軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

41「ついに覚醒じゃね!?」②

佐渡祐介は大地の勇者だ。

聖剣の勇者であり、海の勇者である由良夏樹と同じ勇者だ。

しかし、両者の力は同じようで違う。

性格的なものもあるのかもしれないが、本質が違った。

由良夏樹が、破壊を司るのであれば――佐渡祐介は再生と浄化を司っている。

どちらが上という話ではない。

――どちらも、人が持つには大きすぎる力であった

「……これほど力が漲るのは初めてかもしれない」

祐介を中心に、緑が広がっていく。

戦いで抉れた地面も、草木が生えない大地も、すべて緑に覆われていく。

「……僕は戦いは好きじゃない。だけど、こんな戦いが続くのであれば、僕の手を汚してでも止めよう。大切な友人たちのために」

祐介は淡い緑色に輝く魔力に包まれながら、サイラス・ブレスコットに向かいゆっくり歩いていく。

「……ありえぬ、ありえぬ! なんだ、その力は! 今まで、それほどの力を隠していたのか! まるで、バケモノ!」

サイラスの目には、すべての魔力が解放された祐介が何に見えたのだろうか。

尻餅をつきながら、必死に祐介と距離を取ろうと後退りしている。

「きゃ、キャメロン! 我妻よ! 自慢のお前なら、いくら勇者といえど倒せるはずだ! 行けぇ!」

「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああああ!」

異形となったキャメロンが土まみれのドレスを翻し裕介に襲いかかる。

「しゃぁあああああああ!」

六本の腕が伸びる。

「――かわいそうに」

祐介は、キャメロンに移植された六本の腕をすべて引きちぎった。

「んぎっ、あ」

大地の勇者の膂力だけではない。

今の裕介には、速さもあった。

「あなたのしたことの真偽はわからない。だけど、ここまでされていいわけじゃない」

「がぁああああああああああああああああ!」

ドレスの腹部を突き破り、大きな口が現れる。

牙が並ぶに顎が祐介を襲うが、大地の勇者である彼の肉体はあまりにも強固であり、傷つくことはなかった。

大口を開ける口に、左手を一本突き出し、無理やり動きを止める。

「――今、解放します」

淡い光が蛍のように発光する。

大地に、花が咲き誇り、草木が伸び、川が生まれた。

すべて祐介の力によって、繰り返す戦いで死んでいた大地が蘇っていったのだ。

「……ありえん」

サイラスの呟きは、この場にいる誰もの感想だっただろう。

「うがっ、ううううっ、あああああああっ!」

命じられたまま祐介を殺そうとし続けるキャメロンは、腹の口を動かし食い殺そうとている。

祐介は、泣きそうな顔をすると、彼女の頬をそっと撫でた。

「――もういいんですよ。おやすみなさい」

優しい声だった。

キャメロンの瞳からボロボロと涙が溢れ、動きが止まった。

「あり、が、とう」

そう言い残し、キャメロンは目を瞑った。

彼女の顔は、眠っているように穏やかだ。

「どうか、あなたに安らぎを――」

黙祷する祐介の足元で、キャメロンは砂のように崩れ、風に舞った。