軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56「ギャラクシー流とかやばくね?」②

「いえ、あのですね、あくまでも真のギャラクシー流が私たちのギャラクシー流であることを知ってもらえればいいのです。鏖殺って、その発想はどこから来るんでしょうか?」

「なに言っているんですか! 敵は鏖殺! 勇者の基本ですよ!」

「そんな恐ろしい勇者は嫌です」

「あれー?」

一度はいつると分かり合えたはずだったのに、再び距離が開いてしまった気がした。

「なんというか、君って――なんかおかしいって言われませんか?」

「――っ」

「言われるんですね。そうでしょうね」

いつるはうんうんと頷き勝手に納得している。

「思いの外長く話をしていまいましたが、今日は顔見せと挨拶だけにしておきましょう。また後日、会いに来ます。その時に、もう少し踏み込んだ話ができることを願っています」

「うっす!」

そろそろ話も終わりのようだ。

ギャラクシー流といつるに興味は尽きないが、そろそろ帰宅したい。

「ところで、君の相棒の聖剣は元気でしょうか?」

「え? 元気ですけど?」

「首を洗って待っているように、と伝えてください」

「なんで!?」

「詳細はまた後日。――では」

いつるは音もなく消えた。

「今は星槍さんだけど、槍の首ってどこだろう? ていうか、いつるさんさ……あんたが縛ったんだからちゃんと解いていけや」

廃工場にひとり取り残された夏樹は、厳重に封じられたまま放置されてしまった。

「誰かぁあああああああああああ! 助けてぇええええええええええ!」

「――っ」

「どったの、ダーリン?」

七森千手は近所のスーパーで虎童子と買い物中に足を止める。

「いや、由良のやつが助けを求めた気がしてな」

「ないないないない。それはさすがにない。ウチの姉ちゃんをぶっ殺せる奴を誰が助けを求めるような危機に追い込めるっていうの? そんな奴がいたら、あたい土下座して舎弟にしてもらうね!」

「舎弟って、お前な……。まあ、だが、その通りだな。由良をどうこうできるやつがいたら、俺だって弟子入りするぜ」

千手は再び歩き出す。

「覚悟はいいか、虎童子」

「まかせろ、ダーリン!」

「シールの貼られた総菜を、できるだけ肉系を狙ってゲットするんだぞ」

「うん!」

「あそこで王者の風格を出して値引シールが貼られるのを待つ近所の高島さんは歴戦の戦士だ。油断したら弾き飛ばされるぜ」

「へへ、腕がなるってもんよ!」

千手と虎童子は、これから始まる戦いに精神を集中させていた。

「いやー、まさか偶然通りかかった義政先生に助けていただけてよかったですよ」

「僕も夏樹さんの声を聞いてまさかとは思いましたが、お役に立てて何よりです」

夏樹は本当に偶然現れた神無義政によって救出されていた。

「でも、よくあの拘束をなんとかできたね」

「――ふっ、あのくらい幼稚園で習います」

「すげえ幼稚園だな! 入園したいんですけど!」

「ははは、ナイスジョーク!」

「いや、マジでマジで。それで、義政先生はなんでこんなところに?」

「――カブトムシを取りに」

「時期早すぎじゃね!? まだ四月だよ!?」

「え? でも、いましたよ、ほら」

そう言って、義政は肩にかけていた虫籠から雄々しいツノを持つカブトムシを取り出し夏樹に見せた。

「ヘラクレスオオカブトじゃねえかぁああああああああああああああああああ!」

「びっくりですすよね!」

「本当だよ! ていうか、どこのどいつだ! お世話ができなくなったからって野に放したお馬鹿さんは! 最後まで責任を見るのが基本でしょう! 見つけたら尻をパンパンしてやる!」

明らかに、ペットショップで購入したものの、途中で世話を放棄した人間が手放したものだろう。

もしかしたら、逃げ出してしまった可能性もあるが、これには夏樹もびっくりだった。

「ていうか、なんで義政先生はここに? おうち帰ったんじゃないの?」

「実は、征四郎おじさんの押しかけ婚約者が気づいたらおばあさまも家で働く方々も、近所の人たちまで根回しが終わっていて、このままではまずいと逃げ出してきたんです」

「なにそれ詳しく!」