軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

特別SS「書籍2巻発売記念でまもんまもんじゃね?」

※時間列、メタ発言は気にしないでください

――青森某所。

「清々しい朝でまもんまもん!」

「……朝から絶好調だな。きらっきらしてるじゃねえか。なんだよ、そのおろし立てのグレースーツは?」

七つの大罪の魔族マモンは、茶の間で新品のスーツに身を包み、口に畑で採れたネギを咥えてポーズを取っていた。

そんなマモンに、朝の仕事を終えて戻ってきた魔族サマエルは疲れた顔をしている。

きっと面倒臭い展開になるんだろうなぁ、という予感しかしなかった。

朝はそれぞれ役割がある。

サマエルが畑に、マモンが朝食を作る。

たまにマモンも畑に行くことはあるが、基本的に役割分担をしていた。

今も、おかしなポーズこそとっているが朝食の支度はきっちりしてある。

阿呆なことをするまえに、すべきことはする。こういうところは性格なのだろう。

「これはこれは、さまたんではないですかまもんまもん! せっかく書籍2巻に登場したのに、イラストにならなかったさまたんではないですかまもんまもん!」

「…………あ、こいつ喧嘩売ってるわ」

「あのサタンでさえイラストになり、しかもまもんまもんなカラーにもなっているというのに! 白黒ページにも載っていないさまたんではないですかまもんまもん!」

「ずいぶんと煽るじゃねえか!」

「まもんまもん! このマモン! 表紙も飾っちゃいまもんまもんですし、あらすじにもまもんまもんですし。さまたん……ああ、ちょっと出ていまもんまもん!」

「……由良夏樹にぼっこぼっこにされたお前を助けにきてやったのに、随分な物言いだな! 表出ろや!」

「嫌でまもん!」

「なんだと?」

「イラストになっていないさまたんは、このマモンと戦えるまもんまもんなステージに立っていないのでまもんまもん!」

さまたんの額に血管が浮かぶ。

「気にすることはないでまもんまもん。このまもんまもんの使い手であるマモンと、魔界の覇権をかけてサタンと戦ったさまたんでは……格が、ね。ちょっとまもんまもんですよねぇ」

「ぎりっ。普通に考えたらぁ、よくわかんない語尾よりもぉ、魔界の頂点をかけて戦った私の方がすごくない?」

「まもん? でも負けましたよね?」

「この」

「カラーページで春子さんに照れているサタンに負けまもんまもん?」

「……あ、本当だ。めっちゃ照れてるじゃん」

書籍2巻を開き確認したさまたんが、ちょっと落ち着いた。

かつて幾度となく殺し合った仇敵にしてライバルが、初恋を経験した中学生みたいな顔をしている姿はなんともいえなかった。

「いまだに表紙に出られないまもんまもん青山銀子でさえカラーページにいるというのにさまたんのこの体たらく! さまたんを尊敬するマモンとしては、涙で前が見えないでまもんまもん……ぷふふ」

「めっちゃ笑ってんじゃん。泣いてねえじゃん。もっとちゃんと演技しろよ」

さまたんが拳を握る。

「閑話の青森編だと私が主人公なのに!」

「まもん……普通に考えてこのマモンでは?」

「ダブル主人公だろう!」

「まもんまもん! 書籍が順調に売れれば、まもんまもん外伝もきっと本になること間違いなしでまもんまもん!」

「いや、さすがにそれはない。どれだけ売れてもまずない」

「――まもん!?」

「当たり前だろ! なんで、閑話が本になるんだよ! ていうか、なんでお前はネギを咥えてんだよ!」

「……薔薇の代わりにまもんまもん」

「薔薇の代わりに!? ネギを!?」

「口がネギの味でいっぱいでまもんまもん」

「そりゃね!」

はぁ、とさまたんは思い切りため息をつく。

「とりあえず、もういいから、朝飯食べて仕事しようぜ」

「まもん!」

「あと、今回の件は絶対に忘れねえからな。いつか仕返ししてやる!」

「受けてたちまもん!」

――書籍発売しても青森は平和だった。