作品タイトル不明
間話「花粉症でまもんまもんじゃね?」
――青森某所。
「まもしゅんっ! はぁ、今年もまもんまもんな花粉ですまもんまもん」
「今のくしゃみだったの!?」
グレーのオーダーメイドスーツに長靴を履く七つの滞在の強欲を司る魔族マモンは、可愛いくしゃみをしてポケットからティッシュを取り出し勢いよく鼻をかむ。
「……お前、花粉症だったのか」
「まもん……平成くらいから春が近づくと目の痒み、鼻水、倦怠感を覚えていたのでまもんまもんが、先日亜子さんに言われて病院に行ったらまもんまもんと花粉症でまもんまもん」
「まじかー、魔族も花粉症になるのかぁ。ていうか、どんな顔して魔族が病院行ってんだよ。頑張れよ、なんか魔族パワーで乗り切れよ」
「さまたん様、このマモンは強欲な魔族ですが繊細な魔族でもありまもんまもん」
ずびー、と再びマモンは鼻をかむ。
「さまたん様はお元気ですね……紀元前はよく風邪をひいていたのに」
「林檎食べてるからな!」
「……林檎に栄養がまもんまもんであることは十分に知っておりまもんまもんですが、さすがにそこまで万能まもんまもんではないでしょう?」
「お野菜食べてるしな!」
「野菜たべててえらいまもんまもん! いえ、それだとこのマモンも同じでまもんまもん」
「うーん、もともと花粉症とは縁がないからよくわからん!」
「まももももも、歳をとると急にくるでまもんまもん。聞けば、二十代で花粉症がなかった人間が三十代になると急にまもんまもんと症状が出るそうです。きっとさまたん様もそろそろ」
「誰が三十代だ! ぶっ飛ばすぞ!」
さまたんが拳を握るが、マモンは慌てない。
ぶっ飛ばすつもりがあるのなら、とっくにぶっ飛ばされていると知っているからだ。
「三十路というか、紀元前から生きている年寄りが何もをまもんまもんと」
「お前だって同じじゃねえか!」
「まもんまもん! このマモンは、ほら、イケおじですのでまもんまもん!」
「関係ねえよ! それ言ったら、私だって可愛らしい女の子じゃねえか!」
「……どっちもどっちよねぇ」
団栗の背比べをしているマモンとさまたんに、畑の雑草を抜いていた愛の女神愛ちゃんがため息をつく。
「私からしたらどっちも老人よ」
「……ほう、このマモンを捕まえて老人とは……お前もまもんまもんにしてやろうか!」
「意味わかんない!」
「というか、先日来たばかりなのになんでまた来たんだ? 畑仕事を手伝いたいのなら、本格的に就職させてやってもいいが」
「嫌よ! そうじゃなくて、北海道で新たな神々の会議があったのよ。私は出たくないし、関わるつもりもないって言ってるんだけど、遊戯の神が――幼馴染みが◯◯◯するまで出られない部屋の動画をくれるって言うから」
「……まもん」
「おまえな」
「興味があったから仕方がないじゃない! ちゃんとお土産買ってきたからいいでしょう!」
ちなみに愛ちゃんが買ってきたのは、超有名なおかしと、らーめんだ。
「お土産はありがとうだけど……新たな神々の会議って何やってるんだ?」
「まもんまもん。きっと全国の学校の教室の扉に黒板消しを挟むか挟まないかだと思いまもん!」
「しょぼ! もっと悪いことしろよ!」
「どんな会議よ!? あんたらばっかじゃないの!?」
「甘いな、愛の女神愛ちゃんよ。このマモンが現役の時、それこそ数年前にマジでそんな会議を魔族はやったでまもんまもん! ルシフェルがブチギレて会議は中途半端で終わってしまもんまもんだが、バレなければ面白いことになっていたであろうまもんまもん」
「お前……ルシフェルくんに謝ってこい」
「夕方のニュースで面白く扱われていたでしょうねぇ」
――やっぱり青森は平和だった。