作品タイトル不明
4「異世界人にも誠意があるんじゃね?」②
夏樹は祭壇の上に偉そうにあぐらをかいた。
聖剣さんはそんな夏樹の肩に足をひっかけて、肩車のように座った。
少女はそんな夏樹たちの目前で正座している。
「とりあえず、一番大事なことを聞いてもいーい?」
「はい。なんなりとお聞きください」
「いいねぇ。んじゃ単刀直入に。――俺は元いた場所に帰れる?」
「もちろんです! 私は術師ではなく、あくまでも魔力を注ぐ役目でしかないので詳細はわかりませんが、あなたを元の場所に……時間がどうなっているのかわかりませんが、戻れることは可能だと聞いています」
「ふむふむ」
「このような言い方をするのは大変失礼だと思いますが……」
「いいよ、いいよ。言ってみて」
「勇者様が魔王を倒した後のことを心配する者もいるのです」
「あー、はいはい。そういうことっすね。了解、了解」
「……申し訳ございません」
「気にしてなくていいから、いいから。はい、お顔あげてー。どうぞー」
夏樹としても、為政者が魔王を倒した勇者を後々邪魔に思う気持ちはわかる。
なんせ、魔王を倒せないのだ。
この世界に生きる、人間が、自分たちが、誘拐同然に他の世界から倒せる可能性のある「誰か」を勇者として呼ばなければならないのだ。
この世界の無能な為政者にとって魔王も勇者もかわらないのだろう。
「ただ、勇者様がこの地に止まってくださると言うのなら、わたくしを含め――」
「そういうのいいんで」
なにを言いたいのか察した夏樹は、睨むことで少女の言葉を止めた。
「――夏樹、どうするの?」
「魔王倒せば帰してくれるのなら、それでいいよ。もうめんどい」
「油断すると、どこかわからない世界に放りだされてしまうかもしれないわよ」
「わたくしはそんな恥知らずなことをしません!」
聖剣さんの言葉に、少女が反射的に声を荒らげた。
彼女の態度から、言葉に嘘はないのだろう。
しかし、召喚術式がどのようになっているのかわからないため、魔王を倒したあとどうなるのか不明だ。
(この世界を滅ぼすよりも、魔王を倒したほうが早いかな)
(世界を滅ぼした結果、帰れませんでした……なんて可能性だってあるものね)
(だよねぇ)
「ところで」
「はい!」
「魔王は倒せばいいの、殺せばいいの?」
「――え?」
「魔王の家族は? つーか、魔族はどうすればいい? 鏖殺? 鏖殺しちゃう?」
少女は硬直した。
まさかそんなことを問われるとは思わなかった、という顔をしていた。