作品タイトル不明
75「納得できないんじゃね?」
アマイモンの身体から力が抜けた。
「おい、ふざけるな」
「由良夏樹、感謝する。アマイモン様がこのように楽しそうなお顔をして」
「黙れ、ガープ! ふざけんなって俺は言っているんだよ! こんな決着納得できるか!」
ガープは夏樹からアマイモンの身体を受け取ると、ゆっくり抱き抱える。
「――アマイモン様、長い間お疲れ様でした。最後の最後まで楽しかったようで、このガープ……本当に嬉しく!」
「だから! お前もなに喜んでんだ! 戦いの途中で、勝敗がついていないんだぞ! なに満足してやがる、舐めてんのか!」
「生きているお前が勝者だ」
「ふざけるな!」
「お前が弱ければアマイモン様も生きていた。そしてお前は死んでいた。ならば、その逆もある」
「そういう話じゃねえよ! 俺が殺したわけじゃない! 勝手に力尽きただけじゃねえか!」
「お前と戦ったからこそ限界が来たんだ。アマイモン様はすべての力を使い果たし、満足した」
「――これじゃ勝ち逃げじゃねえか!」
夏樹の感情は、その一言に尽きた。
夏樹はアマイモンに勝ったとは微塵も思っていない。
互角か、押されていたのだ。
そんな中、アマイモンが先に力尽きたというのは納得できない。
「起きろ、アマイモン! 起きて俺と戦え!」
返事はない。
すでにアマイモンは呼吸を止めていた。
スマホを取り出そうとしたが、見つからない。
落としたか壊れたのだろう。
「――おいっ、ゴッド見ているだろう! アマイモンを蘇らせろ!」
「もういい、由良夏樹。お前のその気持ちだけで、アマイモン様の今まで全てが報われる」
「……ふざけんな……ふざけんなぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
空に向かい魔力と雷の砲撃がされた。
雲が消し飛び、星空が見える。
「ふざけるな。アマイモン……俺は絶対に許さないからな」
夏樹は、空を見上げていた。
決して、顔を下に向けなかった。
夏樹の前に、名無しが立っていた。