軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

80「仲間と合流じゃね?」

「夏樹くん!」

綾川杏を抱き抱えた一登が、夏樹を見つけて声を上げた。

「うぃーっす」

夏樹は小梅と銀子に肩を借りながら軽く手を上げた。

それぞれ傷ついているが、大きな怪我を負っている者はいない。

なんだかんだと一番重症なのは夏樹だった。

「夏樹くん、勝ったんだよね?」

「うーん、勝ったような負けたような。引き分けかな?」

夏樹の引き分け発言に、仲間たちがざわついた。

「……由良と引き分けるとはアマイモンは化け物かよ」

と、千手が呆れた顔をする。

「あれだけの力を出せる夏樹くんも大概やけど、同じくらいの力を出すアマイモンはんもさすが魔族やねぇ」

東雲も苦笑いだ。

そんな彼の腕には、角を生やした少女が抱きついている。

「…………ん? 誰?」

どこかで見たことがあるような気がした。

夏樹が尋ねると、一同が気まずそうな顔をした。

「久しぶりね、ギャラクシー河童勇者」

「……あ、もしかして茨木童子さん?」

「正解よ」

スク水を身につけている茨木童子からは、以前のような殺伐とした雰囲気はない。

むしろ、幸せなオーラを出している。

「えーっと」

東雲に視線を向けると、彼は気まずそうに目を逸らした。

続けて円に視線を向けてみると、仕方がないとばかりに彼は肩をすくめた。

「しののんと円ちゃんがいいならいんじゃね?」

「話が早いわね。しののんの妻としてよろしくね」

「うん。よろしくー」

茨木童子から差し出された手を夏樹は躊躇いなく握った。

「……前々から思っとったんじゃが、殺し合った相手に対して対応が適当じゃろうて。まあ、俺様もファーストコンタクトは殺し合いじゃったが」

「まったく、私を見習ってほしいっすねぇ。私はできる大人の女性としてちゃんとファーストコンタクトしたっすよ」

「じゃかあしい! 魔剣もらってはしゃいでおったんは知っとるんじゃぞ!」

「どこからその情報を!?」

夏樹の両隣から小梅と銀子が元気よく声を出す。

ふたりも戦ったはずなのだが、余裕があるようでなによりだった。

「ところで、あなたってギャラクシー河童勇者じゃなかったのね?」

「え? 俺はギャラクシー河童勇者だけど?」

「あら?」

「んん?」

夏樹と茨木童子は揃って首を傾げた。

なにを言っているのだろう。

由良夏樹はギャラクシー河童勇者であることは間違いないのに。

「でも、みんなは由良夏樹って言っているのだけど」

「ああ! 由良夏樹は俺の名前だよ! ギャラクシー河童勇者は俺の役職であり魂の名前さ!」

「そう。じゃあ、これからは由良夏樹と呼ぶわね」

「――え?」

「なぜそんな悲しそうな顔をするのかしら。なんだか、悪いことした気分になるわね。でもね、魂の名前をおいそれと呼ばれたら格好がつかないでしょう?」

「――っ、さすが茨木童子さん、しののんのお嫁さんだね! わかってるぅー!」

「あなたもわかっているじゃない。これから仲良くしましょうね」

「いえーい!」

夏樹は茨木童子とハイタッチした。

みんなが、「いや、コミュ力化け物じゃね?」と唖然としている。

殺し合った二人の再会の雰囲気ではない。

「よし。しののんファミリーが大所帯になったことはさておき……なんか千手さんもしののんファミリーに入ってそうな雰囲気だけど、今はいいや」

「おい、由良ぁ! 違うんだ、弁明をさせてくれ!」

「あ、いいよ、いいよ。人の恋路に余計なことを言う趣味はないから。勇者はそんなつまんないことをしない」

「いや、きりっとした顔をしているところを申し訳ないんだが、本当に誤解なんだよぉおおおおおおおおおおお!」

千住の隣では虎童子が、茨木童子に負けず劣らず「妻です」みたいな雰囲気で腕を絡めている。

夏樹は友人のこれからを見守ることを決めた。

「こういう展開だとダークサイドに落ちそうな人がいるんだけど……あれ、どこにいるんだろう?」

「やあ! 夏樹くん! ここにいるよ! 佐渡祐介はここにいるよ! 大地の勇者改め、愛の勇者佐渡祐介だよ!」

きらん、と白い歯を光らせる青年が満面の笑みで夏樹の前に立つ。

「あ、どうも、初めまして。由良夏樹っていいます。なんだか戦いに巻き込んじゃったみたいでごめんなさい。だけど、俺と祐介くん、一登の他にも勇者がいるなんて……って、祐介くんと同じ名前なんですねぇ。奇遇だなぁ!」