作品タイトル不明
77「お話を聞くんじゃね?」②
「それで、結婚相談所で何があったんでしょうか? 昨今の結婚相談所は無理な条件は断られると聞いているのですが」
「……なーんで、五歳児が昨今の結婚相談所事情を知っとるんじゃ!?」
「――ネットで見ました」
「俺様だけか? そもそもなーんで五歳児が結婚相談所事情をわざわざネットで見るんか、と不思議なんじゃがな!? もっとアニメとか見んかい!」
きりっ、とした顔をする義政に小梅がツッコミ吠えた。
しかし、義政は気にした様子はない。
「……そうね、確かに結婚相談所の方は親切だったわ。でも、その、何か物足りなかったのよ。そんな時に森山田さんが声をかけてくださって」
「誰!? 森山田さんって誰!?」
「森山田さんは結婚相談所の常連よ。もう十五年も結婚相談所に通う大ベテランなのよ」
「あの、いえ、えっと、それって」
さすがの夏樹も言うべきかどうか悩む。
結婚相談所のベテランは、あまりベテランではない気がする。
「親切な森山田さんにご相談したら、刺激よりも相手の条件と教えてくれて、ファッションもテコ入れしてくれたのよ。今の私があるのは森山田さんのおかげよ」
「森山田さぁあああああああああああん!? 文学少女にいらんことしたぁああああああああ!」
推理するまでもなく、森山田さんとかいう方が犯人だ。
とはいえ、影響を受けてしまったのは花子の問題でもあるので、一概に森山田さんが悪いとは言えない。
ただ、余計なことするな、とは思う。
「事件解決とは言いませんが、背景はわかりましたね。個人的な意見を述べさせていただけるなら、水無月家には雲海さんがいらっしゃいますので花子さんの感覚も変わるでしょう」
「さすが義政先生! あ、そうだ、ちなみに花子さん」
「なによ?」
「森山田さんはその後どうなったの?」
「今も結婚相談所に通っているわ! 最近、なぜか出禁になってしまって困っているようだけど、私も同じだし、そんなものかなって」
「あー」
夏樹はちらり、とサタンを伺う。
ずっと沈黙している彼は何を思っているのだろうか。
「あの、サタンさん?」
「……夏樹、少し待ってくれ。今、その森山田とかいう女に刺客を送るように命令しているから」
「ちょ!?」
「安心しろ、一般人を殺しやしねえさ。ただ、うちの花子を変えちまったツケは払ってもらう。まあ、魔族にはこういう癖のある人間が大好きでたまらない奴はたくさんいるから安心しろ。森山田さんのこれからの人生の幸せをこの魔王サタンが約束しようじゃねえか」
「…………この話おしまい!」
サタンが怖かったので、夏樹は会話を早々に切り上げた。
彼の「一般人を殺さない」という言葉を信じよう。
「んで、一番の問題は」
「……こやつが、俺様のお姉ちゃん、じゃと?」
一連の話を聞き、小梅の知る花子が現在の花子に変わってしまったことを受け入れられずにいる小梅だった。
「ま、時間が解決してくれることを祈ろう!」