作品タイトル不明
67「アマイモンとガチバトルじゃね?」④
アマイモンが大きく目を見開く。
夏樹は歯を剥き出しにして笑い、振り下ろした聖剣を斬りあげる。
再び血が舞う。
夏樹は剣術など学んでいない。
剣を使った暴力を実践で覚えただけ。
だが、夏樹と聖剣さんが合わされば、速く、鋭い攻撃となるのだ。
「――素晴らしい」
距離をとったアマイモンが、傷を見て嬉しそうな顔をした。
すぐに傷は再生していく。
綺麗に傷は塞がるが、失った血や与えられたダメージまでは消えない。
あくまでも傷だけが再生されただけ。
再生能力を持つ敵と何度も戦ったが、殺す方法はシンプルだ。
再生が間に合わないほどダメージを与えるか、もう再生できないと根を上げるまで斬り続ければいい。
「おかしいなぁ。魅せてくれるんじゃないのかなぁ? 俺、聖剣握っただけなんですけどぉ?」
夏樹の挑発にアマイモンが苦笑した。
「大口を叩いておきながら恥ずかしい。穴があったら入りたいというのはこういうことか。なるほど。――ここからだ。ここから、君に私を魅せよう」
「魅せてくれよ!」
夏樹とアマイモンが同時に地面を蹴る。
音を立てずに消えたふたりが、ぶつかる。
薙いだ聖剣をアマイモンの右腕が受け止める。
「――おお!?」
「私の最大の武器は、鍛え抜いたこの肉体だ」
アマイモンが聖剣の刃を弾く。
勢いに負けて右腕を大きく上げてしまった夏樹の脇腹目掛けて、彼の蹴りが繰り出される。
だが、対応できる速さだ。
夏樹は右足を挙げて防御の体制を取る。
凄まじい衝撃が走り、足が折れた。
すぐにオートヒールで修復されるが、痛いものは痛い。
お返しだとばかりに、夏樹が聖剣を振り下ろした。
アマイモンが両腕を交差させ受け止めた。
「――非常識な魔族だな!」
「褒め言葉として受け取ろう!」
聖剣が通らない。
まるで鋼を相手にしているようだ。
否。
同じ聖剣を相手にしているような錯覚を覚える。
(やばい……このままだとちょっと斬る自信がない)
(夏樹――今、どれくらいの力を出しているの?)
力的には互角かもしれないが、とにかく堅い。
これは脅威だ。
聖剣さんの声が響いてくるが、どこか夏樹を心配しているような感情が込められていた。
(七割かな? 海の力は使えないと思う。使っても制御できないから聖剣さんだけで行きたい)
(良い心がけね、それでこそ私の使い手よ。なら――私の力を思う存分使わせてあげる)
(――っ、よろしいんですか!?)
(ええ。知らないと思うけど、私って負けず嫌いなの)
(よーく、知ってますけど?)
(うっさい! なら早くアマイマモンをぶっ殺しなさい!)
(聖剣さん、聖剣さん……アマイモンさんだよ)
(些細な違いよ!)
(些細じゃないんだけどなぁ)
(うるさい! 早くぶっ殺すのよ! 私の使い手である夏樹が負けるなんて許さないんだから!)
(――ありがとう、聖剣さん)
(べ、別にあんたに負けてほしくないなんて思ってないんだからねっ! 私が敗北を嫌いなだけなんだからねっ!)
(ツンデレあざーっす!)
(ふんっ、代償はちゃんと覚悟しておきなさいよ)
(――うっす!)