作品タイトル不明
間話「愛ちゃんと遊戯の神じゃね?」①
愛の女神こと愛ちゃんは、スーパーの買い物を終えて冷凍食品をしまっていると、ふと手を止めた。
「――あら、ぜっくんったら死んじゃったのね」
どのように死んだかわからないが、存在が消えたことは伝わった。
「鬱陶しいやつだったけど、少し寂しいわね」
「ふーん、さすが愛の女神様ね。お・や・さ・し・い・こ・と」
リビングでジュースを勝手に飲み、スナック菓子を食べている少女がいた。
愛ちゃんは驚きはしない。
だが、苛立ちはしていた。
「あのねぇ、どいつもこいつも好き勝手私の部屋に入ってきて。勝手に飲み食いとか、マナーはないわけ!」
「他の神は知らないけど、一回くらいいいじゃん」
「そう言って一回で終わる奴はいないのよ!」
ばんっ、と冷蔵庫を閉める。
「っていうか、その格好で出かけてたわけ?」
「なによ? 変かしら?」
「……変っていうか、仮にも愛の女神が芋ジャーで買い物って」
「いいじゃない、勝手でしょう! それで、なにしにきたのよ、――遊戯の神」
「ツンケンしないでよ。ツンデレなんて流行らないよぉ」
「あんたに対してデレはないから。さっさと要件があるなら要件を言って」
愛ちゃんに「遊戯の神」と呼ばれた少女は、黒髪をツインテールにした幼い少女だった。
ピンク色の可愛らしいドレスに、ヘッドドレスを身につけた姿はロリータファッションだった。
メイクにも気を遣っている遊戯の神からすると、芋ジャー姿の愛の女神とは相入れないのかもしれない。
容姿も幼くも、小悪魔めいたいたずらっ子な可愛らしい少女の姿をした遊戯の神だが、その本性は残虐だ。
暇を持て余すと適当に人間を攫ってデスゲームをさせているのだ。
神々や魔族はもちろん、霊能力者たちからもブラックリストに載っている酷い神だった。
「はーい。じゃあ、簡潔に。門の神が死んだわ」
「ざまぁあああああああああああああああああああ!」
「絶望の神に協力すると見せかけて、利用しようとしていたみたいだけど、向こうの世界で大失態したみたいね。本体は地球にあったんだけど、なぜか斬られちゃったみたいでね」
「ざまぁあああああああああああああああああああ! 今日はちょっといいお酒飲むぞぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「どれだけ嫌いなのよ……私も嫌いだけど、あのクソ門の神」
冷蔵庫からビールを取り出した愛ちゃんは、祝杯だとばかりに一気に飲み干した。
「かーっ、いつもよりビールがうまい!」
「……可愛いのにおっさんみたいなことしないでよ。本当に愛の女神なの? おっさんを司る女神じゃないの?」
「せめておばさんって言ってよ!」
「それでいいなら」
「嘘、嘘嘘、やめて!」
愛ちゃんは新しいビールを取り出し、ソファーに座った。
「んで、門の神の朗報を伝えにきただけじゃないでしょう?」
「……朗報って……いいけど、別に」
遊戯の神も、最初に門の神の死を知ったときには大喜びしたので愛ちゃんを責めることはできなかった。
「それで?」
「要件は、簡単よ。――召集よ」
「――え? 嫌だけど」