軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「愛ちゃんとまもんまもんじゃね?」

――青森。某所。

「まもんまもんまもんまもんまもんまもん!」

「本当ようねぇ。まったく新たな神々がおバカなせいで愛ちゃんまで迷惑被ってまもんまもん」

「まもんまもんっ、まもまもまもんまもん!」

「わーかーるー!」

「まもんっ、ままままままもんまもんまもんまもん!」

「さすが、七つの大罪の魔族ね。愛ちゃんもあなたくらいに大きく構えられたら、と思うわ」

「まもん!」

「――いやいやいやいや、人っ家で何やってんの!? あと、すごいね! 私以外にくっだらねーマモン語をそこまで理解している奴初めて見たよ! ていうか、新たな神々が何やってんの!?」

仕事を終えて帰ってきたさまたんは、まもんまもんとしか発さないマモンと何も問題なく会話をしている愛の女神愛ちゃんに衝撃を覚えていた。

(――正直、動揺を隠せないんだけど。適当にまもんまもん言っているだけにしか聞こえないマモンの言葉が理解できるなんて……押し付けるのものアリか?)

「ちょっと、さまたん。私にマモンを押し付けようって顔をしているのがバレバレなんだけど」

「……そんなことないでまもんまもん」

「あんたの語尾にまもんまもんはつかないでしょう!?」

さまたんの家の茶の間で、割烹着姿のマモンと会話していたのは、セーラー服に身を包んだ愛の女神愛ちゃんだ。

さまたんは、自分と同等にマモンの言葉を理解するさまたんに、マモンを丸投げしてしまおうかと思ったが、顔に出ていたようで見破られてしまった。

「……それで、新たな神々が何の御用ですかー?」

「つれないわねぇ。マモンがお米とキャベツをお裾分けしてくれるっていうからもらいにきたのよ」

「……新たな神々なら、もっとこう他に理由がないのかよ!」

「昨今のお米と野菜の値上がりをしらないわけじゃないでしょう!」

「よーく知ってるけどさ! キレんなよ!」

「私は主食がお米だから……家計が苦しくてスーパーでパート始めようと思って履歴書書いたのよ!」

「もっと神らしくしてよぉ!」

「お菓子も値段あがっちゃったし、ビールだって買いたいし!」

「やめろぉおおおおおおおおおおおおお! 仮にも世界に混乱を招く新たな神々の中でも十天とか言われるほど強い愛の女神が庶民的なこと言うなぁああああああああ!」

「……こっちは切実だから!」

さまたんの瞳から涙が流れる。

すでに現役を退いたさまたんであるが、新たな神々に関しての情報は回覧板で伝わってくる。

その中でも、要注意である新たな神々が「十天」だ。

新たな神々の中でも上位の力を持つ十柱である。

十天の中でも上位に食い込む力を持つ愛の女神が、「これ」とはなんというか、切ないものがあった。

「ちょっと泣かないでくれます!? な、なんでお裾分けもらいにきただけでこんなにダメージ受けないといけないの? いいわよ、ちょっと、お酒なんていらないか……まあ、出されたものを飲まないのは礼儀に反しているからね。いただくわ」

愛ちゃんはさまたんと一緒に缶ビールのプルタブを開けると、「かんぱーい」と陽気な声をあげてビールを飲んだ。

ごっごっごっ、と喉が鳴る。

「かーっ、たまんないわねぇ!」

「くぅーっ、仕事の後の一杯は最高だぜ!」

いえーい、と再び乾杯する二人。

そこにマモンがそっと、茶碗を置く。

白米ではない。

「――キャベツと鮭の炊き込みご飯でまもんまもん」

一口サイズに切った春キャベツと、美味しそうなシャケがほぐされ、艶やかなお米と三位一体となっていた。

ごくり、と愛ちゃんが唾を飲み込む。

「――いいの?」

「おあがりまもんまもん!」

「今日は泊まっていけよ!」

「ありがとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお! うめぇええええええええええええええ!」

涙を流しながら炊き込みご飯を掻き込む愛ちゃん。

――青森は今日も平和だった。