軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「青森でも気づいたんじゃね?」

――青森、某所。

「――む」

「――まもん」

畑仕事を終えて、従業員たちと一緒に晩御飯を食べたサマエルとマモンは、何かに気づいたように顔を上げた。

「気が付いたか?」

「まもん」

「由良夏樹たちが地球に帰ってきたようだな」

「今日、スーパーでビールが特売だったのを忘れておりまもんまもん」

「――そうじゃねえよ! いや、ビールの特売は大事だけど、ちげーよ!」

たまたまタイミングが同じだっただけで、サマエルは夏樹たちの帰還に気づき、マモンはビールの特売を買い忘れたことを思い出しただけだった。

「まもんまもん。由良夏樹たちのことです、異世界でも余裕でまもんまもんして帰ってきたでまもんまもん」

「そこは疑ってないけどね。逆に、あの子をどうこうできる奴がいる世界があるのなら、興味があるよ」

「まもん! さまたん様の昔の血が騒いでしまいますね、まもんまもん!」

「昔っていうか、紀元前だけどな」

「我々も随分長く生きていまもんまもん」

「そうだな。まさかこの令和の時代にまもんまもんがバズるとは思わなかったけどな! 昔は見向きもされなかったのに!」

「まもんまもん! ようやく時代がこのマモンに追いついたというまもんまもん!」

ドヤ顔をするマモンは絶好調だったが、サマエルはいつもに比べてノリが悪い。

「どうしまもんまもん?」

「――いや、アマイモンの奴が」

「アマイモン? ああ、そういえばいましたね! このまもんまもんのパクリみたいな名前の魔族が!」

「煽るなぁ!」

「このマモン! 腐っても七つの大罪のマモン! まもんまもんを司る大魔族ですまもんまもん! 甘い、なんでしたっけ……硬派気取って鍛えてばかりいる脳筋なんぞ知ったこたぁありまもんまもん!」

「知ってるじゃねえかよ」

サマエルはアマイモンが、新たな神々に与したことを知っていた。

そして、彼の身体が限界であることも。

十数年前、戦って死にたいと願うアマイモンが会いに来たことがあったが、サマエルは戦うことを拒んだことがある。

その後、新たな神々に与したと聞いていたので気にしていたのだ。

「よかったな、アマイモン」

弱体化しているが、七つの大罪の魔族に負けぬ劣らぬほどだ。

身体もどうにかなることはないだろう。回復しているように感じ取れた。

彼のことだ、また身体を鍛え出して強くなるのだろうが、次には身体がついてこられないような愚かな鍛え方はするまい。

「さ、風呂入ってビール飲んで動画編集して寝ようぜ……って、なんではんかちを噛んで泣いてるんだよ」

「さ、さまたん様、このマモンがいながらアマイモンを気にかけるなんて! きぃっ、くやしいまもんまもん!」

「お前は本当にキャラが行方不明だな!」

「まもんまもんを弄ぶさまたん様の明日の朝食は苦瓜とピーマンとパプリカとセロリの炒め物ですまもんまもん!」

「全部苦いじゃないか!」

頬を膨らませ、拗ねてしまうマモンのご機嫌は治らず、翌朝本当に山盛りの野菜炒めが出てきてサマエルはちょっと泣いた。

今日も今日とて青森は平和だった。