軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第9話 学園祭への招待

夜会でのあの残酷なすれ違いから、私たちの間には冷え冷えとした重苦しい沈黙が延々と続いていた。お互いに連絡を取ることもなく、会話らしい会話もないまま、ただ部屋の隅で冷めていく紅茶のように時間だけが静かに過ぎていく。そんなある日、私の元に一通の手紙が届けられた。

差出人の欄に記されていたのは、紛れもないミッシェル様の名。丁寧な、けれどどこか筆先が迷って躊躇ったように歪んだ文字で、彼が通う王立学園の学園祭への招待が短い文面で綴られていた。

『学園祭があります。もし、良ければ、あなたに来てほしいです』

短く、あまりにも不器用な、それゆえに彼の精一杯の葛藤が透けて見えるような招待状だった。

それを手にした瞬間、私の胸には喜びよりも先に、鋭い痛みを伴う躊躇いが暗い影を落として込み上げた。十五歳たちの瑞々しい庭に、すでに十八歳となった私が今更乗り込むなんて、一体どのような顔をすればいいのだろうか。

王立学園の一年生が過ごすエリアは、いま最も眩しく残酷な若さに満ち溢れている場所だ。デビュタントを終えたばかりの、未来への希望に目を輝かせる少年少女たちだけに許された無垢な聖域。そこに、一度は婚約者に裏切られ、社交界の酸いも甘いも経験し始めてしまった十八歳の私が赴く。それだけで、なんだかひどい場違いなことをするような、消せない引け目を冷たく感じずにはいられなかった。またあのピンクのドレスの時のように、陰で痛々しい若作りと笑われるのではないか、あるいはミッシェル様に無理をしていて変だと再び拒絶されるのではないか。予測される恐怖に足がすくみそうになる。

けれど、私の胸の奥には、まだ微かな灯火が消えずに残っていた。あの夜会でのミッシェル様の言葉は、私の心を粉々に砕いた。それでも、私は彼と新しい関係を築くと決めたのだ。このまま恐怖に負けて背を向けて逃げ出してしまえば、私たちの間に横たわる溝は永遠に埋まらないまま離れてしまう。少しでも、あの子の心に近づきたい、私たちの関係を修復したい。その一心で、私は一番自分らしくいられる、あの過剰な装飾をすべて仕立て直したシンプルで知的な紺色のドレスを選び、覚悟を決めて学園の重厚な門をくぐった。

学園祭の敷地内は、耳が痛くなるほどの熱を帯びた活気と笑い声で満ちていた。色とりどりの華やかな装飾が校舎を彩り、魔術光のシャボン玉が陽光を浴びてきらきらと宙に舞い、あちこちの露店から漂う甘い菓子の香りが鼻腔をくすぐる。行き交う生徒たちは誰もが制服を瑞々しく着こなし、お互いの距離の近さに頬を染めてはしゃぎ合っていた。

「あ、見て。あの方、ロイド侯爵家のアナベル様じゃない?」

「ふうん。例の、ヘンリー卿に逃げられた? じゃあ、ミッシェル様の新しい婚約者?」

「まあ。お綺麗だけど、やっぱり、私たちとは空気が違うわね。なんだか、大人が紛れ込んできたみたい」

すれ違う少女たちの、悪気のない、だからこそ剥き出しの刃のように鋭い囁きが鼓膜を容赦なく叩く。彼女たちには、私を意図的に陥れようという明確な悪意などないのだろう。ただ純粋に、自分たちの眩しい世界と比較して、私の存在を異物として認識し、憐れんでいるのだ。

案内された中庭のサロンに一歩足を踏み入れた瞬間、私はその場に釘で縫い付けられたように動けなくなった。きらきらと輝く木漏れ日の中、見目麗しい少年たちが集う一角があり、その中心にミッシェル様がいた。彼の周りには、まるでお伽話の絵画のように、何人もの可憐な十五歳の令嬢たちが楽しげに取り囲んでいる。

「ミッシェル様、こちらの焼き菓子を召し上がって? 飾り付けがとても可愛いのよ」

「まぁ、ミッシェル様ったら、そんなに冷たくあしらわないでくださいな!」

鈴を転がすような高い笑い声と、弾むような楽しげなステップ。彼女たちの肌は驚くほど白く瑞々しく、陽の光を浴びてそれ自体が発光しているかのようだった。感情を隠すための鉄の仮面など知らず、ただ純粋に、無邪気に、大好きな少年へと好意を向けている。それは、なんの計算も、焦燥も、義務もない、純粋無垢な若さという名の特権そのものだった。

その完璧な光景は、今の私にとってあまりにも暴力的で、残酷だった。眩しすぎて、直視することさえできない。胸がきりきりと引き締められるように痛む。十五歳の彼女たちは、あのパステルピンクのフリルを何一つ無理なく着こなし、大きなリボンを揺らして、世界で一番可愛らしく笑うことができるのだ。私がどれだけ夜を徹して文献を読み漁り、流行の小説を必死に勉強しても、決して手に入らない無邪気さを、彼女たちは生まれながらにして全身から振りまいている。

それに比べて、私はどうだろう。十八歳になり、社交界の荒波に飛び込み、婚約者の失踪という癒えない傷を負い、これ以上傷つかないようにと理知的な仮面を必死に張り付けている、可愛げのない大人の女だ。ミッシェル様の隣に立つのに本当に相応しいのは、あの輪の中で、彼と同じ目線で無邪気に笑い合っている瑞々しい少女たちなのだ。私のような、年の離れた行き遅れ寸前の女では決してない。

私は、ひどく場違いだった。自分の存在そのものが、彼の輝かしい青春の美しい庭を汚す無惨なシミのように思えてくる。

「あ……」

令嬢たちの輪の中心で、ミッシェル様がふとこちらに気づき、その湖のような青い瞳を驚きに大きく見開いた。彼は何かを言いたげに、一歩こちらへ足を踏み出そうとする。

けれど、今の私はその真っ直ぐな視線を受け止めることがどうしてもできなかった。今ここで彼に話しかけられても、あの少女たちの瑞々しさと自分を比較して、惨めさのあまりその場に泣き崩れてしまいそうだったから。私には、彼の隣に立つ資格なんて、最初からなかったのだ。

「ごめんなさい、ミッシェル様……」

届かない声で小さく呟くと、私は彼に背を向け、逃げるように中庭を後にした。背後から、少女たちの無邪気な笑い声が、まるで私の無様な敗北を祝うかのように、いつまでも、どこまでも追いかけてきた。