軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第59話:最強兵器のダイブと新たな労働力(+謎の落下物)

『ターゲット確認! 全機、 一斉降下(ダイブ) ! あの対空・竜巻兵器を内部から破壊せよ!』

上空から超音速で突っ込んでくる、日本の命運を懸けた数十機のパワードスーツ部隊。

彼らは迷いなく、唸りを上げる巨大なすり 鉢(コンクリートミキサー) のド真ん中へと狙いを定めていた。

だが、最下層の空域に到達した瞬間、彼らの決死の突撃軌道は大きく狂うことになる。

「な、なんだこの異常な風は!? 機体が勝手に流されるッ!」

「スラスター全開でも姿勢制御が追いつかん! 竜巻に吸い込まれるゥゥッ!」

温泉の熱気と、水風呂をキンキンに冷やすための「巨大クーラー」から空へ吹き出す猛烈な冷風がぶつかり合い、さらにミキサーの竜巻が加わったことで、とんでもない乱気流が生まれていたのだ。

音速で突っ込んできた機動兵器たちは、その見えない巨大な空気の渦に為す術もなく煽られ、次々と降下軌道をズラされていく。

そして彼らが掃除機のようにズボォォォッ!と吸い込まれた先は――轟音を立てて空回り(アイドリング)を続ける、超巨大コンクリートミキサーの斜面であった。

「よしよし。上から勝手に鉄屑(材料)が落ちてきて自動投入されたな。よく出来たシステムだ」

露天風呂で寝湯を満喫しているケントは満足げに頷いた。

「親方ァ!? 自動投入じゃなくて、国家の機動兵器が勝手に竜巻に吸い込まれて落ちただけですってば!!」

湯船の端で、ヘルメット姿の 東雲(しののめ) 霞(かすみ) が頭を抱えて絶叫する。

その巨大ミキサーの内部では今、国家の最高戦力たちが文字通りの地獄(洗濯)を味わっていた。

「ぐあぁぁっ! 脱出できん! 凄まじい竜巻で壁に押し付けられるッ!」

「ギャアアア! 装甲が……謎の巨大な 羽根(ブレード) にバンバンぶつかって、ベリベリ剥がされていくゥゥッ!」

泣き叫ぶエリート兵士たちの悲鳴が響き渡る中、ケントはあくびを噛み殺しながら呑気に解説を始めた。

「竜巻の勢いでグルグルかき回されて、絶妙なナナメの羽根にバンバンぶつかるだけで、外側の硬い殻(装甲)だけが勝手にポロポロ剥がれ落ちるんだ。中身の柔らかい人間は傷つかない。巨大な洗濯機でゆで卵を回して、殻だけを綺麗に剥くようなイメージだ」

「巨大ミキサーで軍隊の装甲を強制的に剥ぎ取ってるの!? なんでただの竜巻とナナメの羽根だけで、そんな神業みたいな洗濯ができるのよッ!」

霞の涙目のツッコミが響き渡る中。

ガコンッ! ズザザザザッ!!

数十秒後。ミキサーの下部にある排出口から、大量の物体が吐き出された。

それは、ブレードで完璧なコンクリートの骨材サイズ(サイコロ状)に粉砕され、摩擦でピカピカに磨き上げられた「特殊合金の建材」。

そして、数百億円の装甲を完全に引っぺがされ、アンダーウェア一丁の姿で目を回している『無傷のエリート兵士たち』であった。

『ファーーーwww』

『国家の最終兵器、ただのサイコロ状の建材と化す』

『全自動・装甲ひんむき機』

『中の人は無傷なの、おっさんの安全第一精神が出てるな』

『ゆで卵の殻剥きwww』

特等席のクッションから、ルミナのドローンがピクピクする元・最強部隊の精鋭たちを容赦なく映し出す。隣ではコア公が「人間どもがバターのように回っておったわ」とピザをかじっていた。

「おおっ! 親方ァ! 殻剥きが終わった新人がいっぱい転がってますぜ!」

「こいつら、俺たちと同じ防衛省の連中じゃねえか! ようやく俺たちにも後輩(下っ端)ができたぞ!」

サウナで完全に整い、すでに何百億円ものボーナスでケントの『忠実な社員』へと成り下がっていた特務部隊の筋肉たちが、全裸に近い後輩たちを見て嬉しそうに駆け寄っていく。完全にブラック現場の先輩ムーブである。

「ふむ……」

ケントは吐き出されたピカピカの合金と、目を回すエリート兵士たちを交互に見て、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。

「納期前の徹夜のデスマーチに比べれば、少し洗濯機で回されたくらいで倒れるとは根性が足りないな。だが……良質な建材と、遊園地作りの『新しい労働力』が向こうから降ってくるとは運がいい。まあ、全員目を回してるから、今日のところは風呂にでも入らせてしっかり休ませるか」

ホワイトすぎる現場監督の、圧倒的な福利厚生による買収(邪悪な労働契約)が結ばれようとした、その直後だった。

「ぎゃあああああああああっ!!!」

突如、はるか上空から悲痛な絶叫が響き渡った。

「ん? 今度は何が落ちてきたんだ? まったく、上層の連中は『高所作業時は安全帯(命綱)をつける』っていう現場の基本ルールも知らないのか!」

国家の危機をただの「労災事故(落下)」として憤るケント。

姿は見えないが、凄まじい悲鳴が上空の雲の向こうからものすごいスピードで近づいてくる。ケントが訝しげに目を細める中、アビス最下層に次なる 理不尽(カオス) が舞い降りようとしていた――!