作品タイトル不明
11「思うことがあるんじゃね?」①
「ようこそ! お疲れでしょうに、また来てくださってありがとうございます。こんばんは、みんなのゴッドです!」
後光で眩しいゴッドが夏樹たちを歓迎した。
喫茶店「最初の妻」は、昼間はクラシカルな喫茶店で美味しいコーヒーが飲めるが、夜はバーになっている。
近所の方も来るようだが、こっそり神や魔族も来るらしい。
「あの、ゴッド……こんばんは」
「はい、こんばんは!」
「後光って絞れないの? 眩しい! あと、お客さんいるよ?」
席に着いていた夏樹は、サングラス持ってくればよかったと考えながら指摘すると、ゴットは「大丈夫です」と微笑んだ雰囲気を出す。
「一般人にはなんか眩しい人って思われていますし、神や魔にはスルーされていますので!」
「……それ、大丈夫じゃなくね?」
「まあまあ些細なことはさておき。あ、何か飲みますか? ご飯は食べてきちゃいましたか?」
「あ、はい。お構いなく」
「ふふふ、若い子が遠慮しなくていいんですよ。リリスさん、この子たちに飲み物を! 一番いいところで!」
(……飲み物の一番いいところってどこだろう?)
夏樹は首を傾げるも、答えは出なかった。
すぐにリリスが現れ、夏樹と一登の前にアイスティーを、小梅たちの前にコーヒーを置いた。
「ありがとうございます、リリスさん」
「いいのよ。異世界大変だったようね、お疲れ様。今日はしっかり休んでね」
「はい!」
リリスが微笑み、カウンターで少し酔った陽気なお客を相手に戻った。
「さて、結論から言わせていただきますと、綾川杏さんの身体は問題ありません。魔力も満ちていますし、生命力にも問題はありません」
「なんじゃか遠回しに聞こえるのは気のせいじゃろうか? 一言大丈夫です、と終わりにできん何かがあるんかのう?」
「……さすが小梅さんです。――実は、杏さんはまだ目覚めていません」
「――っ」
一登が思わず立ち上がりそうになった。
夏樹が彼の肩に手を起き、落ち着くように力を込めた。
「一登くん、杏さんの身体には問題はないのです。問題は心です」
あまり良い知らせではない。
一登の顔が不安に染まった。
「ゴッド、あまり一登を不安にさせるでない。しゃきしゃき説明せんかい!」
「失礼しました。順序よく話をするつもりが、すみません。問題が心というと不安になるでしょうが、何か問題があるというわけではないのです。心身ともに健康ではあります」
「……でも」
「はい。杏さんは目覚めません。その理由は、他ならぬ彼女が目覚めたくないと願っているのです」
ゴッドの言葉に、夏樹たちは驚きを隠せなかった。