作品タイトル不明
104「アポローンさんの忠告じゃね?」②
「………………あのぉ」
「どうかしたかな?」
「新たな神々に俺は関わりたくはないんですよ。――あいつらから勝手に関わってくるんですよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「おっと、それは失礼。ははは、だが、そうか。人気者は辛いな!」
夏樹の魂の叫びに、アポローンは口を押さえて吹き出した。
「神様とか魔族も下から順番じゃなくてビッグネームから来るのに、新たな神々もなんかやべーのばっかりくるし! 俺、何かしましたっけ!?」
「なっちゃんは強いから新たな神々も無視できないんじゃね?」
「ガネたん! 俺はね、平和主義でお花と河童さんと都市伝説を愛する一般人だから、ちょっかい出されなければなにもしないって!」
「……一般人?」
「……日本人のジョークはよくわらないな。どこで笑えばいいんだ?」
「こ、この野郎」
ガネたんとアポローンは夏樹の「一般人」をジョークだと思ったようだ。
「言っておくけど、ぜっくんだって俺にちょっかい出さなかったら放置してたからね! あ、でもゴッドから異世界に関してのお願いされていたからどちらにせよ戦ったかな。いやそうじゃなくて、俺を警戒するなら俺の近くで悪さするんじゃねえよ!」
「ごもっともだぜぃ」
「奴らは、あちらこちらで事を起こしているが、複数の目的があるからね。おそらく、なっちゃんは候補にでも上がっているのかもしれない」
「どんな候補!? はっ、まさか世界中の美脚を集める作戦の隊長に」
「……どんな作戦なんだぜぃ!」
夏樹は震えた。
もし「美脚の神」が現れて「世界中の美脚を集めよう!」と誘われたら断れる自信がない。
「なっちゃんは美脚派か。いいね。男の子だね」
「そういうアポローンくんはー?」
「女の子ならなんでも大好きさ!」
「しゅげぇ!」
「ふふふ、なっちゃんも大人になればわかるさ。さて、新たな神々の話に戻るけど、彼らは自分たちの神話を作ろうとしていることは知っているだろう?」
「うん」
「そこで、欲しいのが――英雄や勇者と呼ばれる存在だ」
「は?」
「どんな神話でも英雄、勇者が存在する。だが、新たな神々には英雄も勇者もいない。ゆえに、作り出そうとしているのさ。巻き込んで試練を与え乗り越えられる者を! 自分たちの都合の良い勇者をね!」
「うぜぇぇええええええええええええええええええええ!」
なんて傍迷惑な奴らだ。
そもそも自分たちの神話を自分たちでプロデュースしようとしているのが気に入らない。
神話とは自分たちが描くものではない。
古の出来事が伝わっていくのだ。
神々が、魔族が、その時にどう生きたのか、当時の人がどう戦ったのか。それが、神話だ。
「そんな新たな神々にとって、異世界に召喚されて勇者となったなっちゃんは」
「喉から美脚が出るほど欲しい存在ってわけか」
「……前々から思ってたけど、なっちゃんってちょっとやばくねぃ?」
夏樹の言動にちょっとガネたんが引いていた。
「そんなわけで接触があるかもしれないけど、なっちゃんなら平気だろうね。自分から関わることはしないと思うけど、関わろうとしている奴らも放っておけばいい」
「あ、いいんだ」
「いいとも。所詮、僕たちの真似事しかできない哀れな奴らだ」
アポローンの言葉は冷たかった。
「よし。なっちゃんと話もできたし、僕もそろそろ行くとしよう。僕は新たな神々に追われてもいてね。奴を封じることのできる数少ない神だから、馬鹿な奴らが僕を殺そうとするのさ」
どうせ殺せやしないけどね、とアポローンは笑う。
「ねえ、アポローンくん」
「なにかな?」
「その封じる奴ってだーれー?」
「あれ? 知らないんだ? では、教えよう。僕が、僕たちが封じているのは、新たな神々にとってのリーダーと言える存在さ。最初に生まれた新たな神とも言われている」
「へぇ。なんの神?」
「――太陽の神さ」
「――अरे बाप रे।《なんてこったい》!」