作品タイトル不明
78「決着がついたんじゃね?」
――決着は一撃で着いた。
星槍を振り下ろし息を切らしている夏樹と、右腕を消失し地面に倒れるアマイモンの姿があった。
夏樹は星槍を手放し、吐血して前のめりに倒れる。
――相打ちだった。
蒼穹の星槍はアマイモンの腕を消失させ、彼の肩から腿にかけて斬った。
だが、それよりも早くアマイモンの拳が夏樹の腹部を捉え、内臓を破壊していた。
両者とも立ち上がることはできない。
どちらも動かず、血溜まりを作っていく。
「夏樹ぃ!」
「夏樹くん!」
「アマイモン様ぁ!」
小梅と銀子が夏樹に駆け寄り、ガープがアマイモンに駆け寄った。
「くぉら! なんで相打ちになっとんじゃ! こんな雑魚魔族ぶっ殺すんじゃ!」
「小梅さん、今そんなことを言っても仕方がないっすよ!」
「なんでじゃ! いつでも勝っておったじゃろう! なんで倒れておるんじゃ!」
小梅がボロボロ涙をこぼしていた。
銀子も泣いている。
夏樹がこれほど苦戦し、最終的に倒れた姿を見たのが初めてだったからだろう。
それだけアマイモンは強かった。
「アマイモン様! このガープ! しかと見届けました! 見届けましたぁあああああああああああああああああああ!」
ガープは満足した顔をしているアマイモンに、小梅たちと違う意味で涙を流していた。
だが、小梅と銀子もガープも、夏樹とアマイモンに触れていない。
触れてはいけないと理解していた。
ぴくん、と先に指が動いたのはアマイモンだった。
彼はゆっくりと目を開けると、腕の消失と身体を袈裟斬りにされたことを理解したようだ。
その上で、立ちあがろうとした。
震える膝に空っぽなはずの力を込め、左手だけを使いなんとか立ち上がり、笑った。
「――見事な一撃だった、由良夏樹。私の、負けだ」
アマイモンの目には、立ち上がっている夏樹の姿が映っていた。
何もかもが空っぽのアマイモンに対し、夏樹は血まみれになりながらまだ魔力が少し残っている。
それでも夏樹も限界だ。身体中を震わせながら、無理やり笑った。
「また喧嘩しようぜ」
「――ああ、そうだな、そうしよう。また心躍る喧嘩をしよう」
「約束だ」
「ああ、約束だ」
アマイモンは満足した顔をして、前のめりに倒れた。
そして、夏樹は倒れなかった。
限界を迎えていた夏樹だったが、二度倒れることはしなかった。
「さっきは勝ち逃げされて、今度は俺の勝ちだ。次、また喧嘩して、どっちが強いか決めようぜ」