軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

102「なんか寂しい世界じゃね?」

異世界からゴッドの力で転移した夏樹は、ようやく地球に帰って来られたことを喜び「うーん」と身体を伸ばした。

「ようやく帰ってこられたねー! さあ、懐かしの我が家……へ?」

夏樹は何度も瞬きをする。

それもそのはず、夏樹は向島市にある我が家に帰ってきていなかったのだ。

「どこですか、ここー!?」

向島市とは似ても似つかぬ場所だった。

まず空に海がある。

意味がわからない。

違う。

海が上にある。

空が下にある。

陸地はない。

どこまでも広がる暗い海と夜空の狭間に夏樹は立っていた。

「……星槍さんもいないし。完全にひとりぼっちなんですけど。どこここー!?」

「ひとりぼっちじゃないんだぜぃ!」

夏樹の背後から声が響いた。

振り向くと、そこには河童さんの引率を引き受け、一足先に地球に帰っていたガネーシャことガネたんがいた。

「ガネたん! よかったよー! まさか俺だけ異世界召喚されたかと思った!」

「はははは! さすがにそう何度も異世界召喚はないはずさぁ!」

「だといいんだけど。――んで、ここどこ?」

異世界ではないとガネたんは言うが、地球でもないことは間違いない。

その証拠に、この世界には何もない。

海と空があっても、生命がひとつとして存在しないのだ。

「なんつーか、ここは、どこでもあって、どこでもない場所だぜぃ」

「……どゆこと?」

「説明が難しいつーか、世界と世界の狭間。なーんもない空間だぜぃ!」

「ほーん。それで、どうして俺がここにいるの? ――っ、わかった! ここでガネたんが『くはははは、由良夏樹! 貴様の力はよく見させてもらった! 次は私が相手だ!』って展開!?」

「あ、そういうのないので。ていうか、俺っちそんな喋り方しないんで」

「なんかすみません」

さらっと否定されてしまい、夏樹はしょんぼりした。

今も、何も感じない。

波の音も、風の音もしない。

ただ、夏樹とガネたんが会話する声だけが響く。

「てか、なーんでこんなに寂しい世界なの? あと、海と空が逆ぅ! 設定ミスってね? こういうの困るんですよねー」

「あー、言いづらいんだけどよぉ、ここは今、なっちゃんの心を映しているんだぜぃ!」

「は?」

「つまり、この世界がなっちゃんの心なんだぜぃ」

「……ガネたんが嘘つくなんて思ってないんだけど、……ま?」

「ま」

ぐるり、と世界を見た。

「俺の心ってこんなに寂しいの!? 個人的には、盆踊り並みに盛り上がっていると思っていたんだけど!」

「……盆踊りを盛り上がっているとかどうこう言って良いのか悩むんだぜぃ!」

本当に寂しい世界だ。

暗い海と夜空しかない、静寂の世界だった。

正直、これが自分の心を映し出したと言われても困る。

「なっちゃんの境遇は知っているつもりだったんだがなぁ、心が少し疲れていると思うんだぜぇ」

「そう思うならイベントが次から次へ来ないようになんとかしてくださーい!」

「……そういう意味じゃないんだけどなぁ。ま、なっちゃんが気づかないふりをしているのなら、俺っちはそれでいいさ。でも、吐き出したくなったらいつでも呼んで欲しいんだぜぃ」

ガネたんの言葉に、夏樹は曖昧に笑うだけだった。

「んじゃ、本題に入るぜぃ! 俺っちは無事に河童さんたちを向島の河童さんたちと合流させたんだぜぃ。感動の再会をなっちゃんにも見せてやりたかったぜいぃ。今度、河童さんたちがお礼に行くって言ってたから楽しみにしておくといいだぜぃ!」

「そりゃ楽しみだ!」

「俺っちは、とある神となっちゃんを合わせるためにちょーっと力を貸したのさ」

「とある神?」

「もうきてるぜいぃ!」

ガネたんがそう言ったと同時に、静寂な世界に圧倒的な生命力が現れた。

「あーぽー! ろんろんろんろんろんろんろんろんろんろんろんろんっ!」

学生服を身につけた、少年。

間違いなく、神だった。

「すげえ主張だな! おい! かなり力のある神とお見受けしたが、どこのどなただ!?」

「え? この主張聞いてわからないって逆にすごくね?」