作品タイトル不明
5「異世界人にも誠意があるんじゃね?」③
――少女、メイリス・フォーンは悩んだ。
メイリスは、フォーン王国の第一王女だ。
彼女が生まれたときには、魔族との戦争が始まっていて、メイリスは幼少期から魔族が怖かった。
フォーン王国をはじめ、近隣諸国は貧しい。
戦争によって人間は疲弊している。
それでも、手の届く範囲で助け合っているからこそ、今まで保ったと言える。
しかし、それもいつまで続くかわからない。
魔族ならば人間の身で倒すことができるが、魔王にだけは届かない。
幾度となく名のある冒険者が、騎士が、魔法使いが挑み、殺された。
その中に、メイリスの友人が、学友がいた。
理由は不明だが、魔族は人間を徹底的に排除しようとしている。
共に同じ世界で暮らすという選択肢はないのだ。
ならば戦うしかない。
そう考え、メイリス自身も剣を持ったが、力が足りない。
メイリスは力を求めた。
結果、城の書物庫の奥で、「勇者召喚魔法」を知った。
メイリスは、藁にもすがる覚悟で召喚を決めたのだ。
無論、反対の声がある。
異世界からどんな人物が来るのかわからず、誘拐同然の召喚など倫理に反する。
王をはじめ、貴族たちは反対したが、メイリスは反対を押し切った。
勇者として呼ばれた者には、奴隷になる覚悟で尽くすと決めた。
命を差し出すことも厭わない。
メイリスは、身勝手にこちらの世界に「誰か」を呼んでしまうことを悪いことだと承知しながら、それでもこの戦いを終わらせたかったのだ。
「魔王は倒せばいいの、殺せばいいの?」
「――え?」
「魔王の家族は? つーか、魔族はどうすればいい? 鏖殺? 鏖殺しちゃう?」
勇者として召喚された、自分よりも年下の少年は、あどけない顔をしてそんなことを問う。
考えたことはなかった。
否。
魔族などいなくなってしまえ、魔王など死んでしまえ、と思ったことは何度もある。
だが、問われ、悩む。
魔王は倒したい。
倒す、というのは殺すことだ。
しかし、魔族すべてを殺してしまうのはどうなのだろうか。
子供も、老人も、魔族にだっている。
戦えない者もいる。
そんな魔族まですべて殺すという選択肢は、正直、ありえない。
だが、同時に、そこまでしないと戦争が終わらないとも思っている。
魔族は人間の非戦闘民を殺し、甚振った。
その代償を払わせたいと思ってしまうのも事実だった。
勇者はメイリスの言葉を待った。
メイリスは、誤った答えを口にしたら殺されてしまうような気がした。
彼には力があり、その力を振るうことに躊躇いがないように見えた。
そして、どこか傷ついているようにも。
悩んだ。
悩んだ末に、答えをなんとか絞り出した。
「魔王を、四天王を殺してください」
「他の魔族たちは?」
「そこまで勇者様に丸投げできません。あとは、私たちがなんとしてでも!」
少年は笑みを深くした。
「魔王と四天王のぶっ殺し入りましたー! 喜んでー!」