作品タイトル不明
1「トラックには夢と希望があるんじゃね?」①
「しょぼいのう! なんで軽トラなんじゃ! 転生させたいんじゃったら大型トラックを連れてこんかい!」
小梅が軽トラを蹴り飛ばす。
轟音が響く、バンパーが歪み窓が割れた軽トラが地面と平行に吹き飛んでいく。
門の神はひょいと避けるが、背後にいた未だ戦いに参加していない人間の兵士たちが、十数人軽トラに激突し宙を舞った。
「焦るな、小手調べだ。――開門」
「いやいや、させないっすよ!」
銀子が疾走し門の神に肉薄する。
魔剣が鋭く光ると、門の神の胸を軽く斬った。
「残念だ、浅いぞ」
「っち。なら」
「それよりも上だ」
「――な」
銀子が影に覆われた。
門の神が後方に飛ぶ。
「ご希望通りの大型トラックだ」
「げ」
言葉通りに、大型トラックが降ってきた。
銀子は、運転席に誰もいないことを確認すると、
「おんどりゃぁあああああああああああああああああ!」
雄叫びと共にトラックを両断した。
がしゃんっ、と音を立てて二分されたトラックが地面に落ちる。
ちりっ、と火花が散った。
「あ、やべ」
「喜んでいいぞ、ちゃんと燃料は満タンだ」
「ふざけんなぁあああああああああああああああああ!」
叫びながら銀子の動きは早かった。
霊力で強化された銀子の肉体により、魔剣がうなりを上げて振るわれた。
まだ倒れていない立ったままの大型トラックを魔剣の腹で全力で殴った。
門の神が目を剥くと同時に、トラックが彼に向かう。
が、届くことなく爆発を起こした。
爆風と炎が銀子たちを襲うが、彼女たちは傷ひとつなかった。
「銀子はん、相手は神様や。普段相手にしている連中と一緒にしたらあかんよ」
「なっちゃんのいないところでなんかあったら申し訳なさすぎるんや」
安倍東雲と安倍円の「符」が銀子と仲間たちを囲むように展開されていた。
符と符が結び合い、点と点が線となり結界を構築していた。
「やるな、人間ども。正直、由良夏樹以外は雑魚かと思っていた。謝罪する、三下くらいにはできるようだ」
どこまでも挑発的な門の神に、小梅たちが額に青筋を浮かべた。
「絶望の神よ。俺は好きに暴れるぞ」
「ぜっぜっぜ! 構わないさ、幸福の!」
「俺はもう飽きた。さっさと片付けよう。することは山のようにあるんだ」
「絶望的にその通りさ! さあ、絶望的に絶望しかない絶望的なブレイバーズ王国のまだ戦っていない兵士たちよ! 君たちの勇敢な同胞はすでに魔族と戦っているのに、君たちは絶望的に臆病者であり、根性なしであり、負け犬だ! そこで、絶望的な力を俺が授けよう!」
ぜっくんと門の神の背後にいるブレイバーズ王国兵たちは、様子を伺っているわけでも、控えていろと命じられたわけではない。
単に、ぜっくんたちを盾にしていただけだ。
ぜっくん的には、ご不満のようだ。
「絶望の神から祝福を与えよう! ――絶望あれ!」
ブレイバーズ王国兵たちが、武器を構え小梅たちに突進してきた。
――泣きながら。