する高原にたどり着いた。

冒険者達が頑張ってアンデッドを食い止めてくれていた。

ここはまだ、数的にはそこまでではなかった。

ヒール役で参加しようかと馬車を降りかけたが、先程渡したポットで十分足りるそうだ。

馬車での待機を言い渡された。

とりあえずこの街近辺のアンデッドは駆除したが、アンデッドの氾濫が解決したわけではない。

ゴルダの眉間の皺は深いままだ。

タウさんがそんなゴルダに臆する事なく話しかけていた。

「この街の冒険者達は勇敢ですね」

「ああ」

「王都は大混乱でしたよ」

「うちは王都から連絡をもらった分準備の時間があったからな」

「しかし、困りましたね。ほら」

タウさんが顎で指した方を見ると、性懲りも無くまたクワモの向こう、山脈の麓から出てきたらしいアンデッドが小さくだが見えた。

「そうだな。元を絶たない事には限りがない。が、その元が」

「ええ、隣の国ですからね。ファルビニアは閉じた国らしいですね。協力とかしなさそうだなぁ。」

「あの、国境とかどうなっているんですか?」

俺は堪らず話に割って入った。

「国境は、あの山脈、山自体が国境だ」

うへぇ、あの連なった山々が国境なのか。

「何とか山の向こうに返せないかな」

「あっちの稀人が関係しているって聞いたけど、そいつらに何とかしてもらえないのか?」

他のメンバーも話に加わる。

「王都のとある筋から聞いた話ですが、あちらの国は稀人を奴隷にして操ってるとか、他にも怖い話が色々」

「タウさん、とある筋ってw」

「さすがうちの盟主だね」

「私ら、こっちに落ちて良かったわー」

「本当に」

「でもさー、アンデッドを山の向こうに返す何かいい方法ないかなぁ」

「カオ、何か思いつかないか?」

ゴルダ、何故俺に聞く。俺はただの弁当屋だっての。

ゴルダが何かに気がついたように片眉を上げて俺の顔をジッと見る。

「そう言えばカオ、お前、死霊の森に落ちてきた翌日、街までひとりで森を抜けたんだよな? その時は魔物に襲われなかったのか?」

「ん? い…や、森を抜けた後に草原でゴブリンに襲われたぞ? 俺が踏んだからだけど。」

「森では? いくら昼の刻とは言え魔物は出たはずだ。召喚獣で倒したのか?」

「ああと、あの時は……サモンじゃなくて犬出した。あ、いや、犬は森を出てからだ。森を抜ける時は……、何も出していない。ただ走った」

「走った? 走っただけか? 魔物を振り切ったのか?」

「ええとあの時は確か、マップに赤い点はあったけど、何か運良く向こうが避けてくれたんだよ、うん、そうだった! 赤い点が遠ざかったんだ」

「カオるん? ただ走っただけ、じゃないですね?」

タウさんの顔が、笑ってるけど怖い。俺、何か重要な事忘れてるか?

思い出せ!俺よ。怖い怖い怖い、タウさんの目が怖い。

「ええと、エンチャかけた、自分に。シールドとアマとウエポン、あとヘイスト……それくらいだったよな? それから足が速いバフォに変身した。ゲームでも駆け抜ける時はよくバフォ使ってたから」

「それか?……いや、まさかな。そんな事くらいで?」

「おい、タウロ、何かわかったのか?」

「いえ、まぁ、いや、違うかもしれませんがやるだけやってみますか」

タウさんがため息を吐きながら俺の前に来た。

「カオるん、その時と同じ状態になってもらえますか?」

「え、あ、うん。いいけど」

俺は言われた通りにバフォに変身してエンチャントを自分にかけた。

「その格好でちょっとあそこのスケルトンまで走って行ってきてください」

「え、それはちょっと……。バフォ変身すると手足頭の防具が外れるから防御が結構下がる。WIZはただでさえ紙防具なのにスケでも怖いんだけど」

「大丈夫。パラさん、アネッサさん、一緒に行ってあげてください」

「ん? いいよ〜」

「オケ」

俺たち3人はクワモ高原を突っ走り、スケルトンに近づいた。

こちらに向かって来ようとしていたスケルトンが俺たちに気がついた途端、今までと違う行動をした。

今まではこちらを視認するとスピードを上げて向かってきたスケルトンが、突然踵を返して逃げ始めた。

あれ?何でだ?

俺は追いかけた。

カシャカシャカシャカシャカシャ(←スケルトン)

タカタカタカタカタカタカタカタカ(←バフォ)

「え、何で何で? 何でスケ逃げるのぉ?」

アネさんが何か楽しそうに俺を追い越した。

「タウロー、これ殺っていいのー?」

アネさんはタウさんに念話で確認しているようだ。

「殺っていいってー」

「カオるん、ほらあっちからも出てきてる、行こうぜ」

パラさんの指した方へ向かうと、何とスケルトンは来た時よりも速い走り方で山の方へ逃げて行く。

あれ?何か俺も楽しくなってきた。

「うらうらうらぁ」

俺はバフォメットの細く長い手足を動かしてヘンテコな踊りを踊った。

サバトの生け贄ダンスだ。(勝手に命名)

「わははははは、何それぇ、カオるんダンスセンス無いー」

「ほっといて」

「でも楽しそうだから私もバフォになる」

「俺もなろう」

アネさんとパラさんがバフォメットに変身した。変身リングなら皆持っているはずだ。変身するのは容易い。

俺たち三体のバフォは山側で変なダンスを披露しながらアンデッドを追い回した。

スケルトンだけでなく、スパルトイもグールもゾンビも、皆、山へ帰って行く。

タウさんに呼ばれて俺たちは一旦クワモ高原のあちら側、ゴルダがいる方へ戻った。

俺たちはバフォの姿で皆の前に立った。

「まさかと思いましたが、まさかでしたね」

「どういう事だ?」

「今回の氾濫で出たアンデッドですが、アンデッドでも下位のモンスターです。恐らくバフォメットには敵わない事は理解しているのでしょう。解決ではありませんが、ある程度なら追い返す事は出来そうだ。

念話で王都のリドルくん達にも伝えたので、あちらでも試すそうです」

え?まさか、変身したバフォメットに恐れをなして逃げたのか?

「兎に角今は、山から出てきたアンデッドは山に返しましょう。あとは向こうの国がどうにかするでしょう」

「カオるん、変身スクロールはどのくらいありますか? リングを持っているとスクロールは皆持たないでしょう。でもカオるんの事だから倉庫に貯めていそうです」

「あ、いや、俺も流石にそんなにない」

「そんなに?って事はあるんですね? 僕は一枚も持ってませんよ」

「あ、俺もない」

「私もなーい」

「僕もないですね」

みんな本当に要らないものは持たないんだな。

「ええと100枚ある」

「もし出しても良いと思うなら、冒険者さん達にも変身してもらって山沿いに行進しましょう」

ステータスのアイテムボックス内の変身スクロールをクリックすると詳細が見えた。

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変身スクロール 持続時間8時間

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「8時間変身出来る、けどこの世界の冒険者でも変身出来るのか?」

「どうでしょうか。誰かに試してもらいますか? 冒険者の方いますか?」

タウさんがゴルダに向かってきいた。

「星影、こっちに来てくれ」

俺たち(バフォ)を遠巻きに見ていた冒険者の中からラルフ達が来た。

俺は変身スクロールを一枚出してラルフに渡した。タウさんが説明をしていた。

ラルフがバフォメットになれたところをみるとこの世界の冒険者も変身は可能だったのだろう。

とは言えスクロールに限りがある以上、今の時点で全部使ってしまうのは悪手だ。

どうするのだろうと思いながらタウさんとゴルダの話を聞いた。

「スクロールもそう数があるわけでないし、俺たちリング持ちが変身して山脈に沿って北へ進みましょう。変身スクロールはお渡ししておきますので、この先また山から降りてきた時に押し戻す為に使用してください、暫く山の監視は必要でしょう」

ふむなるほど。

とりあえず10枚だけ残して89枚をゴルダに渡した…が、スクロールってクルクルと巻かれた状態なので意外と嵩張る。

結局山さんが預かってアイテムボックスに収納していた。

俺たちは馬車で山脈沿いに北西端経由で王都へ行く事になった。

馬車はこのままギルドのを借りて行く。馬車の操作は王都から来た冒険者がやってくれるそうだ。

馬車の中には俺を含めて7人のバフォメットが狭い空間に 顔(ツノ) を付き合わせて座っていた。

異様な風景だ。……サバト馬車。