作品タイトル不明
103「アポローンさんの忠告じゃね?」①
夏樹の前に現れたのは、燃えるような白金色の髪を持った学生服を着た少年だった。
「お初にお目にかかる。僕はアポローン。ゼウスの子であり、羊飼いの守護神にして光明の神であるオリュンポス十二柱の一柱である。そして――太陽神でもあるのさ!」
「超絶ビッグネーム!?」
想像を超えたビッグネームに夏樹が愕然とする。
ガネたんが「その割にはすぐに気づいてなかったんだけどなぁ」と呟いていたが気づかないふりをした。
「妹が、アテーナーが面倒をかけたようだね。兄として謝罪をしたくて、ガネたんに機会を設けてもらったのさ」
「アテーナーさんは別に面倒なんて。これといって何かされたわけじゃないですし」
「そうかい? なら、よかったよ。僕としては君とは仲良くしたかったんだ」
アポローンは「仲良くしたい」ではなく「仲良くしたかった」と言った。
まるで、仲良くできないというように聞こえてしまう。
「……もしかして、ここからバトルって感じ? さすがにしばらくはバトルはいいかなーって。男の子なので売られた喧嘩は税込で買いますけど?」
「喧嘩か……夕日をバックに河原で殴り合いたいのはやまやまだけど、戦いたいわけじゃないのさ」
夏樹は内心ホッとする。
星槍さんがいない状態では、アポローンに手も足も出ないだろう。
いや、星槍さんがいたとしても、まともに戦えるかどうか悩む。
(まったく、地球っていうのはどいつもこいつもファンタジーだな)
アマイモンも相当強かったというのに、まだ強い神がいるのだ。
サタンもそうだが、さすがビッグネームたち。
どこにでもいる中学生では、勝つ想像さえできない。
「僕は、君と話をしたかった。とても強い、異世界の勇者である君と」
「話? いいよ! んじゃ、ハンバーガーでも食べながら」
「ははは、君は面白い! そういう学生らしいことをしたいけど、僕にはもう時間がないんだ」
どこかアポローンは残念そうだった。
彼の事情を知っているのか、ガネたんも複雑な表情を浮かべている。
「由良夏樹くん、いや、あえてなっちゃんと呼ばせてもらおう」
「どーぞ」
「できることならなっちゃんと一緒に学園生活をしたかった。三原一登くんと三人で馬鹿なことをやって月読に叱られてみたかった。自転車の二人乗りとか憧れてもいたんだよ」
「そのくらいならいつでも」
「残念だけど、僕はこの後用事があってね。おそらく、次、君と会うことはないだろう」
「どういう意味?」
人間と神の寿命は違う。
だからと言って、いくら用事があったとしても二度と会うことがないというのは不思議なことだ。
「僕はこれから、面倒臭い奴を封印する役目を果たさなければならなくてね。そのお勤めが終わるころには、君はもう寿命で死んでいるだろう」
「さすが神様……用事のスケールがでっかい」
「ははは、そうだろう!」
笑うアポローンだったが、夏樹に真面目な顔を向けた。
「これは神からの忠告だ」
「うん?」
「新たな神々とはもう関わらない方がいい」