軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

89「最後の交流じゃね?」

「あ、祐介くん。どこ行ってたの……って、なんかボロボロじゃね?」

しばらく姿を見せていなかった祐介が、ひょこっと戻ってきた。

気のせいか、戦いの後の方がボロボロになっている。

制服は破れ、ワイシャツもボタンが全部飛んでいる。

ズボンも破けて足が見えている。

「バトルでもしてたの?」

「ははは、男の友情を深めていたんだよ。まあ、僕の勝ちだけどね!」

「あ、はい。なんかキラキラしてるなぁ。俺の知ってる祐介くんじゃないんだよなぁ」

出会ってからダークサイドの住人だった祐介は、明らかに光の住人になっていた。

なんだか別人だ。

「ところで、夏樹くん。魔王ギーゼラ・シラーさんはいるかな?」

「あ、うん。今は外しているけどそろそろ来ると思うよ」

祐介がいない間にそれぞれが帰宅準備をしていた。

と言っても、最低限の荷物しか持っておらず、飲食料はすべて夏樹のアイテムボックスだ。

消費しなければ傷んでしまう、なんてこともない。

せいぜいテントの片付けや、出したゴミをまとめるくらいだ。

帰宅準備はほぼ終わっていて、鬼四姉妹と小梅、銀子はソーニャとフェイリスと酒盛りしている。

なんでも、意地でも持ってきた酒は消費するらしい。

千手、征四郎、東雲は、オーガ族族長グランドルとオークの戦士オックンを含む男性魔族たちと度数の強い酒をちびちび飲みながら談笑していた。

グランドルは星熊童子の帰還を知り、もう一度挑んだが、あっさりと負けてしまった。

ただ、両者とも寿命は長い。もしかしたら、また出会うことがあるかもしれない。その時にまた戦う約束を交わしていた。

この場にはいない義政、円、水無月姉妹は親しくなったエルフと一緒に改めて魔王城内を散策している。

もうすぐ帰るのだから、観光気分で見てまわりたいらしい。

一登は、火輪の剣と一緒に目を覚さない杏の傍にいる。

目覚めた時に誰もいないのではかわいそうだ、と一登らしい気遣いだった。

魔王は事後処理に忙しいようだが、今は四天王に指揮を任せて休憩中のはずだ。

小梅が一緒に飲もうと誘っていたので、そろそろ来ると思う。

「そういえば、フン・フナフプさんやベヒモスさんもいないし。アマイモンとガープも、アテーナーさんもまだ来ないなぁ」

「夏樹くんのお師匠様と名無しちゃんもいないね」

「そういえば……」

師匠は少し話があると言っていた。

名無しは、聖剣さん改め星槍さんの半身だった以上、地球に一緒に来るのだろうか。

夏樹が首を傾げていると、

「由良夏樹、佐渡祐介もいたのか。すまない、遅くなってしまった」

魔王ギーゼラが、娘のラーラ・シラーと執事のオズワルドを伴い現れた。

「ギーゼラさん、ちーす! ラーラさんとオズワルドさんもちーっす!」

「皆さん、どうも! 佐渡祐介、ですっ!」

軽く手をあげて挨拶する夏樹と、煌めく祐介。

ギーゼラたちは、祐介の煌めき具合にちょっと引いていた。

「すまん、引き継ぎに時間がかかった」

「なっちゃん、ちーっす!」

「由良夏樹様、佐渡祐介様、戦いお疲れ様でした」

仲間たちが全員集まったわけではないが、もう時間がない。

最後の交流をはじめることにした。

「おう、ギーゼラ、ラーラ、オズワルド、ようやくきたようじゃな!」

「ささ、飲むっすよ!」

「お先にいただいてまーす!」

小梅、銀子、ソーニャが手招きし、女性陣男性陣が円を描くように座った。

「よし! 夏樹、乾杯の音頭じゃ!」

「俺!?」

「そうじゃ!」

「えっと、あー、んじゃ……戦いお疲れ様でした! 魔族さんたちのこれからに幸あれ! 人間は鏖殺! 乾杯!」

「一言余計じゃったのう! 乾杯じゃ!」

小梅が缶ビールを掲げると、みんなが「乾杯!」とそれぞれ飲み物を掲げた。