軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

185話 王都の稀人

よりによってこんな状態のところにカオが戻ってきた。

いや、良かったのか?

「ゴルダ、これ……」

「ああ、クワモから湧き出した。参った」

-------(カオ視点)-------

クワモ高原を上がりきったあたりから凄い数のアンデッドが流れてくる。

ここまで流れてきたアンデッドの中で戦ってるヤツらがいるな。

派手な装備が、1、2……5、6人か?

「ゴルダ、あの彼らは?」

「王都からのSランク冒険者だ」

うはぁ、Sランクか、凄いな。あの数のアンデッドをモノともしないのか。

あとさすがSランク、衣装が派手だ。

さてどうしようか。あれだけ密集してくれると燃やしやすい。さっきはバラけてたから使えなかった火魔法をぶっ放すか?

「ゴルダ、高原燃えてもいい? 燃やしたら困る?」

高原でした採れない薬草とかあるかも知れないので一応聞いた。

「燃やせるのか、出来るならやってくれ! 冒険者を下がらせる、誰か伝令に…」

ゴルダが他の冒険者を振り返るが、皆首を振る。

そうだよな、あの中に入っていくにはかなりの勇気がいる。

どうしようと思っていたところ、向こうからひとり、叫びながらこっちに向かって走ってきた。

「すみませーん! そちらの冒険者でWIZの人、いませんかぁ。回復魔法使える冒険者いたらちょっと一緒に来てもらいたいんですけどぉ!」

ゴルダが俺を見る。

「あ……はい、俺、WIZです」

勢いで返事をしてしまった。けど、あの中に入るのか?あのアンデッドでごった返してる中に?

「お! いるんだ! 言ってみるもんですね。えと一緒に来てください」

まだ二十歳前くらいの若い青年に腕を掴まれた。

ヒョロリとしてる割に力強く腕を引っ張られてアンデッドの大群の方へと連れて行かれる。

ゴルダ、助けて!ゴルダは呆気に取られて俺を見送ってた。

「いやいやいや、無理でしょアレ、あの中に入るの?」

「大丈夫ですよー」

いや、大丈夫じゃないって!

「おーい! みんな、WIZいましたぁ! パラさん、こっち来て」

「おう、ゆうごくん、ご苦労さん」

ん?パラさん?どっかで……。

「カオるん?!!! 何でいるんだよ!」

「何でって……いや、その前に誰?」

「俺だよ、俺、俺!」

オレオレ詐欺かよ。

だがどこかで見た覚えが……というかパラさんって名前。

「パラさ、ん、パラ…パラレルワンダ!さん?」

「ちげーわ! パラルレンダだよ!」

「そうそれ! パラさん、こっち来てたんだ!!!」

「おう、カオるんも来てたんだな。10年以上ぶりw」

「だな、あのオフ会13年くらい前だぞ。あ! カンさんは?」

「いるいる! カンさーん!」

「おい! お前ら! まずは戦え! どうも、カオ、久しぶりですね」

「タウさん、久しぶりー、あ、とりあえずエリアヒール!」

俺は皆が俺の周りに集まって来たのを見て範囲ヒール魔法を放った。

「お、サンキュー」

「さすがカオるん、満タンきたわ」

「助かったー、カオるんお久!」

「ん? もしかしてアネさん?」

「当たり! 会うのは初めましてだね」

俺の周りに集まってきたのは、何とゲームで俺が入ってたクランの面々だった。

タウさんが血盟主で、パラさんはナイト、カンさんが土エルフ!

この3人は13年前にオフ会で会った事がある。たった一度の数時間会ったきりだったので顔はうろ覚えだった。

「よっ、久しぶり、カオるん」

「ミレさん? お久っす」

ミレさんはダークエルフで、アネッサがナイト、もうひとり、さっき俺を引っ張っていった青年は知らない。

俺がゲームをやめた後に入ったのか?

「あれ? リンダさんは来なかったんか?」

他にエルフのリンダさんと言う女性もいたはずだが、彼女はこっちに来なかったのか?

「リンはリドル君と一緒にレモンちゃんの護衛で残ってる」

ん?リドル君?レモンちゃん?知らんな。入れ違いで入った人かな?

「リドルは別ゲーム、レモンさんは数年前に入った人。てかそんな事より働け、お前らw」

うわぁ囲まれてる、ゾンビ、グール、スパ、スケに。

「カオー、ファイアストームぶっ放してー」

相変わらずアネッサは過激だな。

アネッサのひと声で皆が俺に密集した。おそらく、ストームの中心に入るつもりだな。

「ふぁいあ、すとおおおむぅぅぅ」

腕を高く上げて詠唱した。その直後に炎が俺の周りから渦巻きながら高く広く舞い上がる。

アンデッド達が巻き込まれ燃えながら吹き飛ばされていく。俺の近くにいた皆は無事だ。

「おおう、よく燃えるなぁ」

「やっぱWIZはいいよなぁ、範囲魔法羨ましいぜ」

「あ、そうだ。ブランクスクにファイアボール詰めたのあるんだけど使うか?」

「くれ!」

「ちょーだい、さすがカオるん」

「え、俺の分もあるか?」

アイテムボックスからこないだの地下ダンジョンの残りをだして渡した。

70枚くらいあって、そのあと追加で30枚作ったから100枚くらいあるはず。

パラさんとアネッサが早速アンデッドに突っ込み、ファイアボールのスクロールを使っていた。

「キャハハー燃えるぅ! カオるんサンキュー」

「俺らも行こうぜ、ゆうご」

ダークエルフのミレさんと、ゆうご君?も突っ込んでいった。

「ゆうご君って何職なんです?」

「ああ、ゆうごはダークエルフですよ」

タウさんはゲームでもそうだったけど、クールで落ち着いた人だった。いつでも上から全体を見ているみたいに把握している。

「やはり魔法があると片付けるのも楽ですね」

「あ、そうだ。アースドスキン!」

カンさんが俺に向かってエルフ魔法を詠唱した。

そう、これこれ。カンさんの、土エルフのシールド魔法が俺にかかった。WIZのシールドとは比べものにならないくらい高い防御力だ。

「カンさん、あざます!」

「うん」

カンさんは無口だけど頼りになる人だ。

タウさんとカンさんと俺の3人はいわゆるアラフィフ(当時はアラフォーだったが)で、割と話が合う。

パラさん、ミレさん、アネッサが、今は…30代か?リンダさんはもう少し若かったかな?

ミレさんが戻ってきた。

「グレートヒール!」

頭から血を流していたのでヒールをかけた。

「お、サンキュ!」

「あ、ポットあるけど持ってくか?」

「マジか、助かる。使い切ってるんだ俺たち」

「今念話でみんなに送りました。ポット欲しいやつは戻って来いと」

いや、使い切ってるのにあそこに突っ込むとかどうかしてるぞ?

しかしさすが盟主、行動が早い。

タウさんとカンさんのふたりがここにいるのは、多分俺の護衛をしてくれているのだろう。

俺は赤P(初級回復薬)と白P(上級回復薬)を地面に置いた。欲しいだけ取っていってくれ。

それからGP(速度上昇薬)とBP(ナイト専用攻撃速度上昇薬)も出した。

「おっ、BPじゃん。さすがカオるん」

パラさんが早速BPを一本ラッパ飲みして、いくつかをアイテムボックスにしまい、またアンデッドに突っ込んでいった。

他の皆もそれぞれアイテムボックスに収納したようだ。

パラさんは物凄い速さでアンデッドを斬りまくっている。やはりナイトは凄いなぁ。

「おーい、カオるーん、こっちにもファイアストームしてくれるー?」

右奥のアンデッドが溜まった方からミレさんが叫んだ。

「わかったー」

俺は返事をしてからミレさんの方へ移動する。もちろんカンさんも着いてきてくれている。

カンさんとふたりでアンデッドを薙ぎ倒しながらミレさんに近づき、ファイアストームを放った。

「タウロさんから一旦戻れと念話がきました」

カンさんに言われてタウさんを探すがさっきの場所にはいなかった。

「あそこまで戻ったみたいですね」

カンさんの指差した場所は、ゴルダ達がいる場所だった。

クワモ高原はあちこちが黒焦げになっていたが、アンデッドはまだ残っていた。

ゴルダの所まで戻るとタウさんがクワモ高原の中心を指差した。

「カオるん、あの辺でブリザしてもらえますか?」

「ブリザか? ……アンデッドは火には弱いけど水魔法は……」

「大丈夫です。ブリザードほどの高レベル魔法ならゾンビ程度瞬殺ですよ。」

「え、でも……残ったスパとかが、タゲ取った俺に一斉にかかってくるんじゃ……」

「大丈夫。皆を付けますから」

「オッケー」

「任せろ」

「カオるん、安心してブッパして!」

「おら、行くぞ」

ええ……、否応なく高原のど真ん中に連れて行かれた。

「ブ、ブリザァァド!」

突然空に現れた暗雲から物凄い吹雪が高原の地面を叩きつける。

目の前がホワイトアウトした後、吹雪は止んだが一面は真っ白な雪景色だ。その、白い雪からボコりとスパルトイが頭を突き出した。

ボコリ、ボコリ……

ああ、やはり全滅はしなかったか。

「カオるん! 戦い辛い、ここら辺の雪溶かしてー」

無茶言わないで、どうやって溶かすんよ。

「カオるん、ファイアストームブッパブッパ!」

アネッサに言われて、ああと納得、ファイアストームを放った。俺らを中心に半径10mくらいの広さで雪が無くなった。近くにいたスパルトイも吹き飛んだ。

パラさん、アネッサ、ミレ、ゆうごくんは俺を円形状に囲んで、雪から出てくるスパルトイをサクサクと倒していた。

カンさんは側にいてくれる。俺はその場でメディテーションをした。(魔力回復)