軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

72「押し負けたんじゃね?」

砲撃を斬ったものの、制服はボロボロだ。

顔や、むき出しになった腕は重度の火傷を負っていた。

オートヒールで修復されていくが、時間がかかる感じがした。

ジクジクと痛い。

「じゃあ、次は俺の番だよね?」

返事は聞かなかった。

夏樹が星槍に魔力を注ぎ短く紡いだ。

「――唸れ、蒼穹の星槍」

雷が唸りを上げた。

稲妻が暴れ狂い暗雲が渦となり、アマイモンを飲み込む。

「雷の刃に斬り刻まれるなんて経験あるかい? 無いなら、初体験おめでとう!」

アマイモンの絶叫が響いた。

今まで余裕があったアマイモンから、初めての苦痛に満ちた絶叫が響く。

夏樹は手を止めない。

自ら雷が暴れる暗雲の渦に飛び込むと、身体中を深く刻まれていたアマイモンに向かい星槍を振るう。

「由良、夏樹ぃ!」

「よう! アマイモン!」

アマイモンが砲撃をした。

閃光が放たれ暗雲が消し飛ぶ。

砲撃をかすった夏樹の左耳が千切れ、無くなっている。

「――っ、痛……くない!」

痩せ我慢をして前に進む。

アマイモンの腹部に向けて星槍をまっすぐに放つ。

雷を纏った星槍がアマイモンの腹を貫いた。

彼の口から赤黒い血が吐き出される。

しかし、アマイモンは気にすることなく、むしろ前に出て夏樹に近づくと拳を顔面に叩き込んできた。

鼻が潰れ、歯が折れる。頬骨も砕けた。

実に、痛い。

「ったく、この状態ってさぁ! 星槍さんと雷しか使えないんだよ!」

「攻撃はシンプルの方が強いと私は考えている」

「俺は思春期だから、かっこいい名前を叫んでかっこいい技をぶっ飛ばしたいんだよ!」

「ふっ、私も通った道だ」

お互い血まみれになりながら軽口を叩き合う。

全力と全力の戦いは拮抗している。

夏樹の体力は下降気味であり、いつガス欠になるのかわからない。

アマイモンも同じであるはずと信じたい。

どちらにせよ、このままではジリ貧だ。

「だが、由良夏樹よ」

「あん?」

「斬ることがお前だけの特権だと思っていたら、それは誤りだ」

「――っ」

夏樹は星槍をアマイモンから抜いて逃げようとする。――が、星槍が抜けない。

「腹筋に力入れてるんじゃねえよ!」

「痛いのを我慢していることを褒めてもらいたい」

アマイモンは右腕を上げた。

彼の砲撃に使っていた魔力が、さらに凝縮される。

魔力の塊だ。

目眩がするほど凄まじい魔力の塊を、彼はかろうじて剣と認識できる形にしていた。

「私の斬撃を魅せよう」

「かかってこいやぁ!」

星槍だけは離さなかった。

彼女は相棒だ。手放すことなどあり得ない。

夏樹は左腕をアイテムボックスに突っ込むと、使い捨てる前提に適当な魔剣を引き抜いた。

その魔剣にすべての魔力を注ぎ込み、雷を宿す。

「勝負だ由良夏樹――宵斬り《よいぎり》」

「死ねや、アマイモン――雷鳴の剣」

闇の剣と雷の剣が振るわれる。

「――――ちく、しょう」

夏樹は、雷を宿した魔剣ごと肩からまっすぐ腹まで深く斬られた。