作品タイトル不明
88「美脚の神とバトルじゃね?」
橋脚に背を打ちつけた美脚の神に夏樹は追撃した。
拳を鳩尾に叩き込み、彼の身体をくの字に折った。
追撃はそれだけではない。
膝を腹に入れ、頭突きで美脚の神の額を割る。
神の額から鮮血が舞った。
「どうした、美脚の神!? 美脚以外に取り柄がないのか!?」
「あまりにも規格外なっ、これが中学生だと!? ――ならば!」
美脚の神が神気を爆発させる。
瞬間的な神気の衝撃によって今度は夏樹が吹き飛ばされてしまい並ぶ橋脚に背中から激突した。
「私は負けるわけにはいかないのだよ。私が負けたら、失ってしまう! それだけはできん!」
血を吐き出した美脚の神は、「ぬぅん」と気合いを入れる。
すると、彼の右足に神気が集まっていく。
神を名乗るに相応しい、凄まじい神気だった。
「さすがにそれはやばいかも」
橋脚に激突し、川に落ちていた夏樹は、美脚の神を見て楽しそうに笑う。
「いくぞ、由良夏樹くん!」
「こいよ、美脚の神!」
両者が全力の一撃を放つ。
「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「どりゃぁああああああああああああああああああ!」
互いに蹴りを繰り出した。
右足と右足が激突する。
――なんて美しい。
夏樹は美脚の神の渾身の蹴りに見惚れてしまう。
刹那、夏樹の足がへし折れ美脚の神の右足が夏樹を左から襲う。
防御した腕をへし折り、あばらを砕く。
夏樹の口と鼻から血が出た。
上半身が飛んでいってしまいそうな衝撃と痛みが襲うが、必死に堪える。
だが、片足では限度がある。
ならば、攻撃だ。
夏樹の右手が水面に触れる。
ずぅ、っと川の水量が半分以上減った。
「――な」
夏樹の右手には水を凝縮させた剣が握られている。
「――ギャラクシーまもんまもんカッパマツリフォーエバー対美脚用河童勇者斬り!」
夏樹の握る水剣は美脚の神を真っ二つに斬――ることなく、視界の端にある遠くの橋を真っ二つに両断した。
美脚の神は水剣が自身を襲わなかったことに驚きを禁じ得ないようだった。
だが、夏樹は満足した顔をして、崩れ落ちる。
「貸し、美脚いち、だからな」
「――っ、まさか!?」
美脚の神が夏樹を受け止め、振り返る。
美脚の神の視線の先には、橋と共に真っ二つになった――見張りである新たな神々を確認した。
「君は、まさか」
意識がある夏樹が親指を立てる。
監視役である神の傍には、尻餅をつく、人質にされていた美脚の神の末の妹がいた。
「由良夏樹くんっ! 君に心から感謝する!」
美脚の神は夏樹を抱き抱えたまま、妹の元へ飛んだ。