作品タイトル不明
43「使命を悟ったんじゃね?」
「なっちゃん。河童大神様は我々河童の中でも伝説の存在です。はるか遠い星の向こうに、河童大神様がいらっしゃるのだ、と」
「――まさかの宇宙人!?」
長老さんは苦笑して頷く。
「そういう考えもあるようですな。ただ、我々は一般河童です」
「一般河童ってなに!?」
「そうですな。例えるのなら、人間でも霊能力者とそうではない人間がいるでしょう。彼らは神々や魔族がいることを知りませぬ」
「……そう、だね。ってことは、河童大神様がいるかいないかは河童さんたちにもわからないってこと?」
「そうですな。ですので、なっちゃんが河童大神のお遣いである女神様とコンタクトをとったかどうかは我々にはわかりませぬ。ただ、真偽がわかりませぬし、正直ありえねーって感じなので……失礼な態度をとってしまい申し訳ない」
「いえいえ、そういうことなら、そうですね。わかります。正直、俺も河童大神様に仕える女神様からコンタクトを受けて困惑しているのも事実なんです。だけど、俺は夢でこの集落を見ています」
「なんと!」
「だから、俺は河童大神様がいると信じているのです! いつかお会いでいると!」
「そのときはぜひ、我々も仲間に入れてください」
「もちろんです!」
夏樹は長老さんと固く握手を交わす。
先日まで夏樹だって、地球がファンタジーであったことを知らなかったのだ。
一般河童の長老さんが河童大神様の存在がわからないことは仕方がないことだ。
(――俺の使命がわかりました。いずれ俺は河童大神様の領域に足を踏み入れ、本当に河童大神様がいると確かめる。そして、河童大神様の存在を多くに広める動画配信者になるんですね!)
そのためにも、早々に異世界人を駆逐して日本に帰らなければならない。
夏樹は、俄然やる気が湧いた。
「よーし! とりあえず、河童さんたちを魔王城に保護して……あれ? この森に隠れていてもらったほうがいいのかな? 周囲のモンスターも全部殺したし、安全だったりする?」
すでにこの森の中にいたモンスターは夏樹によって焼き殺されている。
弱い個体も強い個体も、平等に殺した。ついでに肉食動物も殺してある。
魔王城で保護しているほうが、人間との戦いに巻き込む可能性があるので危険が大きい可能性がある。
(――万が一河童さんが人質にされたら、俺は戦えない)
ならば、この場に厳重に結界を張った方がいいだろう。
この手のことは千手や東雲、征四郎に相談しようと決める。
「今後のことを仲間たちとお話しさせてください。長老さんは他の河童さんたちに、向島市に帰れることをお伝えしていただいて、身支度を整えてもらえると助かります」
「わかりました。改めて、よろしくお願いします。見ず知らずの河童に手を差し伸べてくださり、本当に感謝します」
長老は瞳に涙を浮かべながら、夏樹に頭を下げた。