軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

42「なにやら変化の予感じゃね?」

由良夏樹は動揺していた。

「え? 長老さん、ギャラクシー河童勇者知らないの?」

「しらなーい」

「河童の守護聖人由良夏樹! 河童勇者が宇宙で経験を積んでギャラクシー河童勇者になったっていう最高のストーリーがあるんだけど……こっそり一登を二号、千手さんを三号にしようと企んでいるんだけど……知らない?」

「知らないっすねぇ」

「長老さん、さっきと話し方違くない!?」

夏樹は倒れそうになるが、必死に堪えた。

まさかギャラクシー河童勇者を知らない河童さんがいるとは思わなかった。

てっきり河童大神にお仕えする女神様から回覧板が回っていると思い込んでいた。

「あ、あのですね、僕はこの世界で聖剣の勇者として向島市から召喚されたんですよ」

「――なんと!」

「で、なんやかんやあって魔王さん倒して、魔神さんぶっ殺して元の世界に帰ったんですね」

「……そんなことがあったのですか。お若いのにご苦労をしたのですな」

「あれ? 口調戻りました? まあいいや。それで、向島市でいろいろファンタジーに巻き込まれて、河童勇者になったんですが」

「そこがわかんない!」

「あれー?」

順序よく話をしたつもりだったが、長老さんはやっぱりわかってくれなかった。

「えっと、なんやかんやあってこっちの世界に戻ってきたんですけど、河童大神様にお仕えする女神様がこの世界にも河童さんがいると教えてくれたので、こうして会いにきたのです」

「河童大神ですと!?」

「はい! 河童大神様です!」

河童大神様の名を出したことで、長老さんの雰囲気が変わった。

夏樹はホッとする。

これで自分がギャラクシー河童勇者であることを信じてもらえるはずだ。

「由良夏樹殿。いいえ、なっちゃんとフレンドリーに呼ばせていただいても構いませんか?」

「もちろんです!」

長老さんは、夏樹の肩に優しく手を起き、ぎこちなく微笑んだ。

「――なっちゃん、あなた疲れているのよ」

「तुम कितने मूर्ख हो!《そんな馬鹿な!》」

「困ったことになったのう」

河童の集落から離れた渓谷の奥に、夏樹の師匠である老人があぐらをかいたまま目を閉じ呟いた。

「まさかあれが目覚めているとは思わなんだし、あの子と会うとは思わなんだ」

あの子、とは夏樹のことだ。

「出会うことなく日本へ帰ってほしかったのだが――仕方がない。別れたばかりで再び顔を出すのは恥ずかしいが、また会いにいくかのう」

老人は立ち上がる。

「――だが、今のあの子ならば、あれを受け入れることができるかもしれぬ」

老人はゆっくり目を見開くと、笑みを浮かべた。

「長く生きるものだ。あれを受け入れてくれる心が強き者が現れるとは……なるほど、だから勇者なのだろうな」

老人はなにか納得したように満足げに顎髭を撫でる。

そして、音を立てることなく消えた。