軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

87「美脚の神とかやばくね!?」③

(あ、やべ。この人っていうか、この神……目がマジだ)

本当に美脚を百人用意してしまう意思が美脚の神たちから感じ取った。

「――勇者ジョークに決まってるだろ! 清く正しいギャラクシー河童勇者が美脚の持ち主を何人用意されたとしてもお前たち新たな神々に靡くことはない!」

きりっ、と表情を引き締めた夏樹に、一登が「そりゃないよ」と残念な子を見る目を向け、義政が「夏樹さんらしいといえばらしいですね」と苦笑いした。

「……そうかね。交渉は決裂かな?」

「残念だけど、決裂だ」

「じゃあ、さっさと殺しちゃいましょうよぉ! こいつを仲間にするか殺すかしないと」

「よさないか!」

美脚の女神が爪を噛んで夏樹を睨み口を開くが、途中で美脚の神に止められる。

「――ん?」

夏樹と一登、義政は目を合わせ首を傾げた。

「余計なことを言うな、妹よ」

「……ごめん、兄さん」

「兄妹なの!?」

「よく似ているだろう?」

「う、うん、まあ」

「しかし、残念だ。君が仲間になってくれれば、美脚の神の末弟として迎えたかったのだが……殺すしかないね。悪く思わないでほしい」

今までなかった明確な殺意が美脚の神から放たれた。

肌がびりびりする。

彼の圧だけで、頬が裂けて血滴る。

「へぇ」

血を指で拭い、舐めた夏樹が笑みを浮かべた。

「恨みはないが、縁がなかったということで――すまない」

美脚の神が消えた。

次の瞬間、夏樹の眼前に現れ拳を握っていた。

鋭い拳が放たれる。

夏樹は拳を握り締め、応じた。

音を立てて吹っ飛ばされたのは夏樹の方だった。

「――夏樹くん!」

「夏樹さん!」

「あんたたちは動かないでねぇ。今回は、由良夏樹だけを目的にしているからぁ。でも、余計なことをするのなら、痛いことしちゃうからねぇ?」

身構えていた一登は、大きく息を吸いこみ、構えを解く。

「良い子ね」

義政を守りながら戦う自信がなかったのだ。

いくら力を手に入れて勇者となったからとはいえ、経験的にも実力的にも一登は未熟すぎた。

しかも、今は火輪の剣は離れてしまっているため、戦闘面でも大きく力を失っている。

不用意に戦うのは愚かな選択だった。

「――夏樹くん、ごめん」

助けに行くこともできず、足手纏いになってしまった一登は唇を噛んだ。

「あー、せっかくお風呂とサウナに入ったのにずぶ濡れなんですけどぉ!」

川に落ちた夏樹は、濡れた髪を掻き上げて中洲に立った。

「殺すつもりで殴ったのだが、頑丈だな、少年」

「勇者ですから! ていうか、美脚な神なら蹴ってくるかと思ったからびっくりしてまともに受けちゃったよ!」

「……この美しい足に傷がついたらどうする?」

「ですよね! 僕が浅はかでした!」

美脚の神だから足技がくると思い込んでいた夏樹の大きな失態だった。

反省するしかない。

「だが、君が望むのであれば、我が足を披露しよう」

「ぜひお願いします! ていうか、あんたたちって事情ありっぽく見えるから逆に聞くけど。今なら、力になってやるけど?」

「――はしゃいでいるようで観察力があるようだね。しかし、無用だ。我々の問題は君を殺せば解決するのだから!」

「……残念だよ」

夏樹は地面を蹴り、美脚の神に肉薄する。

夏樹の足が鞭のようにしなり、美脚の神の脇腹を捉えた。

「ぐ、あ」

夏樹の攻撃になんとか反応できた美脚の神は防御に徹したが、それでも勢いを殺せず橋脚に激突した。