軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39「祐介くんはいつだってダークサイドじゃね?」②

祐介は真面目に絶望しながらも、警戒だけは怠っていなかった。

――ブレイバーズ王国軍を率いる人間こそ、国王サイラス・ブレスコットだったからだ。

サイラスは知らぬことだが、未来において祐介はブレイバーズ王国によって尊厳を踏み躙られた。

その恨みは深い。

元凶である、ベアトリス・ブレスコットはすでに死んでいるが、それでも根本の原因はブレイバーズ王国であり、その国の王にある。

「あ、はい。すみません、お待たせしちゃって。鼓舞する儀式としてやっておかないとなって!」

「……異世界人も大変のようだ」

「まったくです」

サイラス・ブレスコットは、不思議と気さくな男だった。

五十代の小太りな王だが、なぜか前線にいることも、興味深い。

「聞けば、君は我が娘が召喚した勇者だったな。サターリユースケィ」

「……佐渡祐介です。大地の勇者やってます」

「そうかそうか、それは申し訳ない。異世界人の名は発音が難しいが、頑張って覚えよう」

にこやかなサイラスと言葉を交わす祐介だが、皆月姉妹、安倍円、ソーニャは距離をとって警戒していた。

「時に、佐渡祐介。発音はこれでいいかな?」

「ええ、合っています」

「ならばよかった。では、話の続きだが、私につかないか?」

この場で、完全に敵対している祐介に対しサイラスは勧誘した。

「――正気ですか?」

「正気だとも。私は、強い者が好きだ。勇者という存在に何度恋焦がれたと思う?」

「ひえ」

「幼い頃、王などではなく勇者になりたかった。自分の力で努力もした。いつか勇者になれると信じ剣も振った。だが、勇者にはなれなかった。勇者由良夏樹に出会った時、衝撃が走ったよ! ああ、これはなれない、とね。そして、今、君を見て同じことを思った」

サイラスは祐介を見て、悲しげな顔をした。

「やはり私では勇者になれない。勇者は、どこか存在が違うと」

「……なんだか普通に人扱いされていない気がするのは僕の気のせいかな?」

「そこで! 私は、勇者になれぬなら良き王となろうとした! 強く、慕われる王だ! だが、失敗した。王妃は浮気、子供は誰が誰の子かわからん。親友は娘と寝ていた。まあ、そこは親子だったが。笑えるだろう?」

「……普通に笑えない! 敵じゃなかったらご飯奢りそう!」

「優しい勇者だ。そんな君に見てもらいたい! 勇者になれず、王にもなれなかった、私がたどり着いた境地を! さあ、来るがいい、我が妻よ!」

「え? ここで急に奥さんの自慢!? あ、ダークサイドに堕ちそう」

祐介がダークサイドに堕ちかけている間に、震えた兵士が布を被せられた「何か」を引きずってくる。

「何か」は生きているのか、抵抗しているようにも見えるが、詳細がわからない。

王が妻と呼びながら、何か別のものを連れてきたと思った祐介は、

「さあ、ご覧あれ! 我が理想の強さを!」

布を捲られて顕になった「何か」に言葉を失った。

祐介だけではない。

ソーニャも、円も、都も、澪も、ブレイバーズ王国兵たちでさえ、サイラス・ブレスコットの所業に畏れた。

「紹介しよう。彼女はキャメロン・ブレスコット。政略結婚だったので好みではなかったが、今は申し分ない女性だ」

――紹介された女性は異形だった。