軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プロローグ「UMAじゃね!?」

由良夏樹は異世界で大暴れした勇者である。

だが、そんな夏樹であっても、UMA業界でも有名なモスマンを前に動揺を隠せない。

「ちょ、嘘ぉ! あ、やべ、心臓が止まりそう、寝起きなのに死ぬほどびっくりして心臓がひゅってなったひゅって」

胸を抑える夏樹と抱き合って驚いているのは、幼馴染みして最近宇宙デビューと異世界デビューを果たし勇者となった三原一登だ。

「夏樹くん!? ちょっと大丈夫!? ていうか、モスマンさんの相手をしてよ! 俺にはそんな勇気ないよ!」

「俺だってないよ! なんか普通に怖いよぉ! 瞳が爛々と輝いているじゃん! こわっ、普通に怖っ!」

「そ、それよりもモスマンさんって腕がない説とある説があったけど、ある説が正しかったんだね。ほ、ほら、見てよ」

「本当だ! 腕がある! でもUMAが存在しているインパクトが大きすぎてどうでもいい! めっちゃどうでもいい!」

中学生コンビにはモスマンの登場は刺激が強すぎたようだ。

「ていうか、なんで俺の部屋の隅にいるの!? そこにはおしゃれな観葉植物が……なかったけど! 寝る前!? 寝たあと!? いつ!?」

「そ、そうだよね。夏樹くんが気づかないとか、モスマンさんやばいよぉ」

夏樹と一登は身体を震わせながら、モスマンに問う。

するとモスマンは、微笑むと教えてくれた。

「昨日の朝からだよ」

「昨日の朝!?」

「嘘ぉ!?」

「大変申し訳ないと思ったが、こうやって会う前に夏樹くんの人となりを見せてもらったよ。家族と仲良く、友を大事にしている姿は、素敵だったよ」

「あ、ありがとうございます?」

「実を言うと、夏樹くんが学校から帰宅したら声をかけようとしていたのだが、何やら忙しそうだったのでね。部屋で待たせていただいたよ。ただ、なかなか帰ってこなかったので、うたた寝をしていたところ、夜中に帰ってきたので、さすがにご迷惑をかけるのは忍びないと思い朝まで待っていたのだよ」

「その結果が心臓止まるレベルのドッキリって、気が利いているんだか利いていないんだかわかんないよぉ!?」

正直、ゾッとした。

モスマンから敵意が感じられないから気づかなかったのかもしれないが、それでも部屋にいたのにも関わらず、眠れたことが驚きだ。

異世界にいたせいで身につけた警戒心が急に解けたわけではない。

そもそも、夏樹よりも格上の魔王サタンもいるし、小梅と銀子だっていたはずだ。

だというのにも、モスマンはいつの間にか家の中に入っていたのだ。

「これでも気を利かせたほうなのだよ。他にもイエティとビッグフッドとチュパカブラも一緒に来る予定だったからね」

「オールスターじゃん! 逆に呼んでほしい! ていうか、イエティもビッグフッドもチュパカブラもいたのかよ!」

「……河童や人魚、半魚人がいるんだからUMAがいても仕方がないというかなんというか」

まだファンタジーに慣れていない一登にしてみたら、妖怪もUMAも大差なかった。

「と、とりあえず、どうする? 朝ごはん食べる?」

「ありがたくいただこう、その前にまだ自己紹介をしていなかったね」

「え? さっき、ウエストバージニア州ポイントブレザントからこんにちはって言ったじゃん?」

「それは私がやってきた場所のことだね。名前を名乗らせていただこう」

ごくり、と夏樹と一登が息を飲む。

一体、どんな名前なのだろうかと興味津々だ。

「――モスマン・忍。よろしくもすもす」

「なんでお名前を日本に寄せてきたの!? あと急に語尾で主張しなくていいから! 十分すぎるほどモスマンさんってだけでインパクトあるからこれ以上余計なことしないでください! お願いします!」