作品タイトル不明
41「乙女の秘密じゃね?」②
小梅と銀子は首を傾げた。
千手と東雲も、困惑の表情を浮かべている。
「どういうことじゃ? この古びた剣が、誰じゃと?」
「……私よ。この剣は、私なのよ」
「えっと、つまり双子とかってことっすか?」
小梅と銀子の疑問に聖剣さんが首を横に振る。
「違うわ。この剣は私そのものよ。なぜ忘れていたのか、わからないけど……私の半身。私の力よ」
千手が顔を引き攣らせる。
「……マジかよ。つまり、由良がまた強くなるのか」
「はははは、茨木童子を相手にしてももう苦戦せんかもしれんね」
東雲も軽口を叩いているが、瞳は笑っていない。
「待つんじゃ。さっき襲いかかってきた剣はおどれか!?」
「私じゃないけど、私の力よね」
「なーんで、聖剣の持ち主に聖剣の片割れが襲いかかってくるんじゃ!」
「知らないわよ! 私だって、力が半分もここにあったなんて夢にも思っていなかったもの!」
「ちょちょちょ、待ってほしいっす! 聖剣さんは、ご自身の力が半減していることを忘れていたってことっすか?」
「そうよ! 悪い!」
「悪くはないっすけど……どうやって、半分に力が別れたとか思い出したりしてないっすか?」
「それは……」
聖剣さんは苦い顔をした。
おそらく、力が別れた原因に心当たりがないようだ。
そもそも、力を半分失っていたことを覚えていなかったことがおかしい。
なにか事故で力を失ったのか、それとも第三者の意思があったのか。
小梅たちも考えてみるが、少なくともこの世界に聖剣さんをどうこうできる者がいるとは思わなかった。
聖剣さんの力は凄まじい。
夏樹が全盛期の力を取り戻していない状態で、今まで多くの相手と戦い撃破してきたのは聖剣さんの力とサポートのおかげだ。
その聖剣さんの力も、夏樹はすべて使いこなしていない。
もし、夏樹が聖剣さんの本来の力を全て手に入れたら、どれだけ強くなるのか想像さえできなかった。
ただ、ひとつだけ、分かったことがある。
「この世界はもう終わりじゃな」
「異世界崩壊っすね」
「残念ながら、世界ごと真っ二つだな」
「異世界人はさておき、魔族はんたちは助けてあげたいと思うんけどね」
小梅たちは、この世界が終了してしまうと確信した。
向島市の凶戦士に物騒すぎる剣がさらに物騒になって装備されたら、誰が止められるというのだ。
少なくともこの世界にはいない。
いや、夏樹の師匠である老人は底が見えない実力者であるようなので、彼が動く可能性もあるが、それだって確定ではない。
「ゴッドが泣くじゃろうが、まあええじゃろう。些細な問題じゃ」
「そうっすね」
「ま、俺たちには管轄外だからな。ゴッドならなんとかしてくれるだろう」
「さすがゴッドやね」
小梅たちは、この世界がどうなるかをゴッドに丸投げすることにした。