軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

40「乙女の秘密じゃね?」①

「おおうっ! なんか知らんが、いつの間にか河童の集落におるんじゃが!?」

「……おかしいっすねぇ。なんか恐ろしい体験をしたような気がするっすけど……記憶が曖昧っす」

「まあええじゃろう! 忘れたんなら大したことじゃないんじゃ!」

「そうっすよねぇ! あははははははははははは!」

「ぬははははははははははははは!」

茣蓙の上で寝かされていた小梅と銀子が起き上がると、一部記憶にモヤがかかったような気がしていたが、気にしないことにした。

「おう、姐さんたちも起きたか」

「自分らも先ほどおきたばかりやで。何があったんかよう覚えとらんけど、無事に河童の集落に来ることができてよかったと思うべくやろうね」

千手と東雲も起き上がっていたが、やはり記憶が曖昧のようだ。

森に結界が張ってあったことから、何らかの干渉があったと思われる。

「しっかし、まさか河原に小屋建てて暮らしておったとはのう。意外と河童も逞しいんじゃ」

「小梅さんはご存知ないかもしれないっすけど、日本の河童さんもこんな感じっすよ。最近じゃ、妖怪同士で交流し、一緒に暮らしているので小さな村を作ったりしているようっすけど、単一種族だけですとどこもこんなもんっす」

「京都の鬼はえらい普通の暮らししとったんじゃが」

「あいつらがおかしいだけっす!」

そんな鬼姉妹は、川で魚を取って遊んでいる。

河童たちは、やはり鬼に恐怖心があるようで近づくことはしていないが、彼女たちは気にした様子はない。

祐介は、鬼姉妹をスマホカメラで激写している。

円、義政、征四郎は水無月姉妹と共に河童と交流を試みていた。

「目覚めたか」

「なんじゃ、魔王も気を失ってたんか」

「情けない話だが、そうらしい。なにやらトラウマを刺激されたような気がするが、よく覚えていない」

「みんな同じのようっすね。いったい何があったんやら、って気にしてもしゃーないっすよ」

「そうだな。それにしても、ここが河童という種族の集落か。可愛い生物たちが魔王の庇護下に入らず自給自足とは……由々しき事態だ」

森に暮らし、川で魚を取り、畑を耕す。

不作の時には食事にも困るときがあっただろう。

ギーゼラとしては、河童が魔族ではなく妖怪というまた違う存在であったとしても、魔族の土地に住まうのであれば保護してやりたかった。

「かわいそうっすけど、もう過ぎたことっす。この世界の人間との戦いが終われば、ゴッドがちゃんと故郷に帰してくれるんっすから魔王さんも気にしちゃダメっすよ」

「……少しこの地に残らないだろうか?」

「……交渉は勝手にやってほしいっす」

なぜ勇者も魔王も河童に魅力を感じているのか銀子はわからなかった。

デフォルメされた可愛らしい人形のような河童を可愛いとは思うが、入れ込むことはない。

人の趣味にとやかく言うつもりはないので、余計なことは言わないが。

「目が覚めたようね、あんたたち」

「おう、聖剣! おどれも気絶しとったんか?」

「するわけないでしょう。あんたたちとは違うのよ」

「じゃあ、何が起きたのか知ってるっすか?」

聖剣さんは気絶していなかったと知り、銀子が尋ねるが、彼女は顔色を青くして首を横に振った。

「知らなくていいことはあるのよ」

「――なにがあったんっすか!?」

聖剣さんは頑なに口を割らなかった。

「それよりもちょっと付き合いなさい。魔王とツッコミ担当も一緒に」

「なんじゃ?」

「なんっすか?」

「いいから、夏樹に知らせる前に少し付き合って」

その言葉に何かあると感じ取り、小梅と銀子は立ち上がる。

「ふむ。なにやらあるのか? ならば付き合おう」

ギーゼラも聖剣さんの申し出を受けれた。

「なんやかわからんけど、自分も付き合うんよ」

東雲も同様だ。

「いや、待て。ツッコミ担当ってまさか俺のことじゃねえだろうな!」

「あんたで間違ってないわよ」

「……聖剣にまでツッコミ担当って思われてる俺って」

千手は名前ではなく「ツッコミ担当」と呼ばれたことにショックを受けていた。

それでもおとなしく聖剣さんの要望に応え、ついていくのだからやはり千手は人がいい。

しばらく歩くと、大木の前に聖剣さんたちはいた。

「こりゃすげえ」

樹齢が何年かわからないほどの大木がまるで神聖なもののように鎮座している。

そして、大木の付け根には、先ほど夏樹を襲った古びた剣が刺さっていた。

「……さっき、思い出したわ。この剣は私よ」