軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第66話 告知にヒントあったから

「どうも、ケンちゃんネルのケンです。はい、それでは今回も配信をやっていきたいと思います」

〈待ってた〉

〈世界のニシダ〉

〈キッチンザムライ〉

〈お、また知らないダンジョンに来てる?〉

〈代々木じゃん〉

〈よく分かるな〉

〈告知にヒントあったから〉

「ご指摘の通り、今回はまた違うダンジョンに来てみました。渋谷区の代々木公園にある代々木ダンジョンです」

代々木ダンジョンは、立川にある立飛ダンジョンと同じくクラス4のダンジョンだ。

〈東京はマジでダンジョン多いからなー〉

〈20以上あるんだっけ?〉

〈人口密集地だからな〉

〈うちの県なんて一つしかないのに泣〉

〈都市と地方の格差よ……〉

コメント欄で嘆いている声もあるが、実はダンジョンの数は、都市と地方で雲泥の差がある。

まだその原因は分かっていないものの、ダンジョンの出現数と人口規模には、かなり強い正の相関があるとされていた。

つまり人口が多ければ多いほど、ダンジョンの数も多いのである。

現在、日本国内で約200のダンジョンが発見されているが、そのうち22個が東京にあった。

なお、そのうち15個が23区内にあり、7個が23区外に存在している。

次いで多いのが神奈川の15個で、大坂の14個、愛知と埼玉の12個と続く。

そして福井、山梨、和歌山、鳥取、島根、徳島、香川、高知、佐賀の九県には、一つずつしかダンジョンが存在していない。

〈高知県民の俺、県内のダンジョンに行くのすら車で3時間近くかかる〉

〈うちは和歌山。まだダンジョンに行ったことない〉

〈那智の滝があるとこだっけ? ダンジョンって割と観光地にあるよな〉

〈鳥取は鳥取砂丘にあるしな〉

〈島根は出雲大社だし〉

〈香川は飯野山やぞ〉

〈飯野山……?〉

〈知らんw〉

〈分からんなー〉

〈浅識ゆえ……〉

〈有名なところ?〉

〈讃岐富士って呼ばれてる山やろ。新日本100名山の一つ〉

〈お、おう……〉

〈もっと他にあったやろw こんぴらさんとか、栗林公園とか〉

〈香川はうどん県だからボソッ〉

〈しかも飯野山ダンジョンはクラス1〉

〈上層しかなくて草〉

〈たった一つのダンジョンがwww クラス1とかwwww〉

〈香川は一日一時間しかゲームできんからな〉

〈なるほど。……なるほど?〉

〈ダンジョン探索も一日一時間までってことか〉

「……なんか香川がめちゃくちゃディスられてますが、香川はとても良いところですよ」

〈ニシダのフォローに香川県民の俺涙目〉

〈なお、那智はクラス5、砂丘はクラス7、出雲はクラス6と、過疎地のダンジョンは割と高難度ばかりだったりする〉

〈なのに香川だけクラス1で草〉

〈もうやめて! とっくに香川のライフはゼロよ!〉

「で、では、早速潜っていきますね」

入り口を潜り抜けると、そこは洞窟の中だった。

ダンジョン上層は洞窟タイプであることが多い。

そして中層になると、人工的な遺跡のような場所に変わるのが一般的だ。

出没する魔物も割と各ダンジョンに共通していることが多く、そのため中層までであればあえて別のダンジョンに潜る意味は薄い。

もちろん同じ洞窟タイプや遺跡タイプであっても、ダンジョンによってちょっとした変化が伴うケースもある。

あちこち水没している多摩川ダンジョンとかな。

一方で、下層以降は一気にバラエティに富むようになる。

ダンジョンによって環境が大きく異なっていくため、特定のダンジョンにしか出没しない魔物もいたりする。

ここ代々木ダンジョンもまた中層まではベーシックな感じだが、下層からは急峻な崖を下っていくようなフロアが続く。

「というわけで地下11階、下層までやってきました」

〈相変わらずの早さw〉

〈ニシダにとって上層や中層は狭くて仕方ない〉

〈ここでどんな魔物を探すんやろ?〉

〈崖だからフロア全体を見渡せるんやな〉

「はい、ご覧の通り、ここから全景が分かりますね。お陰で狙いの魔物を見つけやすそうです。……あ、いました。早速見つけたので倒しに行きましょう」

俺は崖を走り出す。

〈怖えええええっ!〉

〈ほぼ落下じゃん!〉

〈崖を走り下りるとか頭おかしい〉

〈ニシダだから〉

〈ようやくどこに魔物がいるか分かった〉

〈俺も!〉

〈え、まだ分からんのやが〉

〈周囲の土と同じ色してるから分かりにくいな〉

それは一体のオーク。

ただ、普通のオークが薄い茶色、ハイオークが濃い茶色をしているのに対し、目の前のオークの肌はこのフロア一体の土と同じ灰色だ。

その首を包丁で刎ねて瞬殺する。

すると身体の色が本来の黒色に戻っていった。

〈うお、マジでいた!〉

〈全然わからんかった〉

〈カメレオンみたいなオークか〉

〈こんな巨体が身を隠しながら近づいてくるとか怖すぎ〉

〈実際には黒豚なのね〉

「こいつはインビジブルオーク。擬態能力を持った特殊なオークですが……実はハイオークを上回るほど肉が美味いらしいんです」

〈ハイオークより美味いだと……?〉

〈じゅるり〉

〈新たな食材ゲットだぜ〉

〈どんな料理にするんだろ?〉

「今のところ黒豚とんかつ定食にしようかと考えてます」

〈最高〉

〈やば〉

〈想像しただけで涎が〉

〈口の中に肉汁が溢れてくる〉

〈外はサクッと、中はじゅわっ〉

〈甘い脂身……でも、くどくないからいくらでも食べれそう〉

〈いや、お前ら黒いオーク見ただけでよくそこまでイメージ湧くよなw〉

それから俺は黒豚、もとい、インビジブルオークを探して狩り続けた。

同じ階で狩り続けると枯渇してくるため、少しずつ下階に移動し……やがて地下13階まで下りてきたときだった。

「キャアアアアアアッ!」

「悲鳴?」

どこかから響いてきた、恐らくは女性のものと思われる甲高い声。

すぐに声が聞こえてきた方向に視線を向けると、そこには崖を必死に下りおりていく若い女性と、そのあとを追う熊の魔物の姿が。

「探索者が襲われているようなので助けに行きますね」

〈さすがニシダ迷いなし〉

〈独身だからな〉

〈ダンジョン出会いを求めるのは間違っているぞw〉

〈なんかすごい美人じゃね? てか、外国人?〉

〈ほんとだ。日本人じゃなさそう〉

〈何で外国人が日本のダンジョンに潜ってるんだ?〉