軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

78「お話を聞くんじゃね?」③

「なんか悪かったな。てっきり花子は反抗期だと思っていたんだが、これほど深い事情があったとは思わなかった。ありがとうな」

「……事情、深かったかなぁ?」

水無月家のサウナで魔王サタンは、夏樹たちに礼を述べていた。

聞けば、花子は変わってしまった事情を頑なに話さず、サタンと距離をとっていたようだ。

一番親しかった小梅も花子を亡くなったと判断してしまっていたことから、花子はひとりで暴走していたと言える。

「義政先生のおかげだね」

「本当だよ、ありがとうな。義政大先生」

「いえいえ、よしてください。僕はきっかけを作っただけに過ぎません。察するに、根本は変わっていなかったのでしょう。ただの一般ボーイである僕が割って入った時にも本気で怒ってくれました。ご家族と話ができる時間は、きっと花子さんも欲しかったんだと思います」

現在、花子は小梅と銀子と茅と、合流した雲海、澪、都たちでお風呂中だ。

茅が提案した、花子の化粧などを一度落としてしまい、外見だけでも昔に戻せるかやってみようと挑戦中だった。

「話した感じは、ノリのいいお姉ちゃんって着地点に落ち着いたけどね」

「中学生が言っていいのかわからないけど、まだ婚活に焦らなくてもいいんじゃないかな」

最初の登場こそ決して良いものではなかった花子だが、意外とノリがよく話せるので夏樹と一登はいずれ良い人が見つかるんじゃないかと思っていた。

「その辺は、個人の気持ちの問題じゃねえかな。ウチの長男と次男は結婚していねえし。次男の三郎なんて、やりたいことを全力で楽しんでいるからありゃもうしばらく結婚しねえだろうなぁ」

「長男はルシフェルさんなんだろうけど、三郎さんって何している方?」

夏樹の素朴な疑問に、「ああ、そういえば言ってなかったな」とサタンは教えてくれた。

「三郎は医者だよ。向島市総合病院で働いてるぞ」

「また向島市にいるの!? もうルシファー一家揃っちゃったじゃん! 大集合じゃん! なんなの!? 向島市はビッグネームを寄せ付けるフェロモンでも出てるの!?」

「まさか。三郎は以前は東京で働いていたんだけどな。派閥争いにうんざりして向島市に来たんだよ」

「……天使なんだから日本じゃなくて英語圏で活躍すれば良いのに」

「日本ほど神も魔族も受け入れてくれやすい地もねえだろうに」

「そうかもしれないけど!」

「俺なんて英語圏だと――去れサタン! とか怒鳴られるからね!」

「そりゃサタンだもん、しょうがないじゃん!」

「言われる方は辛いんだよ。俺が何したって言うんだ!」

サタンがしくしく泣き始め、夏樹と一登が慰めるように肩に手を置く。

そして義政が熱風を送るためにタオルの準備をしていると、

「ぎゃぁあああああああああああ! お姉ちゃんが生き返ったんじゃがぁあああああああああ!?」

小梅の悲鳴が温泉から響いてくる。

「……小梅ちゃんって花子さんの判断基準ってどこでしているんだろうね!?」

その疑問に答えてくれる者はこの場にはいなかった。