軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

7「千住さんの弟も来たんじゃね?」②

少年の年齢は、夏樹とそう変わらないか、少し年上のようだった。

どこか醒めた目をしていて、倒れる英智を一瞥するだけで心配する様子もない。

思えば、監視をしていたのに英智を止めるわけでも、何をするわけでもなかったことから、本当に監視に徹していただけなのかもしれない。

「……久しぶりだな、淳也」

「お兄さんが家を出て以来だね」

千手は複雑な顔をしていた。

淳也と呼ばれた少年は、千手よりも英智に顔立ちは似ているが、雰囲気はどことなく千手の方に似ている気がした。

「まさかお前が監視役とは」

「父上が、突っ走った英智兄上がやらかさないように僕を派遣したんだよ」

「そうか」

「七森家を出ていったお兄さんには関係ないけどね」

「そう、だな」

淳也は千手に対して素っ気ない言葉を重ねた。

千手は、英智に対して取っていた態度を淳也に対してはとらない。

何か夏樹や虎童子の知らない事情などあるのだろう。

「……それにしても、フリーの霊能力者をやっていると聞いたけど、子供と鬼とつるんでいるんだね。正直、見損なったよ」

「ああんっ、さっきから聞いてたら言いたい放題言いやがって。てめぇ、どこ中だよ!?」

「待て、由良。マジで待って。なんで急にそんなやんちゃな中学生になっちゃったの!?」

「だってこいつが俺たちの千手さんに舐めた態度とるから!」

「そうだそうだ! やっちまえ! 由良夏樹!」

「虎童子も煽るな!」

ポケットに手を突っ込んで、淳也に近づきオラつき始める夏樹と、煽る虎童子。

「虎童子先輩、こいつやっちゃいましょうよ!」

「……ダーリン、いいよね? ダーリンのクソ兄貴の時から結構イラついていたんだけど!」

「……虎童子?」

淳也の視線は千手から虎童子に移った。

「鬼が虎童子を名乗るんだ。京都の鬼たちに目をつけられないように気をつけるといいよ」

「その京都の鬼の頂点に立ってる虎童子様だよ!」

「京都の鬼の頂点は酒呑童子だろう? 茨木童子も相当と聞くけど、他の酒呑童子の娘たちはぱっとしないじゃないか」

「ふ」

ふざけるな、と虎童子が怒鳴るかと思った夏樹と千手は、目を見開いた。

「ふぇええええええん! こいつ酷いこと言った! あたいら姉妹が気にしていること言ったぁ!」

「子供か!」

千手にしがみ付いておいおい泣く虎童子を慰めるのも面倒になった千手は、淳也に向かいひらひらと手を振る。

「お前もさっさと、英智を連れて帰ってくれ。あと、親父にも関わるつもりはないからそっちも関わるなって言ってくれ」

「……ふうん。もう関わらないんだ」

「そのつもりだ」

「そう。ところで、僕は次期当主になることになってたんだよ。お母さんが、英智兄上が使い物にならなくなったからって」

「……そうか」

「僕の未来はすべて消えたよ。……英智兄上がこうして戻っても、どうなることやら」

「…………」

「全部、千手お兄さんのせいだからね」

淳也の言葉に、千手に表情が歪んだ。

「俺は――」

「言い訳は聞きたくないよ。――裏切り者」

そう言い残して淳也は英智を担いで消えた。

「千手さん! あの生意気な坊主やっちまいますか!?」

「だからなんでそんな三下みたいになってんだよ。あと、夏樹の方が年下だ」

「……なん、だと」

千手は電子煙草を銜える。

「ったく、面倒くさいことにならなきゃいいんだけどなぁ」

「……千手さん」

「なんだよ」

「フラグが立った気がする!」

「やめて!」