軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「愛ちゃんと遊戯の神じゃね?」②

「……あのねぇ!」

遊戯の神は、呆れと苛立ちを同居させたような顔をした。

「愛の女神の中で……いいえ、新たな神々の中で能力面、戦闘面でも優れたあなたがこないと話にならないだけど?」

愛ちゃんは興味がないとビールを飲んでいる。

「……連れてこいって言われているのだけど」

「いーやー」

「……一応、新たな神々として何かこうないの?」

「なーいーでーすぅー」

「…………」

遊戯の神は、大きく息を吸い、吐き出すことで苛立ちを抑えた。

愛の女神は複数対いるが、群を抜いて能力を持つ神こそ愛ちゃんだ。

新たな神々の中でも神格は高く、愛の女神としての能力もずば抜けている。

なによりも本人は戦いを好まないが、戦闘能力も高い。

それこそ、戦いを司るような神々よりもよほど強いのだ。

――愛の女神愛ちゃんは、新たな神々の中で上位十位に入る実力を持つ神だった。

特異性がある門の神は例外として、単純な能力だけなら絶望の神ぜっくんよりも上位に存在している。

だからこそ、自由に振る舞えるのだ。

「言っておくけど、私は新しい神話なんてどうでもいいの」

「その割には、この間、魔族マモンと行動を一緒にしていたようだけど?」

「あれは昔の私のミスを放置できなくなったから処理するためよ。ちょっと絆されちゃったから何もしなかったけどね、まもんまもん」

「なによ、その語尾? 舐めてるの?」

「――え? まもんまもんを知らないの?」

「そんな、信じられないものを見るような目で見られても困るのだけど」

「あとで動画のURLを送っておいてあげるから勉強しなさい」

「え、ええ」

愛ちゃんが、新たな神々としての動きに興味がないことは遊戯の神も理解していた。

新たな神々はいくつか派閥がある。

新たな神話を作ろうとする神々。

現在の神々や魔族の立場を奪おうをする神々。

新たな神々以外の神や魔族を滅ぼしてしまおうとする神々。

――そして。

愛ちゃんは、それらに属さない自由気ままに好きに生きる神々だ。

どの派閥からも何度も力を貸してくれと請われているが、一度として与したことはない。

ただ、愛ちゃんは、どの派閥の誰に対しても話は聞くし、相手をする。

門の神のように嫌っている神もいるし、ぜっくんを鬱陶しいとも思っていたが、文句を言いながら話は聞いてくれるのだ。

「はぁ。十天の連中はどいつもこいつも自由気ままに」

「その十天ってやめて。ダサい、カッコ悪い、なんか臭い」

「臭くはないでしょう!? 私だって嫌よ、でも通称としてみんなが認知しているんだから仕方がないじゃない」

新たな神々の中で、上位十柱の神々を「十天」と呼ぶが、愛ちゃんは嫌がっているし、その中に自分が入っていることをひどく嫌がっていた。

「とりあえず、誘いはしたから」

「帰ってくれるの?」

「他にも声をかけなきゃいけない神がいるのよ。然う然う、言い忘れていたけど、新たな神々の陣営に本格的に人間を集めるそうよ」

「あ、そ」

「言うな、と言われているけど、恩を売っておきたいし、あなたのことは嫌いじゃないから教えておいてあげる」

「……なに?」

遊戯の神は立ち上がると、窓を開けた。

「由良夏樹、青山銀子、七森千手、沢渡祐介、神無征四郎、神無義政、安倍東雲の七人を誘おうとしている勢力があるわ」

「…………」

「私たちじゃないわ。断られるとわかっているし、制御できないでしょうね。興味がないと言ったら嘘になるけど」

「ありがとう。この借りはいつか返すわ」

「義理堅いわね。でも、あなたに貸しができたのは嬉しいわね。そのいつかが来ることを楽しみにしているわ。――じゃあね」

ひらり、と遊戯の神は窓から飛び降りた。

「……どいつもこいつも、どうして玄関から入ってこないのよ」

はぁ、と嘆息する。

「それにしても、なっちゃんたちは人気ね。――でも、どうして五歳児まで勧誘対象なのかしら?」

記憶にある神奈義政は五歳だったはずだ。

情報が誤って通じているのか、と愛ちゃんは首を傾げた。