作品タイトル不明
スキル確認
待ち合わせ場所である第五階層の転送装置付近には、すでに多くの探索者たちの姿があった。
この階層まで潜る者たちともなれば、その装備は一端のプロと見紛うほどに洗練されている。機能美を備えた軽鎧や、魔素を帯びたきらびやかな武器。そんな光景をぼーっと眺めながら、悠太は壁に背を預けていた。
「――甘露寺くん、お待たせ」
転送装置が淡く発光し、如月の落ち着いた声が響く。
振り返ると、そこには如月を先頭に見慣れたパーティーメンバー三人の姿があった。しかし、如月以外の三人は、あからさまに不本意そうな素振りを見せていて、周囲に険悪なオーラを撒き散らしている。
「……久しぶりだな」
悠太が短く応じると、大輝が鼻を鳴らし開口一番に言い放った。
「勘違いするなよ。俺はまだお前の参加を認めたわけじゃない。お前が第五階層を単独でクリアしたなんてデタラメを言うから、その実力を見に来てやっただけだ」
「大輝くん、言い方に気をつけてって言ったでしょ」
如月が厳しく窘め、悠太に向き直って申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめんなさい、甘露寺くん。……でも、私の気持ちは変わってない」
「いいよ。俺も無理に協力するつもりはないから。納得いかないなら、今ここでやめたって構わないしな」
悠太が淡々と返すと、大輝はチッと舌打ちをして視線を逸らした。
まず連携を前提とする以上、お互いの手の内を確認しようということになった。悠太のスキルは敵がいないと実演できないため、先に四人のスキル説明から始まる。
「私は以前も見せたけれど、メインは三つよ」
如月が静かに告げる。
「周囲を立体的に感知する『空間把握』。離れた場所の物体を操作したり、不可視の打撃を加える『見えざる手』。そして、空間を切り裂き防御を貫通する『 虚空穿(こくうせん) 』」
続いて、大輝が自慢げに愛剣の柄を叩いた。
「俺はシンプルだ。一時的に筋力と魔素出力を爆発させる『剛力』。そして、全神経を一振りに集中させ、超高速かつ高威力の斬撃を放つ『一閃』。これさえあれば、大抵の魔物は消し飛ぶ。あとは当然、筋力アップ全振りだ」
大柄な剛田が、重厚な大盾を地面に置いて続ける。
「俺は格闘術スキルの『徒手真拳』が本来の持ち味だが、今はパーティーの盾役として動いている。覚醒してすぐに取得した『シールドバッシュ』で敵の姿勢を崩すのが俺の役目だ」
最後に、少し冷めた目をした佐々木が杖を軽く掲げた。
「私は氷魔法ね。遠距離から魔力の槍を放つ『アイスランス』とか、対象を凍結させて動きを止める『フリーズ』なんかが得意よ。その他にもいくつか魔法はあるけどメインはこの二つね」
一通り聞き終えた悠太は、頭の中でシミュレーションを行った。
空中を自在に飛ぶガルーダ戦において、有効な遠距離手段は如月の『見えざる手』と佐々木の『アイスランス』くらいしかない。大輝の『一閃』や如月の『虚空穿』は強力だが、降りてきた一瞬を突くしかなく、超高速で動く相手にまともに当てるのは至難の業だ。剛田の格闘術や盾も、地上に下りてこなければ持ち味が活かせない。
如月の『見えざる手』と、剛田の『シールドバッシュ』を除けば、彼らは皆、残りのスキルポイントのほとんどを基礎ステータスの底上げに充てていた。
悠太は彼らの構成を聞き終えたが、感想などは特に口にしなかった。ただ、無言で林の奥へと視線を向ける。
「どうだ? 何か言いたいことはないのか?次はおまえの番だぞ。その『特殊系』とやらが、ガルーダ戦に少しでも役立つのかどうか、しっかり見せてもらおうじゃねえか」
挑発的な視線を受け流しながら、悠太は静かに歩き出す。
「俺はステータスに一切ポイントを振ってない分、スキルがみんなより多い」
「は? ステータスを上げずによくここまで来れたな? 奇跡ってのはこういうことを言うのか」
「とりあえず、まずは基本的なところから見せるよ」