軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「愛の女神と愛の女神じゃね?」②

「――由良夏樹だっけ? その子について、教えてくれる?」

愛の女神こと愛美の疑問の声に、同じく愛の女神愛ちゃんは鋭い視線を向けた。

「どういうつもり?」

「どうもこうも。愛の女神は複数いるけど、その中で一番力がある愛がご執心の少年を気にしちゃうのは仕方がないことじゃない?」

セーラー服を着こなし、黒いタイツを履いた十七歳ほどに見える愛の女神愛美は、愛ちゃんをからかうような態度をとる。

しかし、彼女の目は、好奇心でいっぱいだ。

「……あんたになんか教えてあげないわよ」

「つれないわね」

愛美の言葉を無視して、愛ちゃんは着替える。

芋ジャーから、ハーフパンツとTシャツ、その上からパーカーを羽織った。

手櫛で髪を簡単に整えると、ベースボールキャップを被る。

「愛の女神なのに色気がないわねぇ」

「ほっといて。私レベルになるとボーイッシュな格好しないとナンパがすごいのよ」

「嘘おっしゃい。そんなつるぺた幼女に声をかける人間がいるのなら、性癖的に困ったちゃんよ」

「……実際多いのよ」

「……なんかごめんね」

なんとも言えない空気になった。

愛ちゃんはそのまま玄関に向かいお気に入りの白いスニーカーを履く。

「ねえ」

「なによ」

愛ちゃんの背中に声がかけられた。

振り返らずに返事をすると、愛美は気にした様子もなく続けた。

「――ぜっくんって異世界で神になれるとおもう?」

「なれるわけないじゃない」

愛ちゃんは失笑する。

絶望の神ぜっくんは、別に主神になろうだとか、唯一絶対の神になろうと企んでいるわけではない。

口では、新たな神話をと言うが、その本質は「ただ絶望したい、絶望させたい」だけ。

あくまでも異世界を支配する、新たな神話を作るなどは「絶望」への過程でしかない。

「でも、ぜっくんって強いじゃない? 門の神もついているし、馬鹿みたいに強くなっちゃったアマイモンだっているのよ?」

「あんたはわかってないわねぇ」

やれやれ、と愛ちゃんは肩を竦める。

愛美が「む」っとした顔をした。

「勿体ぶらずに言いなさいよ」

「――ギャラクシー河童勇者がいるんだから、ぜっくんが勝てるわけないでしょう?」

「――え? なにそれこわい」