軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

65「妹が魔法少女とか意味わからなくね!?」②

「待って、間違えた! そうじゃなくて、魔法少女ってなに!?」

「私は魔法少女みゅあみゅあぽるりーに所属する魔法少女マジカルひなるん!」

「…………え? みゅあみゅあ……なんて言った? って、ちょ、魔力が」

魔法少女みゅあみゅあぽるりーが上手く聞き取れなかった祐介が、聞き返すことを放棄してソーニャを背に庇い身構えた。

ひなたに魔力が集まっていく。

眩い虹色の光が彼女の小柄な肉体を包む。

「――ま、まさかこれは」

「何が起きているんだ!?」

驚く祐介とソーニャ。

だが、祐介はひなたに起きていることに心当たりがあった。

――「変身」だ。

心なしか音楽が聞こえてくる気がした。

「宇宙怪獣むるりんぽるわちょと戦う使命を抱き、灼熱の魔法少女みゅあみゅあぽるりーこと、魔法少女マジカルひなるん――推参!」

どんっ、と音が鳴りそうなほど凛々しい顔をしたひなた――否、魔法少女マジカルひなるん。

ショートカットの髪は赤毛のツインテールとなり、赤で統一された魔法少女の衣装は炎を連想させた。

勇ましくかっこよく、でもどこか可愛らしさがあるポーズをしたひなるんだったが、しばしポーズをとったまま硬直すると、ぷるぷる小刻みに震え始めた。

「ちょ、ちょっと待って。まだ魔法少女になりたてだから、この衣装とか名乗りとかの羞恥心に勝てないの」

「あ、うん。ごゆっくり」

変身の負担なのかひなるんは深呼吸を繰り返した。

しばらくしてきりっとした表情を浮かべ、顔をあげる。

しかし、なぜか瞳に涙が浮かんでいた。

「ソーニャ・シラー! お前の正体はわかっている! 宇宙怪獣むるりんぽりわっちょに属する宇宙怪獣だろう!」

「……えっと、違うけど?」

「………………」

「………………あ、そうだ。妖怪だ妖怪! 妖怪かなにか男を食うような化け物だろう!」

「違うから。ねえ、祐介。お父様とお母様は妹さんを巻き込みたくないっておっしゃっていたけど、ずぶずぶよね」

「僕たちとは違う世界にずぶずぶだね!」

「じゃあ、言っちゃってもいい?」

「いいと、思うけど」

「ちょっと、こそこそ話をしないでよ!」

祐介の両親は、ファンタジー界隈に理解があった。しかし、妹のひなたは普通の子だ。できることならファンタジーに巻き込みたくないという両親の想いに祐介とソーニャも納得していた。

だが、ひなたはファンタジーに足を踏み込んでいた。

しかも、祐介たちとは少し路線の違うファンタジーだ。

(――くっ、僕は知ってしまった。魔法少女じゃ僕は萌えることができても、心まで昂らない!)

人外っ子大好き祐介は、人間が変身した魔法少女を人外に数えることはできなかった。

「ちょ、待って!」

「夏樹くん、ここからなんですけど」

「いやいやいやいやいや! 妹さんなんで魔法少女になってるの!?」

「さあ?」

「さあ!?」

祐介の回想を止めた夏樹は、さすがに動揺を隠せずにいた。

異世界から帰還してから周囲にファンタジーが溢れていると思っていたのだが、まさか魔法少女までいるとは思いもしなかったのだ。

「魔法少女みゅあみゅあぽるりーとか宇宙怪獣むるりんぽるわっちょってなに!?」

「さぁ?」

「さぁ!? 祐介くん!? 自分の妹のことなのになんでそんな興味なさげなの!?」

「興味がないわけじゃないんだけど、このあとバトルが始まっちゃって……あと魔法少女は人外っ子じゃなくてあくまでも人間だから僕の守備範囲外でした」

「祐介くんの性癖なんてどうでもいいんだけど!? 悲しげに言われても困るよ!」

祐介の性癖には特に興味がない。

というか、聞きたくもない。

「しっかし魔法少女みゅあみゅあぽるりーとか宇宙怪獣むるりんぽるわっちょってなんじゃい!」

「考えた人はネーミングセンスのかけらもないっすねぇ。もしくは相当ヤバいやつっすね」

「怖いのう!」