作品タイトル不明
77「最後の激突じゃね?」
「アマイモン様! よくぞ、よくぞお戻りに! このガープ! 今宵はアマイモン様がお好きな栗の炊き込みご飯を作らせていただきます!!」
「ガープ? なぜ、私は生きている?」
アマイモンは困惑しながら、身体を確認する。
肉体を苦しめるほどあった魔力がない。
今のアマイモンは、せいぜい七つの大罪の魔族程度に落ちていた。
だが、おかけで身体は軽い。
「あんたを生き返らせてあげたのよ。肉体は限界で朽ちかけていたし死んでいたけど、魂はギリギリだったわ。でも、いいこと。一度きりよ。奇跡は何度も起きないからね」
「……何が起きているのかわからぬが、死ななかったことだけは理解した」
「由良夏樹と、それ以上に私に感謝なさい。決着が着いていないから勝手に満足して死ぬなと言っていたわ」
「由良夏樹が? 彼はどこに――っ」
アマイモンは身体を起こし、言葉を詰まらせた。
夏樹はそこにいた。
蒼穹の星槍を地面に突き立て、アマイモンが立ち上がるのを待っていた。
「由良夏樹よ、お前はそこまでしてくれるのか? この戦うことしかできない私に、そこまで付き合ってくれるのか!」
言葉などいらない。
アマイモンは夏樹が決着をつけるために待っていることを理解した。
「アマイモン様、いってらっしゃいませ。どうぞ、勝利をお掴みください」
「――ガープよ、本当にお前にはいつも世話をかける。……行ってくる。少女よ、いや、星槍の半身か。あなたにも心からの感謝を」
「ふん。意味わかんないわ。殺すために生き返らせるとか、馬鹿じゃない?」
「ふふ、男の子には時には我武者羅に戦いたいときがあるのだろう」
「……由良夏樹はさておき、あんたは男の子って歳じゃないでしょうに」
「き、貴様! いくらアマイモン様の恩人とはいえ、アマイモン様になんたる暴言!」
「あんたはあんたで怒るところが意味わかんないのよ! 黙ってなさい!」
「ふべっ」
名無しにビンタされたガープに苦笑していたアマイモンは、ゆっくり立ち上がる。
大半の力を失いながら、身体は不思議と軽い。
むしろ、言葉には言えない高揚感があった。
拳は問題なく握れる。
魔力を失えど、鍛えた肉体が衰えたわけではない。
「――待たせてしまったかな?」
「いいや、俺もちょうど着いたところさ」
夏樹は星槍を地面から抜き、両手で構えた。
「じゃあ、戦ろうぜ」
「ああ、戦ろう」
両者の魔力が限界を超えて高まった。
夏樹の額や首などから血が吹き出す。
本来ならば出せない魔力を無理やり出しているのがわかった。
アマイモンも魔力の高まりによって肉体が悲鳴をあげている。
今までなら出せていた力が、限界を超えなければ出せない。
この戦いの後、自分の弱体化に嘆くのか、それともまた鍛えられると悦ぶべきか。
いいや、そんなことは後でいい。
今は、この瞬間を全力で楽しみたい。
「――煌めけ蒼穹の星槍」
「――砕け我が全力の拳」
蒼穹の星槍と拳が何度目かわからない激突をした。